米大学バレーボール:トランスジェンダー選手が物議を醸す
サンノゼ州立大学所属のブレア・フレミングはトランスジェンダーであり、キルと呼ばれるブロックを今シーズン250回記録するなど、華々しい成績を残している。
一方、チームのキャプテンであるブルック・スラッサーは、自身の安全と競技の公平性を保つため、フレミングにチームから離脱するよう求めてきた。
複数の大学がサンノゼ州立大との対戦を拒否した結果、今シーズンは7試合が棄権となり、スラッサーはフレミングとNCAAを激しく批判。「FOXニュース」や「アウトキック」などの米保守系メディアのインタビューに応じ、また定期的にXで自身の意見を投稿している。
2022年のNCAA女子選手権で、トランスジェンダーの水泳選手リア・トーマスと競い合ったライリー・ゲインズのように、スラッサーは男女別スポーツを推進する女性アスリートの代表となったのだ。
英「ロイター通信」によるとスラッサーはフレミングが他チーム、そして自分自身に及ぼすリスクを懸念し、NCAAへの集団訴訟に参加。ゲインズが中心となり、5,000万ドル(約77億円)の賠償金を求めて提訴を行なったという。
今回の集団訴訟では公的教育機関での性差別を禁止した、連邦法のタイトルIXが争点となっている。具体的には、NCAAが性自認に基づいて男性出身選手の女子スポーツへの出場を認めていることは、タイトルIXへの違反だと訴えたのだ。
米紙『サンフランシスコ・クロニクル』によると、スラッサーは集団訴訟の中でフレミングのことを「身長は約185cmで、体格的に相手チームを圧倒するトランスジェンダーの選手」と表現。また平均的な男子大学生に比べると32kmも速い時速128km以上のスピードで、フレミングがスパイクを打てると主張している。
加えてスラッサーはフレミングが相手チームと共謀して、コート上で彼女を負傷させたと主張。米「FOXニュース」によると、アシスタントヘッドコーチのメリッサ・バティ・スムースとともに大学に苦情を申し立てたが、その後コーチは解任されてしまったそうだ。
「サンノゼ州立大学は言論の自由を妨げ、正義のために声を上げた人々を黙殺しようとしています。女子スポーツには女性だけが参加すべきです」と、スラッサーは米保守系ニュースサイト「アウトキック」に語った。
フレミングに対する反発は激しさを増し続けている。10月以降の試合には警察官が常駐。11月9日のサンディエゴ州立大学との試合では、約200人が抗議のため集まったと同ニュースサイトは報じた。
一方のフレミングは今回の件について、正式なコメントを未だ発表していない。実のところ、彼女自身はトランスジェンダーであることを公言していないのだ。
フレミングがトランスジェンダーであると公に抗議しているのはスラッサーだけであり、2人が遠征で同室になった際、フレミングから男性として生まれたと打ち明けられたそうだ。
画像:Instagram @brookeslusser04
コート外ではフレミングを厳しく批判するスラッサーだが、コート内では他のチームメンバーと変わらず、得点の合間にハイタッチやハグを交わす姿が見られると米紙『サンフランシスコ・クロニクル』は報じている。
コロラド州立大学との試合後、スラッサーはこう語った。「コート上では、お互いを尊重することを一番大事にしています。私たちは全員、バレーボールの試合に勝つという一つの目標のためにここに来ているんです。私生活での出来事や、チームメイトの抱える事情は関係ありません」
サンノゼ州立大学は現在、マウンテン・ウェスト・カンファレンスで2位であり、12月のプレーオフ出場は濃厚。コート外での問題が連日取り沙汰される中、変わらずレベルの高いパフォーマンスを続ける2人の動向に注目が集まっている。