サンドラ・ブロックの軌跡:90年代の大ブレイクから現在まで

往年の名女優サンドラ・ブロック
サンドラ・アネット・ブロック
ドイツとオーストリアで暮らした幼年時代
オペラ、バレエ、演劇
ニューヨークの「いかがわしい一角」で
初期の出演作
TV版『ワーキング・ガール』(1990年)
『Love Potion No. 9』(1992年)
『デモリションマン』(1993年)
『スピード』(1994年)でブレイク
『スピード』 (1994)
ロマコメとアクション
『評決のとき』(1996年)
90年代のサンドラ・ブロック
『デンジャラス・ビューティー』(2000年)
ゴールデングローブ賞ノミネート
多彩な役
コメディ映画で大ヒット
ドラマ女優として
『しあわせの隠れ場所』
アカデミー賞向きの作品
『ゼロ・グラビティ』(2013年)
興行収入で記録達成
ベテラン女優として
仕事と家庭生活の両立
58歳で休業を決意
サンドラ・ブロックの今後
往年の名女優サンドラ・ブロック

多彩な魅力で1990年代のハリウッドを席巻したサンドラ・ブロック。キャリアの絶頂を振り返るとともに、往年の名女優の今を追ってみよう。

 

サンドラ・アネット・ブロック

1964年7月26日にバージニア州アーリントン郡で誕生。ドイツ系移民の母、ヘルガ・マティルデは歌手兼オペラ教師、父のジョン・ウィルソン・ブロックも米軍に務めるかたわら声楽を教えていた。

 

ドイツとオーストリアで暮らした幼年時代

サンドラは両親が出会った街、ニュルンベルク(ドイツ)で育ち、オーストリアのウィーンやザルツブルクで暮らしたこともあるという。したがって、ドイツ語に堪能なのは言うまでもない。その後、サンドラが12歳のときに一家で米国に戻ることとなった。

オペラ、バレエ、演劇

幼いサンドラは音楽家の両親のもとでバレエを学ぶ一方、児童オペラ合唱団に参加。米国に移ってからは演劇製作に参加し、大学では舞台劇術の学位を取得している。出演作は『ピーター・パン』や『三人姉妹』など。

 

ニューヨークの「いかがわしい一角」で

大学卒業後、女優を目指してニューヨークで挑戦を続けたサンドラ・ブロック。自活するためウェイトレスやバーテンダー、クローク業務など、様々な仕事を渡り歩いたが、ときには「いかがわしい一角」で働くこともあったという。それでも、夢をあきらめずにオーディションを受け続けた。

 

初期の出演作

学生映画やオフ・ブロードウェイの演劇『No Time Flat』に出演した後、1989年にはTV番組『Bionic Showdown: The Six Million Dollar Man and the Bionic Woman』でTVデビューを果たす。

 

TV版『ワーキング・ガール』(1990年)

90年代の幕開けとともにサンドラのキャリアは開花してゆく。まず、TV版『ワーキング・ガール』に秘書テス役で出演、1シーズンにわたってストーリーを盛り上げた。

『Love Potion No. 9』(1992年)

1992年、サンドラ・ブロックは、当時すでに有名俳優だったテイト・ドノヴァンと『Love Potion No. 9』で共演。惚れ薬を作ってモテようとするオタク科学者2人組を演じた。『ピープル』誌によれば、2人は私生活でも1990年から1994年まで交際していたとのこと。

『デモリションマン』(1993年)

1993年には、SF映画『デモリションマン』でシルヴェスター・スタローンやウェズリー・スナイプスと共演。サンドラは新人警官レニーナ・ハックスリーを演じた。

 

『スピード』(1994年)でブレイク

しかし、サンドラに転機が訪れたのは、キアヌ・リーヴスと共演した『スピード』(1994年)だろう。この作品でサンドラは、ハイジャックされたバスに乗り合わせていた乗客を演じた。

 

『スピード』 (1994)

目くるめく展開で観客を魅了する『スピード』は大ヒットとなり、サンドラの知名度も一気にアップ、サターン賞主演女優賞を獲得した。キアヌ不在の続編『スピード2』は失敗に終わったものの、1100~1300万ドルのギャラ(AMC放送の推定)はサンドラを経済的に支えることに。

 

ロマコメとアクション

『スピード』の後にキャリアの絶頂に達したサンドラ。『あなたが寝てる間に…』(1995年)をはじめとする、90年代らしいロマンスコメディが得意分野だった。この作品でサンドラは、昏睡状態に陥ったハンサムな実業家ピーターの婚約者のフリをする孤独な地下鉄職員を演じ、ゴールデングローブ賞にノミネートされている。

