シニシャ・ミハイロヴィッチは、セットプレーのスペシャリストとして活躍し、センターバックでありながらキャリア通算で60以上のゴールを決めた。その多くはフリーキックからの得点で、ラツィオ在籍時にはハットトリックも達成している。その力強く正確なシュートにより、フィールドのどこからでもフリーキックを決めることができた。
サッカー史上最高のフリーキックキッカーベスト10
魔法のようなフリーキックを放つ選手たち
プレーの組織化が進み、革新的な戦術に注目が集まることが多くなっている近年のサッカー界。一方2000年代以降には、魔法のようなフリーキックを放つ名キッカーたちが活躍してきた。その輝きは色あせることなく、今も人々を魅了している。
芸術的なフリーキック
ロングシュートやパワフルな弾丸シュートを得意とする選手もいれば、カーブキックや技巧的なシュートで名を馳せた選手もいる。いずれにせよ、芸術的なフリーキックが観客たちを沸かせてきたのは間違いない。
史上最高のフリーキックキッカーベスト10
ここでは史上最高のフリーキックキッカーベスト10を見ていこう。記事中のデータはサッカー専門サイト「Transfermarkt」 から引用した。
ジュニーニョ・ペルナンブカーノ（ブラジル出身・77ゴール）
ジュニーニョはサッカー史上最高のフリーキッカーとして知られている。正確さとパワーを併せ持ち、フィールドのどこからでもフリーキックを決めることができた。コーナーフラッグ近くや、ゴールから40メートル離れた地点、ボックス付近といったあらゆる場所から得点している。相手チームにとっては、ジュニーニョのフリーキックはまさに脅威だっただろう。
フリーキックでの最多得点記録保持者
ジュニーニョはフリーキックから77ゴールを決め、史上最多得点記録を保持している。特に印象深いのは、チャンピオンズリーグのFCバルセロナ戦でのゴールだろう。コーナーフラッグ付近の深い角度からバルセロナGKビクトル・バルデスの頭上を抜くフリーキックを決め、世界中を驚かせた。
オリンピック・リヨンの救世主
ジュニーニョはフリーキックからゴールを量産し、オリンピック・リヨンのリーグ・アン7連覇に貢献。そのキック技術から、「魔法の右足」と称された。ジュニーニョは、世界最高のフリーキッカーとしてサッカー史に名を残し、今でもファンの間で語り継がれている。
ロナウジーニョ（ブラジル出身・66ゴール）
ロナウジーニョはサッカー史上最も才能に溢れ、ファンを魅了した選手の1人だ。遊び好きで素行が問題となることもあったものの、その才能は疑いない。卓越したドリブルセンスに注目が集まることが多いが、フリーキックからも66ゴールを決めている。
W杯でも直接フリーキックで得点
驚異的な技術と独特のゴールセンスを持つロナウジーニョは、ゴールキーパーが予測もできないような位置に蹴り込むキックを得意としていた。最も印象的なゴールは、2002年ワールドカップの準々決勝イングランド戦で見事なフリーキックを決め、ブラジル代表の決勝進出に貢献した場面だろう。
リオネル・メッシ（アルゼンチン出身・66ゴール）
リオネル・メッシはフリーキッカーとしても世界トップレベルの結果を残している。「Transfermarkt」によると、メッシはフリーキックで66得点をあげている。その内訳は、バルセロナで50点、アルゼンチン代表で11点、PSG で2点、インテル・マイアミで3点である。驚くべきことに、バルセロナではデビューから5年間、シャビがキッカーを務めており、メッシはフリーキックを蹴っていなかった。それでも50点を獲得していることからも、メッシの並外れたキック精度が窺える。
2016年から2021年までに多くのフリーキックを決める
2016年から2021年までの5年間で、メッシはFCバルセロナで30回以上フリーキックを決めた。なかでも印象的なのは、UEFAチャンピオンズリーグ準決勝のリバプール戦でのゴールだろう。チームは敗退したものの、素晴らしいフリーキックからの得点だった。
デビッド・ベッカム（イングランド出身・65ゴール）
精密なフリーキックと言えば、デビッド・ベッカムが思い浮かぶ人も多いだろう。フリーキックの魔術師ベッカムは、フリーキック1本で試合の流れやチーム全体の雰囲気を変えることができる選手だった。キャリアを通じて65回のフリーキックを決め、その勝負強さでファンを驚かせてきた。
ベッカムの最も印象的なフリーキック
ベッカムの最も記憶に残るフリーキックは、ワールドカップ欧州予選のイングランド対ギリシャ戦でのゴールだろう。試合終了間際、ベッカムはミサイルのような弾丸シュートをゴール上隅に決め、イングランドの2002年ワールドカップ出場権獲得に貢献。劇的な展開でチームに貢献する歴史的なフリーキックとなった。
