トランプ支持派の危険な主張:政治的正当性があれば「暴力」だって問題なし?

「政治的暴力」を積極的に認める
「MAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン)」
市場調査会社イプソスが実施
アンケートの内容
回答者を4つのグループに分類
半数以上が政治的暴力を肯定
政治的暴力およびその他のグループ
強力なリーダーを求める風潮
武装した市民が投票所を巡回すべき?
人種問題に対する意識
白人は移民に乗っ取られる?
民主主義に対する深刻な脅威
政治的信念にかかわらず「脅威」を感じる人々
MAGA派共和党支持者の特異性
意外な傾向
MAGA派は自ら暴力行使をしたがらない?
よい傾向ではあるが……
「政治的暴力」を積極的に認める

米国では最近行われた調査によって、「政治的暴力」を積極的に認める立場をとる人々の存在が明らかになった。すでにおわかりかもしれないが、2024年の米大統領選を左右すると見られるあの勢力だ。

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「MAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン)」

学術誌『PLOS ONE』上で公開された調査によれば、トランプ元大統領が掲げるスローガン「MAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン)」に共鳴する共和党支持者は、それ以外のグループに比べて政治的暴力を肯定する人の割合が高かったという。

 

市場調査会社イプソスが実施

このアンケートは市場調査会社イプソスが2022年5月から2022年6月にかけて実施したもので、米国社会を反映するように抽出された8,620人が対象者となった。

アンケートの内容

ニュースサイト「PsyPost」によれば、アンケートでは回答者の人種に加え、民主主義や社会問題に対する考え、政治的暴力の行使に関する意見などが尋ねられたという。

 

 

 

 

回答者を4つのグループに分類

さらに、自衛権や民主主義の擁護に関する質問がなされ、回答者はその傾向に基づいて4つのグループに分類されたとのこと。

 

その内訳は「MAGA派の共和党支持者」「熱心な共和党支持者」「その他の共和党支持者」「共和党支持者でない人々」となっている。「MAGA派の共和党支持者」というのは、2016年の大統領選でトランプ元大統領に投票し、2020年に同氏が落選した際には選挙結果に強く異議を唱えた人々のことだ。

半数以上が政治的暴力を肯定

MAGA派の共和党支持者たちは政治的な目標を追求する上で暴力の行使は正当化され得るかという質問に対し58%が「イエス」と回答、その他のグループよりも圧倒的に高い割合を示したのだ。

 

政治的暴力およびその他のグループ

一方、同じ質問に「イエス」と回答した熱心な共和党支持者は38.3%、その他の共和党支持者は31.5%、共和党支持者以外の人々は25.1%となっている。

強力なリーダーを求める風潮

しかし、MAGA派の共和党支持者を特徴づける信念は政治的暴力の肯定だけではない。このグループでは、米国の民主主義を維持するためには強力なリーダーが不可欠だと回答した人の割合がおよそ3分の1に達したのだ。

武装した市民が投票所を巡回すべき?

さらに、MAGA派の共和党支持者は19.2%が、武装した市民による投票所の巡回を実施すべきだと回答したほか、米国の政治制度に関する陰謀論「Qアノン」を強く信じる、あるいは信じて疑わないと答えた人も26.7%に上っている。

 

人種問題に対する意識

また、MAGA派の共和党支持者たちの間では、米国における白人はアフリカ系米国人よりも社会的に有利だと考える人の割合が非常に低かったという。一方、共和党支持者以外の人々では、62.6%がこの考えに賛同している。

 

白人は移民に乗っ取られる?

そして、MAGA派の共和党支持者はその51%が、米国生まれの白人は有色人種の移民によって追いやられつつあるとする「リプレイスメント・セオリー」を強く信じる、あるいは信じて疑わないと回答。

 

民主主義に対する深刻な脅威

しかし、米国の民主主義が深刻な脅威にさらされていると思うかという問いに対してはどのグループも「イエス」と回答した人の割合が高く、MAGA派の共和党支持者では90%に達した。

政治的信念にかかわらず「脅威」を感じる人々

同様に、熱心な共和党支持者では74.4%、その他の共和党支持者でも61.7%、共和党支持者以外では70.1%が民主主義に対する脅威を感じていることが判明。ただし、何を「脅威」とみなすのかという点で、グループごとに差異があるものと見られる。

MAGA派共和党支持者の特異性

論文著者らいわく:「この調査結果が示唆するのは、MAGA派の共和党支持者が特異な少数派であり、その他の共和党支持者に比べて、人種差別的で根拠のない妄想を信じ込む人の割合が圧倒的に高いであろうということだ」

 

 

意外な傾向

興味深いことに、MAGA派の共和党支持者は政治的目的を追求する上で暴力行使は正当化されると考える人の割合が高いにもかかわらず、自ら暴力に訴えるのは避ける傾向があるようだ。

 

MAGA派は自ら暴力行使をしたがらない?

論文著者たちによれば、「MAGA派の共和党支持者たちが政治的暴力を生みだす土壌になるかもしれないという懸念は正当化され得るだろう。しかし、自ら暴力を行使するかどうかという点については、彼らもその他の人々と比べてとりわけ積極的というわけではなく、注目に値する」とのこと。

よい傾向ではあるが……

これについて著者の1人、ゲレン・ウィンターミュート氏は「暴力に消極的だというのはよいことだが、留意しなくてはならないことがある:自ら行使する気がなくとも暴力を支持する人がいれば、積極的な人々を勢いづけてしまうかもしれないのだ」と述べている。

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