ビットコインを発明した「サトシ・ナカモト」の正体を巡る謎

利用者数が増える暗号通貨
通称「サトシ・ナカモト」
15年前にスタートしたプロジェクト
サトシ・ナカモトの資産
「サトシ・ナカモト」とは?
実はグループ?
サトシ・ナカモトの正体であると噂される人物たち
ハル・フィニー
ドリアン・サトシ・ナカモト
本物のサトシ・ナカモト?
ニック・サボ
クレイグ・ライト
『ニューヨーカー』誌の主張
政府機関?
複数の人々
イーロン・マスク
残された謎
利用者数が増える暗号通貨

世界中で何百万人もの人々が利用するトップ暗号通貨「ビットコイン」。ところで、このコインを誰が発明したのかご存じだろうか?今回は、ビットコインの発明者とされる正体不明の人物「サトシ・ナカモト」の謎に迫ろう。

 

通称「サトシ・ナカモト」

ビットコインの発明および開発を行った人物(またはグループ)は、「サトシ・ナカモト」という通称を用いている。しかし、その正体はいまだ謎に包まれたままだ。

 

15年前にスタートしたプロジェクト

サトシ・ナカモトが明かしたところによると、ビットコインのコード開発がスタートしたのは2007年だったという。翌年の夏には、この暗号通貨に関するサイトを開設するため、「bitcoin.org」というドメイン名が登録されている。そして2008年10月31日、サトシ・ナカモトは論文を発表して、ビットコインや仮想通貨の仕組みを詳しく解説したのだ。

 

サトシ・ナカモトの資産

他の開発者たちに後事を任せたサトシ・ナカモトだが、その後の数年間で約 100万ビットコインの資産を築き上げたとされている。『インデペンデント』紙によれば、サトシ・ナカモトは2021年11月の時点で世界第15位の大富豪であり、資産は730億ドルあまりに上るという。

「サトシ・ナカモト」とは?

ビットコインの挑戦開始から15年、サトシ・ナカモトの正体はいまだ謎に包まれたままだ。2012年には、日本で暮らす37歳の男性であるという発表がなされたが、詳細については明かされなかった。しかし、ネイティブ並みの英語を操ることから日本人であることを疑う声も多い。

 

実はグループ?

また、「サトシ・ナカモト」が1人の人物であることを疑う向きもある。米国出身のITセキュリティ専門家ダン・カミンスキー氏は、ビットコインのコードを生み出したのがグループでないとするなら、1人の「天才」に違いないとしている。そして、他の開発者たちもおおむねこの意見に同意しているようだ。つまり、コードの完成度は非常に高く、たった1人の人物が成し遂げたとは考え難いのだ。

 

サトシ・ナカモトの正体であると噂される人物たち

まったくと言ってよいほど手がかりを残さないサトシ・ナカモト。その正体については様々な憶測がなされており、候補者名もいくつか挙げられているが、その大半は日本人ではない。

ハル・フィニー

そんな候補者の一人が、2014年にこの世を去ったIT開発者のハル・フィニーだ。彼は(サトシ・ナカモトを除いて)世界で初めてビットコインのソフトウェアを利用し、改良をおこなった人物として知られている。さらに、ハル・フィニーの自宅近くには「ドリアン・サトシ・ナカモト」という人物が暮らしており、文体もビットコイン発明者のものと似ているようなのだ。

 

ドリアン・サトシ・ナカモト

この「ドリアン・サトシ・ナカモト」という人物はカリフォルニア州在住の日系アメリカ人で、正式な名前は「サトシ・ナカモト」だという。彼を追跡したリア・グッドマン記者によれば、ドリアン・サトシ・ナカモトは物理学を専攻しており、ビットコインの思想に近いリバタリアンの立場にあるとされている。

 

本物のサトシ・ナカモト?

グッドマン記者がドリアン・サトシ・ナカモトにビットコインについて尋ねると、他の開発者たちにプロジェクトを委ねるまでこの暗号通貨の開発に関与していたことを仄めかしたという。ところが、この記事が公開されると「本物のサトシ・ナカモト」がドリアン・サトシ・ナカモトは偽物だというオンライン声明を発表。

ニック・サボ

一方、分散型通貨の支持者として知られるIT技術者のニコラス・"ニック"・サボは、ビットコインの前身「ビットゴールド」に関する記事を書いた人物だ。1990年代には別の通称を用いていたことから、サトシ・ナカモトの正体ではないかと取り沙汰されているが、実証されてはいない。

 

 

クレイグ・ライト

さらに、別の候補者として名前が挙げられているのが、オーストラリア出身のIT技術者クレイグ・ライトだ。 2015年に『Wired』誌が掲載した記事によれば、ライトは「ビットコインの発明者であるか、さもなくば、世間を騙して自分こそがサトシ・ナカモトであると信じ込ませようとしている希代のペテン師」なのだという。その他の候補者たちとは異なり、ライト(写真右)は自らビットコインの発明者であると主張しているが、暗号通貨を推進する人々は納得していないようだ。

 

『ニューヨーカー』誌の主張

2011年には『ニューヨーカー』誌がサトシ・ナカモトの正体としてフィンランドの社会学者Vili Lehdonvirtaやアイルランド人学生マイケル・クリアをはじめ、数人の研究者たちの名前を挙げたが、両者ともこれを否定している。

 

政府機関?

一方、ヴァイス・メディア社は2013年、サトシ・ナカモトという通称の裏に隠れているのは政府機関ではないかと指摘。この記事ではまた、ビットコイン開発に携わっていたことで知られるギャビン・アンダーセンの名前も挙げられている。

複数の人々

しかし、『フィナンシャル・タイムズ』誌は2016年の記事の中で、「サトシ・ナカモト」というのはハル・フィニーやニック・サボ、米国人エンジニアのロス・ウルブリヒトといった複数の人々が共同で利用する名称だという説を唱えた。ロス・ウルブリヒトは2013年に逮捕されるまで、闇サイト「シルクロード」を運営していた人物だ。

イーロン・マスク

2017年には、テスラ社およびスペースXのCEOとして知られるイーロン・マスクが、ウェブサイト「medium.com」を通して自身はサトシ・ナカモトではないと断言。これは、同社の元学生インターンによる憶測を受けてのコメントだった。

残された謎

現在に至るまで杳として知れないサトシ・ナカモトの正体。数々の憶測を生み出すこの謎が明かされる日は来るのだろうか?けれどもビットコインの創始者はこの15年間、何の手掛かりも残しておらず、正体判明は望み薄だと言わざるを得ない。その一方で、ナカモトが発明した暗号通貨は成長の一途を辿っているのだ。

 

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