老後の必要額は1億円以上、でも実際の貯蓄額は?:アメリカ国民の理想と現実

老後の備えは?
必要な貯金額
人によって異なる目標
違いが生まれる理由
さまざまな見解
目標は高いが現実は……
「Planning & Progress」調査
実際の貯金額
年齢が上がるほど状況悪化
20代の米国人
30代の米国人
40代の米国人
50代の米国人
60代の米国人
70代の米国人
米国人全体では?
老後に向けた貯蓄はわずかにアップ
準備不足
専門家の意見
計算の例
いつ引退できるのか
老後の備えは?

老後の備えにいくら必要か考えたことはあるでしょうか? 米国ではほとんどの人が具体的な数字を念頭に置いて暮らしています。さらに、新たな研究によって、老後の快適な暮らしについて人々がどのように考えているのか明らかになりました。

 

必要な貯金額

金融サービス会社「ノースウェスタン・ミューチュアル」の調査によれば、米国人は快適な老後を送るために127万ドル、つまり1億1,650万円必要だと考えているようです。2022年に行われた前回の調査結果では125万ドルという数字が得られており、ここ1年で上昇したことがわかります。

人によって異なる目標

興味深いことにこの数字は回答者によって大きく異なり、各自の生活スタイルを反映したものだと見られています。

 

違いが生まれる理由

すでに悠々自適の老後を過ごしている人は、将来に備えて貯蓄をしながら子育てに取り組む人に比べて必要な資金が少ないため、回答者によって数字が違うのは当然でしょう。

さまざまな見解

そのため、定年までに必要な貯金について新社会人が考える額と、すでに隠居生活を送っている70代の人々が考える額では大きな開きがあります。

目標は高いが現実は……

とはいえ、どの年代でも百万ドル単位の貯金が必要だと考えているという点では一致。ところが、興味深いことに、目標額に向けて地道に貯金している人はほとんどいないようです。

 

「Planning & Progress」調査

ノースウェスタン・ミューチュアル社が毎年発表している「Planning & Progress」調査では、米国における人々の経済状況も詳しく吟味されます。

 

実際の貯金額

なかでも注目すべきは、老後に備えて米国の人々が実際に貯蓄した金額に関する調査結果です。というのも、たいていの人は目標額に近づくことすらできていないのです。

 

年齢が上がるほど状況悪化

しかも、この傾向は回答者の年齢が上がるにつれて悪化し、定年に達した人々の層では目標額の20%しか達成できていない人も珍しくありません。では、具体的にデータを見てゆくことにしましょう。

20代の米国人

老後に向けた目標額:120万ドル

現在の貯蓄額:3万5,800ドル

 

30代の米国人

老後に向けた目標額:144万ドル

現在の貯蓄額:6万7,400ドル

40代の米国人

老後に向けた目標額:128万ドル

現在の貯蓄額:7万7,400 ドル

50代の米国人

老後に向けた目標額:156万ドル

現在の貯蓄額:11万900ドル

60代の米国人

老後の目標額:96万8,000ドル

実際の貯蓄額:11万2,500 ドル

70代の米国人

老後の目標額:93万6,000ドル

現在の貯蓄額:11万3,900 ドル

米国人全体では?

老後の目標額:127万ドル

現在の貯蓄額:8万9,300ドル

老後に向けた貯蓄はわずかにアップ

ノースウェスタン・ミューチュアル社によれば、老後に向けた貯蓄は昨年に比べて3%増加。さらに、Z世代の半数以上(65%)が、自分は定年を迎えたとき十分な貯蓄を手にしているはずだと答えています。

準備不足

一方、老後の貯蓄について楽観的な人は団塊の世代では半数未満 (46%)、ミレニアル世代では半数あまり(52%)となっています。しかし、彼らの貯蓄額のデータを見ると、そのような期待は甘いと言わざる得ません。

専門家の意見

CNBC放送のインタビューに応じたノースウェスタン・ミューチュアル社のファイナンシャル・プランナーを努めるアラップ・パテル氏によれば、米国における老後の備えは年間経費を25倍した額を目安にするとよいといいます。

 

計算の例

たとえば、年間の経費が10万ドルの場合、250万ドルが目標額だというわけです。米国人は老後の貯蓄について平均127万ドル必要だと考えていますが、逆算すると年間経費は5万800ドルでなくてはいけません。本当にそれで足りるのでしょうか?

いつ引退できるのか

ノースウェスタン・ミューチュアル社の調査結果によれば、ほとんどの米国人は65歳で定年退職できると考えていることが判明。さらに、家計を計画的にやりくりできる人は63歳、そうでない人は67歳が退職年齢の目安になるとしています。しかし、実際に目標額に到達できるかというと、現実はそう甘くなさそうです。

 

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