クリスティアーノ・ロナウド（ポルトガル出身・64ゴール）
クリスティアーノ・ロナウドもサッカー史に残るフリーキッカーの1人だ。ロナウドは、30メートル以上離れたところからロングキックを決める技術を持っている。そのパワフルで鋭いシュートで、多くの選手のフリーキックに影響を与えた。
ユニークなキックスタイル
クリスティアーノ・ロナウドの独特なフリーキックのルーティン（ボールから4メートル離れたところで足を広げて立つ）は多くの選手に影響を与え、マーカス・ラッシュフォードらもこのスタイルを真似している。ロナウドはこのルーティンから、多くのロングキックを成功させてきた。
ジーコ（ブラジル出身・62ゴール）
意外かもしれないが、ブラジルのレジェンドであるジーコは史上最高のキッカーの1人だった。キャリア晩年はJ1の鹿島アントラーズでもプレーしたジーコは、フリーキックでキャリア通算62ゴールという素晴らしい成績を残している。
ブラジル史上最高のサッカー選手の1人
卓越したシュート技術とプレーの正確さで知られるジーコは、1982年ワールドカップのスコットランド戦でフリーキックから2ゴールを決め、世界を驚かせた。フリーキッカーとしてだけでなく、ドリブラーやプレーメーカーとしても秀でており、その万能さでブラジル史上最高のサッカー選手の1人として人々の記憶に刻まれている。
ミシェル・プラティニ（フランス出身・61ゴール）
3度のバロンドール受賞を誇るミシェル・プラティニは、サッカー史上最高の選手の1人として知られている。1983年から1985年にかけて、プラティニは大活躍を見せ、フランス代表をユーロ1984優勝に導いた。クラブではユヴェントスで圧倒的な輝きを見せ、セリエ Aを代表するプレーヤーとなった。そのなかでも、正確なフリーキックはプラティニの代名詞になった。
圧倒的なフリーキックの精度
キャリア通算61回のフリーキックを決めたプラティニは、柔らかく正確な軌道のキックが特徴だった。パワーではなくコースを重視し、ゴールキーパーの逆を突くキックで多くのゴールを量産。世界最高のプレーメーカーであると同時に、フリーキックのスペシャリストとして名を馳せた。
シニシャ・ミハイロヴィッチ（ユーゴスラビア出身・60ゴール）
ディフェンダーでありながらフリーキックから多くの得点を記録
1999年のバロンドールでは13位にランクインしたミハイロヴィッチは、ASローマ、サンプドリア、ラツィオ、インテルといったセリエAの名門チームでプレー。ユーゴスラビアとセルビアのレジェンドであるミハイロヴィッチは、ミシェル・プラティニを上回り、セリエAでフリーキックからの最多得点記録を保持。ディフェンダーでありながら高い得点力を誇ることで唯一無二のプレーヤーとして活躍した。
ロジェリオ・セニ（ブラジル出身・59ゴール）
フリーキックで通算59得点をあげたロジェリオ・セニは、ゴールキーパーとしてサッカー史上最多得点をあげており、フリーキックでのゴール数も史上第9位にランクイン。ゴールキーパーでありながらフリーキックからの高い得点能力を誇り、サッカー界に革命をもたらした。
サンパウロのレジェンド
セニはブラジルの名門サンパウロでキャリアの大半を過ごし、そこでなんと132ゴールを記録。これは、多くのストライカーのキャリア通算ゴール数を上回っている。セニはチームのPKキッカーも務めていたことで、ゴールキーパーとしての史上最多得点記録を打ち立てることになった。
ロベルト・カルロス（ブラジル出身・35ゴール）
史上最も美しいフリーキックの1つ
ロベルト・カルロスのフリーキックのなかでも最も有名なのは、フランス代表戦でのゴールだろう。30メートル以上離れた地点から放たれた弾丸シュートは、コースを塞いで立った相手選手の外側から信じられないカーブを描き、ゴールの隅に突き刺さった。物理法則を無視するかのような芸術的なシュートで見るものを釘付けにした。
世界最高峰のフリーキッカーたち
このリストに書ききれなかった選手は多い。ディエゴ・マラドーナもフリーキックから多くのゴールをあげたが、公式記録は残っていない。アンドレア・ピルロやアレッサンドロ・デル・ピエロ、ウェズレイ・スナイデル、ハカン・チャルハノール、フアン・ロマン・リケルメといった選手も間違いなくサッカー史に残るフリーキックの名手だ。
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