引退を表明したラファエル・ナダル:キャリアを通じて築いた資産はいくら?
テニス選手ラファエル・ナダルは今月開催されたデヴィス・カップで引退を表明し、その輝かしいキャリアに幕を下ろした。これまでの超人的な活躍を通じてテニス史に偉大な足跡を刻むとともに、引退生活を心おきなく謳歌できるような莫大な資産を築き上げた。実際、ナダルがキャリアを通じて手にした資産は、いったいどのくらいになるのだろうか。
ナダルがグランドスラム初優勝を飾ったのは今から19年前にあたる2005年の全仏オープンで、最初の大型スポンサー契約にあたるNIKEとの契約を交わしたのは今から26年前のことだ。以来、ナダルは目覚ましい成長を遂げてテニス界のレジェンドとなり、世界屈指の高収入を誇るアスリートとなった。
ATP(男子プロテニス協会)の公式ウェブサイトによれば、ナダルはキャリアを通じて男子シングルスで通算92勝を挙げ、うち22回はグランドスラム(テニスの4大大会)優勝を果たしている。そこから得られた獲得賞金は総額1億3,490万ドル(約2千億円)にのぼる。
米経済紙『Forbes』誌によれば、ナダルはこうした大会賞金に加え、スポンサー契約やイベント協力といったコート外の活動を通じて約5億5,000万ドル(約8千億円)を得たという。つまり、コート内外を合わせたキャリア全体の収入は約6億8,500万ドル(約1兆円)にのぼる。
これは驚異的な金額に思えるが、ナダルの長年のライバルで友人でもあるロジャー・フェデラーはそれを上回る報酬を手にしている。ナダルより早く2022年に引退を表明したフェデラーは、現役生活を通じて約11億ドル(約1.6兆円)を稼ぎ出した。
ナダルとスポンサー企業との関係をひとことで表すとすれば「忠誠心」だろう。たとえばKIA社との契約は2004年から続いており、ラケットメーカー「バボラ」との関係にいたってはナダルがまだ9歳だった2001年にまでさかのぼることができる。こうしたスポンサー企業の数は年を追うごとに増えていった。
ナダルがそのキャリアを通じてとりわけ長く、そして充実した関係を築いたスポンサーはNIKEだといえるだろう。同社はナダルがわずか12歳だった1998年にその才能を認め、スポンサー契約を交わしている。やがて世界屈指の選手となったナダルは同社テニス部門のアイコンとなったばかりか、同社が生産するウェアやシューズのデザイン製作にも関わることになった。
プロテニス選手としてのキャリアと並行して、ナダルは投資活動やホテル経営などを行っている。また、「ラファエル・ナダル・テニス・アカデミー」を創立し、国際的に高い評価を受ける名門スクールに育て上げた。
また、サッカーのレアル・マドリードファンの多くがナダルの熱烈なサポーターでもあり、フロレンティーノ・ペレス現会長の後任にふさわしい人物としてラファエル・ナダルの名を挙げている。そしてナダル本人もそうした考えにまんざらでもないようなのだ。
つまり、ナダルはプロテニス選手のキャリアに終止符を打ったものの、収入源に困るといった心配とは無縁のようだ。実業家としての新生ナダルの活躍にも注目していこう。