プーチン政権がウクライナで核兵器を使用しない驚きの内情とは

核兵器をちらつかせるプーチン政権
兵器が動作しない可能性
崩壊寸前の軍隊
核兵器の保守はむずかしい
アメリカの保守費用
金額に疑問
失敗に継ぐ失敗
ロシア政府も失敗を認める
技術的問題
仮に核兵器が機能したとして、目標はなにか
エスカレーションには合理性がない
戦術核にも意味がない
小型の核兵器でも大規模な破壊を引き起こす
ロシア軍にも影響が
地政学的リスクに見合うのか
世界中から非難される
プーチン大統領は核兵器を使わないと明言
大統領のコメント
プーチン大統領が核兵器を使用する可能性は?
国防専門家バンによると
ほかの専門家も可能性は低いと試算
あらゆる可能性がある
ウクライナでは使われない
核兵器をちらつかせるプーチン政権

ウクライナ侵攻に始まる戦闘が長期化する中、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が戦術核兵器の使用に踏み切る恐れについて多くの専門家が指摘している。だが、いくつかの理由からその可能性はあまり高くないと見られているようだ。

 

兵器が動作しない可能性

今回のウクライナ侵攻によって明らかになったのは、ロシア軍の装備や練度がかなり不十分なものであり、ソ連崩壊以降に西側諸国の専門家が想定していたような水準には到底達していないということだ。

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崩壊寸前の軍隊

ロシア軍の戦争遂行能力はかなり低く、開戦からの約2年でわかったのは、ここ20年ほどは装備品の保管や保守もろくにされていなかったということだ。車両のタイヤがパンクし、整備不良のAK-47を使っている様子からは、ロシア軍の武器庫の状態がうかがい知れる。そして、それは核兵器についても例外ではないかもしれない。

核兵器の保守はむずかしい

BBCによると、ロシアは5977発の核弾頭を所有し、うち約1500発が配備中だという。これほどの数の核弾頭を保守点検するのは容易なことではない。

アメリカの保守費用

国際的な核兵器廃絶をめざす運動体である「核兵器廃絶国際キャンペーン」が示した数字によると、2021年にアメリカは核兵器のメンテナンスに442億ドルもの費用をかけたという。一方、ロシアはたった86億ドルしか使っていない。

金額に疑問

ロシアが保有する核弾頭はアメリカよりも格段に多い。それなのに、アメリカの五分の一の金額でいったいどのようにしてメンテナンスしているのだろうか?

失敗に継ぐ失敗

ロシアの核兵器が使える状態にないことをしめす証拠がある。アメリカの政府筋によると、2022年9月、プーチン大統領はロシアの新型原子力魚雷ポセイドンのテストを行ったが失敗したという。

ロシア政府も失敗を認める

さらに2022年12月には、大陸間弾道ミサイル「ブラバー」の発射テストに失敗したとロシア政府が発表した。

技術的問題

ロシア国防省の広報によると、「ミサイル発射の最初の2ステージは正常に進行したが、次の第三段階で技術的問題が発生した」という。

仮に核兵器が機能したとして、目標はなにか

仮に核兵器が正常に使用できたとしても、本当の問題はその先にある。核兵器はとうぜん、戦略的なゴールを達成するために使用されるわけだが、ではそれに見合ったターゲットはなんだろうか。ウクライナでの戦争において、核兵器を使用することに伴うネガティブな影響に見合うような重要目標は存在しないのだ。

エスカレーションには合理性がない

ウクライナの都市に対して大型の核兵器を使用することには戦略上の意味はない。となると残された選択肢はより小規模な出力の戦術核兵器だが、それにもまた難しい問題が存在する。

戦術核にも意味がない

アメリカのメディア『アクシオス』のジャーナリスト、ロバート・ケリーはこう語る。「戦術核の攻撃目標にできるほどにはウクライナ軍は密集していません。戦略的に意味のあるウクライナの軍事目標に対しては、通常戦力で十分なのです」

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小型の核兵器でも大規模な破壊を引き起こす

ケリーはこう続ける:「5キロトン以下の小型の戦術核でさえ、大規模な破壊をもたらすのです」

ロシア軍にも影響が

仮にプーチン大統領が戦術核を使う気になったとしても、自軍にも確実に影響を及ぼす兵器の使用には反対するものも多いだろう。

地政学的リスクに見合うのか

しかも、プーチン大統領にとってほんとうに悩ましいのは目標の選定や自軍への損害ではない。最大の問題は、ウクライナに対して核兵器を使用した際に直面するであろう、地政学的反動だ。

世界中から非難される

「いちど核兵器を使用すると、これからの戦争ではそれが普通になるという恐ろしいビジョンが広まります。そうなると、西側諸国に対して最大級に敵対的な体制でさえ恐怖することになります」と、ケリーは語る。

プーチン大統領は核兵器を使わないと明言

プーチン大統領はこれまでなんども脅すような形で警告してきたが、2022年10月に行われた会議において、ウクライナで核兵器を使用する計画はないと明言した。

大統領のコメント

「(ウクライナで核兵器を使う)必要を感じていない。政治的にも、軍事的にも意味がない」とプーチン大統領はコメントした。

プーチン大統領が核兵器を使用する可能性は?

アメリカの放送局、NPRのグレッグ・マイヤーによるインタビューにおいて、国防専門家マイケル・バンはロシアがウクライナで核兵器を使用する確率を10~20パーセントと見積もっている。

国防専門家バンによると

「核兵器はかれこれ77年も使われておらず、タブー化していると言う人もいます。この、戦闘において核兵器を使用しないという伝統はなんとしてでも守られねばなりません」とバンは言う。

ほかの専門家も可能性は低いと試算

また、さいきん、ヨーロッパの放送局ユーロニュースが、ニコライ・ソコフ氏にインタビューしてこの問題についてコメントを求めた。ソコフ氏はウィーン軍縮不拡散センターのシニアフェローかつ、ロシア外務省の元アドバイザーだ。

あらゆる可能性がある

ウクライナでの核使用の可能性について問われると、ソコフ氏は「ウクライナに対して核兵器を使うかということなら、その可能性は限りなく低いでしょう。ですが、もちろん、いまは何が起きてもおかしくない情勢ではあります」と述べた。

ウクライナでは使われない

しかしソコフ氏はこうも付け加えた。「ウラジーミル・プーチンやその周囲から発せられてきた核兵器使用に関するシグナルは、開戦当初から、すべて西側諸国、NATOに対して向けられたものであり、ウクライナに対してではありませんでした」。ソコフ氏はこれを良い兆候とみなしている。たしかに核兵器は使われなさそうだ……ウクライナでは。

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