世界の名画に秘められた謎:モナリザ、バベルの塔.......

西洋絵画の名作たち
《最後の晩餐》レオナルド・ダ・ヴィンチ
《モナ・リザ》レオナルド・ダ・ヴィンチ
《快楽の園》ヒエロニムス・ボス
《ラス・メニーナス》ディエゴ・ベラスケス
《アルノルフィーニ夫妻像》ヤン・ファン・エイク
《大使たち》ホルバイン
《我が子を喰らうサトゥルヌス》フランシスコ・デ・ゴヤ
《真珠の耳飾りの少女》ヨハネス・フェルメール
《叫び》エドヴァルド・ムンク
《天文学者》ヨハネス・フェルメール
《ローヌ川の星月夜》フィンセント・ファン・ゴッホ
《接吻》グスタフ・クリムト
《アメリカン・ゴシック》グラント・ウッド
《バベルの塔》ピーテル・ブリューゲル(父)
《オランピア》エドゥアール・マネ
西洋絵画の名作たち

絵画には、コミュニケーション・ツールという側面がある。直接には表現できないような内容を、さまざまな事物に託して伝えることができるのだ。といっても、絵画はつねに明快なメッセージを携えているわけではなく、ときには難解な謎を含んでいることもある。さて、今回は20の名画を選び、そのような謎に迫ってみよう。

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《最後の晩餐》レオナルド・ダ・ヴィンチ

イエスの右隣に座っている人物(つまり向かって左の人物)は、ふつう使徒ヨハネだと考えられている。しかし一部の専門家は、この人物を「マグダラのマリア」ではないかと指摘する。この箇所はマグダラのマリアがイエスと親密な関係にあったことを示唆しているというのだ。また、イエスたちの手の置かれている位置やテーブルの上の小道具には、キリスト教信仰、あるいはフリーメイソンやシオン修道会といった秘密結社に関係する隠されたメッセージが隠されているという。

《モナ・リザ》レオナルド・ダ・ヴィンチ

この肖像画のモデルは今もって謎に包まれている。フィレンツェの商売女であったとか、あるいはダ・ヴィンチ自身の顔の骨格が土台になっているとか、憶測は尽きない。絵画技法的には、女性の口元にスフマートという技法が施されている。かすかな色彩の移ろいを表現するその技法の効果もあって、彼女の微笑みはミステリアスだ。満ち足りているようにもメランコリックなようにも、少しはにかんでいるようにも見える。

《快楽の園》ヒエロニムス・ボス

滑稽でグロテスクな有象無象と、彼らが演じる奇体な情景。その意味するところは判然としない。色欲などの罪を戒める啓発的なメッセージが込められているとされることもあれば、そうではなくて、ここに表現されているのは抑圧された欲望の姿であり、その欲望が生み出す幻覚的なイメージであると解釈されることもある。

《ラス・メニーナス》ディエゴ・ベラスケス

複数の鏡、複数の画中画、複数の視線がびっしりと張り巡らされ、この作品を複雑にしている。見る・見られるという関係が交錯しているのだ。絵筆をにぎる画家ベラスケス自身の姿も描きこまれており、その視線はこちら(絵の鑑賞者)にひたと注がれている。

《アルノルフィーニ夫妻像》ヤン・ファン・エイク

画面中央の壁にかかっている凸面鏡には二人の後ろ姿と、さらに彼らに対峙する二人の男性が映り込んでいる。鏡の上には「ヤン・ファン・エイクここにありき。1434年」という署名が騙し絵のように書き込まれている。

《大使たち》ホルバイン

室内に並んで立っている二人の男。二人の足元には、斜めに引き伸ばされた頭蓋骨がおかしな具合に浮かんでいる。絵画にはそのほかに、楽器、航海道具、本といった「知識・権力」を象徴する小道具がたっぷりと詰め込まれている。これらのモチーフが足元の頭蓋骨と相まって、人の営みの究極的な虚しさを示唆しているという。

《我が子を喰らうサトゥルヌス》フランシスコ・デ・ゴヤ

この絵画はゴヤが自宅の壁に描いた連作「黒い絵」の一点である。描かれた場面のおどろおどろしさとその陰気な画風は、狂気への不安、権力への批判、人間本性への根深いペシミズムを反映しているとされている。

《真珠の耳飾りの少女》ヨハネス・フェルメール

少女の謎めいた表情、真珠の耳飾りの輝き、ターバンの美しい青が印象的なこの絵画は、ヨハネス・フェルメールの最も知られた一作である。この少女のモデルとなった人物の素性はいまだに分かっていない。大ぶりの真珠が黒い闇のなかでつつましげに輝いている。

《叫び》エドヴァルド・ムンク

ノルウェーの画家、ムンクの代表作となっている《叫び》は、極度の不安に襲われたときの体験をもとに描いたものだと彼自身あるところで書いている。絵の人物は、おそらく神経的なものからくる激しい恐怖に襲われている。この人物は人生における危機に直面していると考えることもできるし、あるいはより哲学的に、人間存在の根本を揺るがす実存的不安に打ち震えていると取ることもできるだろう。

《天文学者》ヨハネス・フェルメール

この絵画で気にかかるのは、描かれている学者とフェルメールの関係性である。当時使われていた科学的器具の正確な描写にも注目したい。フェルメールは科学に強い興味を持っていたのだろうか? 同時代の科学者たちと親密な交友関係があったのだろうか?

《ローヌ川の星月夜》フィンセント・ファン・ゴッホ

精神病院に入院中のゴッホが描いた《星月夜》のほうが有名だが、その作品に先立つ《ローヌ川の星月夜》もまた、青と黄色の色彩が印象的な一作だ。この絵画の謎は、ローヌ川のこの位置から見えるのは南西の空であるはずなのに、そこに見えるはずのない北斗七星が堂々と輝いていることである。

《接吻》グスタフ・クリムト

クリムトの代表作《接吻》の謎は、恋人たちのこの黄金色の抱擁の裏にどのような象徴的意味合いが隠されているか、ということである。ある人々はこれを愛の理想の地上的表現であると解し、またある人はこの抱擁を、精神と肉体の融合というふうに読み解く。

《アメリカン・ゴシック》グラント・ウッド

この絵画を見てまず目に飛びこんでくるのは、干草を持ち上げるときに使うようなピッチフォーク、それを持つ農夫とその娘だろう。もっとも、絵のタイトルになっている《アメリカン・ゴシック》は二人の背後にたたずむ家の建築様式に由来している。この絵は1930年に製作されたが、発表当時それほど人気はなく、この作品に感情を傷つけられたと感じる人すらいたという。だが、やがて世界恐慌が深刻化し、先行きの不安な時代になると、この絵の農夫たちの有無を言わせぬ存在感はむしろ好意的に受け止められるようになったという。

《バベルの塔》ピーテル・ブリューゲル(父)

旧約聖書中の「バベルの塔」のエピソードは、いかにして世界の人々がそれぞれ異なる言語を話すようになったのか、その由来を説明をするものである。そのエピソードを主題としているこの作品は、縦114cm・横155cmという巨大なスケールと、思わず舌を巻いてしまうような精密な描写によって知られている。どうしてブリューゲルは伝説上の建造物であるバベルの塔を、ここまで緻密かつ写実的に描けたのだろう?

《オランピア》エドゥアール・マネ

この絵画は発表当時、大きなスキャンダルとなった。その大胆かつ直接的な表現と、挑戦的なまなざしをした女性の裸体によって。裸体の女性という伝統的主題は、マネの手によって虚飾を剥ぎ取られ、現代的なものに生まれ変わったのである。

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