逮捕後に公開されたトランプ前大統領のマグショット
アメリカ大統領選挙で再選を目指しているトランプ前大統領だが、さまざまな疑惑から捜査対象となり、昨年3月には大統領経験者としては初めて起訴されている。
さらに昨年8月24日、トランプ前大統領はジョージア州のアトランタ拘置所に出頭。前大統領は2020年の米大統領選で敗北を覆すために、同州の集計手続きに不正に介入したとして起訴されていた。
そんなトランプ前大統領の逮捕時のマグショット(写真)が公開され、話題となっている。
写真:Fulton County Sheriff’s Office via Getty Images
トランプ前大統領は、自身のX(旧ツイッター)のアカウントに約2年7か月ぶりとなる投稿をした。出頭した際に撮影されたマグショットに「選挙干渉 決して屈しない」の文字と前大統領のウェブサイトへのリンクが添えられている。
既にトランプ前大統領の政治活動委員会(PAC)は、この顔写真をTシャツにして資金集めを実施。47ドル以上の寄付をした人(47という数字は、前大統領が第47代大統領に選出される可能性があることを示す)には、前代未聞のマグショットの下に「決して屈しない」と書かれたTシャツが無料で贈られた、と『ポリティコ』が報じている。
トランプ前大統領の弁護士とフルトン郡の地方検事が署名した保釈同意書によると、前大統領は20万ドルの保釈金を支払い、裁判を待つ間、ソーシャルメディアに脅迫的なメッセージを送らないよう命じられていると、『ロイター』が報じた。
トランプ前大統領に対する起訴は、今回のジョージア州のもので4回目となる。アトランタ大陪審は、同州の2020年大統領選挙を妨害しようとしたとして、トランプ前大統領と側近ら18人を起訴した。
『ロイター』によると、ジョージア州で起訴されたトランプ前大統領の側近には、写真のルディ・ジュリアーニ弁護士とジョン・イーストマン弁護士も含まれる。二人は今週当局に自首したという。
2020年の大統領選挙で、ジョー・バイデン大統領の勝利を覆すためにトランプ前大統領と側近らはさまざまな取り組みを行ったとされる。今回の起訴はこうした取り組みに対し長期にわたり実施されてきた犯罪捜査に基づいている。
トランプ前大統領の2度目の起訴は、7月に機密文書を不適切に持ち出した疑いだ。初めて起訴されたのは3月30日で、2016年に不倫相手への口止め料支払いの記録を改ざんしたとして、マンハッタン地区検事により起訴されている。
トランプ前大統領に対して行われた刑事告発と各捜査は、同氏の政治家としてのキャリアにさまざまな法的問題をもたらしている。その1つは、刑事告発によりトランプ前大統領の大統領選への出馬資格が剥奪される可能性があるということだ。
米国憲法は大統領になるための条件として、35歳以上であること、14年間米国に居住していること、生まれながらの市民であることなどを明確に定めている。しかし、過去に起訴された、有罪判決を受けた、あるいは刑務所に収監された人を条件から外してはいない。
もしもトランプ前大統領が2024年の大統領選に勝利し、なおかつ収監された場合は刑務所内から米国を統治することになる。それは不可能ではないが『フォーチュン』誌は、司法省が1973年のメモで、刑務所からの統治は中核機能に影響を及ぼすため極めて困難であると結論づけたとしている。
スパイ防止が施された部屋での海外との会談、機密情報へのアクセスなど、大統領として不可欠な機能を果たすことは「極めて困難」であると司法省のメモは結論づけた。しかし、不可能ではない。
同記者によれば、もし大統領選に失敗すれば、懲役刑も視野に入ってくるという。しかし、トランプ前大統領には勝算がある。最近の『ニューヨーク・タイムズ』紙とシエナ大学の世論調査によると、トランプ前大統領は主要ライバルのデサンティス氏を圧倒しており、バイデン大統領と互角に戦えるだろうとしている。
しかし、裁判のタイミングは重要かもしれない。CNNの政治コメンテーターであるスコット・ジェニングス氏(共和党)は、有権者は2024年11月に新大統領を決める前に、刑事事件の結果を知る権利があると主張した。
しかし、CNNによると、検察側は2024年3月4日に裁判を開始することを提案したが、トランプ前大統領の弁護団は2026年の裁判を求めているため、結果は大統領選挙前には分からない可能性があるという。
最終的に延期が発表され、4月15日に初公判が行われた。トランプ氏は元米大統領として初めて刑事事件の被告人として出廷。公判は5月まで続く見通しだ。