『評決のとき』(1996年)

ジョン・グリシャム原作の小説を映画化したこの作品でサンドラが演じたのは、白人が大半を占める法廷で黒人の被告を弁護する役で、マシュー・マコノヒーとタッグを組んだ。2人は私生活でも交際することとなったが、あまり長続きしなかった。

 

90年代のサンドラ・ブロック

スリラー『ザ・インターネット』(1995年)で当時普及し始めたインターネットの謎に挑んだほか、『微笑みをもう一度』(1998年)やニコール・キッドマンと共演した『プラクティカル・マジック』(1998年:写真)や、ベン・アフレックと共演した『恋は嵐のように』(1999年)でも活躍している。

 

『デンジャラス・ビューティー』(2000年)

2000年の『デンジャラス・ビューティー』では主演のほか製作も担当。サンドラ演じる仕事一筋のFBI捜査官は、美人コンテスト爆破テロを阻止するため、イベントに潜入するが……

 

ゴールデングローブ賞ノミネート

この作品は続編が作られるほどの大ヒットを記録。美人コンテスト出場者としてバイエルンの民族衣装に身を包み、グラスハープを弾くシーンは有名になり、ゴールデングローブ賞にもノミネートされている。

多彩な役

20世紀が終わりに近づくにつれ、これまでとは毛色の違う役もこなすように。『完全犯罪クラブ』(2002年)や『クラッシュ』(2004年)、『イルマーレ』(2006年)、『シャッフル』(2007年)、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(2011年)といった作品で演技の幅を広げた。

 

コメディ映画で大ヒット

同時に、ヒュー・グラントと共演した『トゥー・ウィークス・ノーティス』(2002年)やライアン・ゴズリングと共演した『あなたは私の婿になる』(2009年:写真)。ブラッドリー・クーパーと共演した『ウルトラ I LOVE YOU!』(2009年)では得意のロマコメで勝負。しかし、『ウルトラ I LOVE YOU』では、ゴールデンラズベリー賞最低主演女優賞および最低スクリーンカップル賞を手渡されることになってしまった。

 

 

ドラマ女優として

『しあわせの隠れ場所』(2009年)では、アカデミー賞主演女優賞を獲得したほか、ゴールデングローブ賞でもドラマ部門の主演女優賞を獲得。ドラマ女優としての地位を確立した。

 

 

『しあわせの隠れ場所』

サンドラ演じるリー・アン・テューイは、家庭に問題を抱える男児マイケルを養子として迎え、アメフト選手へと成長する息子をサポートする。

 

アカデミー賞向きの作品

この作品は実話がもとになっており、社会問題に取り組む視点から物語が描かれているほか、主役のサンドラも自らの境遇とは全く違うインテリアデザイナーを演じるなど、アカデミー賞にふさわしい要素を多く含んでいた。

 

 

『ゼロ・グラビティ』(2013年)

SFサスペンス『ゼロ・グラビティ』では、宇宙空間で遭難し何とか地球に帰還する宇宙飛行士を演じ、再びアカデミー賞およびゴールデングローブ賞にノミネートされる。

 

興行収入で記録達成

『バラエティ』誌が2013年に伝えたところによると、『ゼロ・グラビティ』はSF映画としては異例の大ヒットとなり、サンドラにとっても共演者のジョージ・クルーニーにとっても記録的となる興行収入を達成したという。

 

 

ベテラン女優として

2010年代、ベテラン女優として大成したサンドラ。2010年には『タイム』誌によって「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたほか、『エンターテインメント・ウィークリー』誌によって「ハリウッドで最も影響力のある女優」に選出されている。

 

仕事と家庭生活の両立

同時に、私生活にも大きな変化が。2010年にはジェシー・ジェームズと離婚したほか、2人の養子を迎えることとなった。

58歳で休業を決意

2022年、58歳となったサンドラは映画『ザ・ロスト・シティ』のプロモーションの中で、しばらく休業し子育てに専念すると発表。キャリアと家庭生活を両立させるのは大変なのだ。TV番組『エンターテインメント・トゥナイト』では、「仕事にはいつも真剣に取り組んでいます。今は赤ちゃんや家族に持てる時間すべてを割きたいんです」と語っている。

 

 

サンドラ・ブロックの今後

休業によってサンドラ・ブロックの活躍は過去のものとなってしまうのか、それとも60代を迎えて再びスクリーンを沸かせてくれるのか、類まれな才能を誇る名女優の今後に期待しよう。

 

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