ウクライナのドローン攻撃、ロシア空軍基地の超音速爆撃機を破壊
ウクライナ軍は、ロシア軍のきわめて重要な超音速爆撃機をドローン(無人機)によって破壊した。この大胆不敵な攻撃により、ロシア当局にとっては無人機の脅威がさらに増した形になった。
BBCニュースによると、ロシア空軍の主力爆撃機のうちの一機が、サンクトペテルブルクのやや南に位置する「ソリツイ2」空軍基地で破壊されたという。8月19日のことだった。
写真:Wiki Commons
破壊されたロシアの超音速爆撃機は「ツポレフ22M3」という航空機である。ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、ロシア空軍のこの爆撃機はウクライナ国内の目標をたびたび攻撃してきた。
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BBCニュースが指摘するように、航空機を一機破壊しても、ロシアの勢力を大きく減じることにはならない。だが、この無人機攻撃の成功により、ウクライナ軍の「敵基地攻撃能力」が磨かれつつあることがいよいよ明らかになった。
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ウクライナ軍はロシア国内の目標に向けて、これまで大量の無人機を飛ばしてきた。そしてこのたびの空軍基地への攻撃により、ウクライナ軍は両国の国境から650キロメートルほどロシア側に入った標的に無人機を命中させたことになる。
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ロシア国防省はこの攻撃により、航空機一機が損傷を被ったとしている。
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『キーウ・ポスト』の報道によると、ロシア国防省は次のコメントを出した。「モスクワ時間の今日10時00分、ノヴゴロド州の空軍基地に対し、ウクライナ軍はヘリコプタータイプのUAV(無人航空機)によってテロ攻撃を仕掛けた」
ロシア国防省はさらに、「このUAVは空軍基地の監視システムによって感知され、小火器による対空砲火を受けた」としている。
Telegram(テレグラム)のいくつかのチャンネルでは、この無人機攻撃によって2機目のロシア爆撃機も損傷を受けたとする話も出ている。だが、真偽のほどは明らかになっていない。
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イギリス国防省国防情報参謀部は22日、この無人機の攻撃によって、ロシア軍の超音速長距離爆撃機「ツポレフ22M3 バックファイア」の少なくとも一機が破壊されたとする見方を示した。「バックファイア」とはこの爆撃機に割り当てられたNATOコードネームである。
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「ロシア国防省が言うように、ヘリコプタータイプのUAVによって攻撃が行われたとするならば、ロシアの軍事拠点や軍備を攻撃する無人機について、そのいくつかはロシア領土内から発射されたものだとする見立てが強化されることになる」と、英国国防情報部は続けている。
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なぜなら「ヘリコプタータイプのUAVが、ロシアの外からソリツイ2空軍基地まで到達するとは考えにくいから」である。
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ひきつづき英国国防情報部によると、ロシア空軍はこの「バックファイア」爆撃機を飛ばし、「命中精度がひどく低いことで知られる『Kh-22 キッチン』空対艦大型ミサイルをウクライナに頻繁に投下してきた」という。
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「この戦争の初め頃には、この爆撃機は無誘導爆弾を用いてマリウポリに猛爆撃を仕掛けた」と、英国国防情報部は付言している。
英国国防情報部はこう締めくくる。「これは長距離爆撃機を擁する空軍基地に対して加えられ、そして成功を収めた少なくとも三例目の攻撃である。よってこの度、自国のふところ深くに位置する戦略拠点をロシアは満足に守れているのか、という疑念が再び持ち上がることになった」
『キーウ・ポスト』は、ウクライナ国防省情報総局のアンドリー・ユソフ報道官のコメントを紹介している。ユソフ報道官が言うには、この攻撃はウクライナ国防省と協力関係にあるグループによって実行に移されたという。
8月21日にはロシアのシャイコフカ空軍基地も無人機による攻撃を受けた。『ウクラインスカ・プラウダ』の報道によると、ソリツイとシャイコフスカの二つの空軍基地への攻撃によって、二機のツポレフ22M3完全に破壊され、その他航空機二機が軽微な損傷を負ったという。どちらの攻撃もロシア連邦領内から飛ばされたクワッドローター(四つの回転翼がついた無人機)によるものだったとしている。
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