進化を遂げるミス・ユニバース大会:「女性」の定義を拡大

新オーナー元男性のトランスジェンダー女性
ミス・ユニバース応募資格の変更
新たなミス・コンテスト
発端は水着論争
CBSテレビによる全米中継
世界をまわるミス・ユニバース
1977年、白人以外の女性が初めて優勝
ミス・ユニバース大会の規約
未婚で出産経験のない女性
参加国の増加
変化する美の基準
内面の美を問う質疑応答
トランプ元米国大統領とミス・ユニバース
「トランプカード」
新たな発表方法
基本ルール:女性であること
「法的に女性であること」
トランスジェンダー女性が初参加
LGBTQ+コミュニティも参加
さらなる変化
独身である必要もなし
母親も応募可能
ミス・ユニバース機構の新しい見解
美しさの多様性
年齢幅も拡大
成熟した女性
新オーナー元男性のトランスジェンダー女性

2022年10月、タイの億万長者アン・ジャカポンが、ミス・ユニバースを主宰するミス・ユニバース機構を買収した。アンが新オーナーとなったことで、ミス・ユニバースは、大きな変化を遂げようとしている。

ミス・ユニバース応募資格の変更

アンが新オーナーとなる以前から、ミス・ユニバース機構は時代に合わせて大会ルールの変更を行っていた。今回は、この世界的に知られるミス・コンテストの歴史と、ルールの変換をみていこう。

新たなミス・コンテスト

ミス・ユニバース大会の誕生は1952年。当時すでにミス・コンテストが存在していたが、あることがきっかけとなり新たな大会、「ミス・ユニバース」が設立された。

 

発端は水着論争

1950年のこと、「ミス・アメリカ」の優勝者が、大会のメインスポンサーである水着ブランドから提供された水着でポーズをとることを拒んだ。それをきっかけに同ブランドを製造するパシフィック・ミルズ社はミス・アメリカのスポンサーから撤退し、独自のミス・コンテストを開催した。それが水着審査を含んだ、アメリカのみならず全世界を対象にした「ミス・ユニバース」だ。

 

CBSテレビによる全米中継

「ミス・ユニバース」の大会ルールは、時代とともに少しずつ変化していった。さらに、1960年以降はミス・ユニバースの全米テレビ中継が行われるようになる。

世界をまわるミス・ユニバース

それまで米国内のみで開催されていたミス・ユニバース大会は、1972年から毎年世界各地で開催されるようになった。最初のホスト国はプエルトリコ。

1977年、白人以外の女性が初めて優勝

白人以外の女性が初めて優勝したのは、1977年の大会。トリニダード・ドバゴ共和国出身のハネリュ・コミシオンだ。

ミス・ユニバース大会の規約

ミス・ユニバース大会の主な参加条件は配偶者の有無と年齢で、17歳から24歳までの未婚女性でであることが前提だ。ミス・ユニバースは「ミス」であって、「ミセス」ではないからだ。

未婚で出産経験のない女性

参加者は未婚でしかも出産経験のない女性に限られ、優勝者は在位中の1年間、結婚や妊娠をしてはならないとされていた。

参加国の増加

1990年代に入ると、ソビエト連邦の崩壊に伴い旧ソ連各国の女性も参加できるようになった。

 

変化する美の基準

新しい時代の到来は、美の基準に変化をもたらした。女性の権利拡大に伴い、ミス・コンテストでは外見的な美しさだけでなく、知性や人間性、特技なども評価されるようになったのだ。

 

内面の美を問う質疑応答

そのため最終候補者は質疑応答を受け、外見の美しさだけでなく人間性の魅力も問われるようになった。

トランプ元米国大統領とミス・ユニバース

1996年から2015年まで、ミス・ユニバースの所有権の一部はドナルド・トランプ元米国大統領が保有していた。彼の影響下にあった大会は、知性よりも「トップモデル」風の外見美がより重視される傾向にあった。

「トランプカード」

トランプ元米国大統領が大会に与える影響力は大きくく、彼自らが準決勝の4名を選ぶほどだった。『ザ・ニューヨーカー』誌によれば、トランプ元大統領は自分のお気に入りの国や、ビジネスで組みたいと思う国の候補者を選ぶ傾向にあった。大会参加者たちはそれを「トランプカード」と呼んでいたという。

新たな発表方法

以前はステージの上にファイナリストたちが全員並んで優勝者の発表を待つことになっていた。近年はファイナリストたちは下の順位から上へと順番に名前が呼ばれ、最後に優勝者と準優勝者だけがステージに残るという、よりドラマティックなシステムに変更された。

基本ルール:女性であること

主催機関であるミス・ユニバース機構は、時代に合わせてルール変更を行っている。例えば2012年以降は、参加者は「法的に女性」でなければならない、とされている。

「法的に女性であること」

「法的に女性であること」と定めたことで、トランスジェンダーの女性が大会に参加することが可能になったのだ。ただし、出身国が法的に女性として認めていることが条件となる。

 

トランスジェンダー女性が初参加

これによりより多くの女性に対しミス・ユニバースへの門が開かれ、2018年には史上初めてトランスジェンダーの女性が大会に参加することになった。スペイン代表のアンへラ・ポンセだ。

 

LGBTQ+コミュニティも参加

一方、ミス・ユニバース・スペイン(2014年)のパトリシア・ユレーナ・ロドリゲスは、女性と交際していることを明かした。また、2019年のミャンマー連邦共和国代表スエ・ツィン・テット(写真)は、レズビアンであることを公表した初めてのミス・ユニバース出場者となった。

 

さらなる変化

今、ミス・ユニバース機構はさらなる変化を遂げようとしている。「法的な女性」としたことに加え、応募資格をより一層広げる意図を明らかにしている。

独身である必要もなし

2022年9月、ミス・ユニバース機構は2023年大会から既婚女性の参加を認めることを発表した。創立から72年を経て、基本中の基本とされた大会規約に変更が加えられたのだ。

 

 

母親も応募可能

子どもを持つ女性の参加も認められる。結婚しているかどうかも問題とならない。この2つのルール変更は、ミス・コンテスト業界にとって画期的なものにあたる。

ミス・ユニバース機構の新しい見解

『デイリー・メール』紙によれば、ミス・ユニバース機構から入手した覚書にはこう記されていたという:女性は自分の人生にもっと主体的に関わるべき....。個人的な決断が、成功の妨げになってはならない。

 

 

美しさの多様性

世界的に美の基準がフレキシブルになり、各国の代表者に以前に増した多様性がみられるようになった。別大会ではあるが、2021年のミス・ドイツ大会では応募条件を拡大し、幅広い能力、体格、年齢幅の女性が対象となった。

画像: Miss Germany 2021 contestant Gina Rühl.

年齢幅も拡大

ミス・ユニバース大会の参加資格には年齢制限がある。しかし、制約が少しだけ緩和され、17歳から24歳までだった参加資格が、現在は18歳から27歳までとなっている。

成熟した女性

たとえばモデル歴50年以上、74歳にして現役モデルのメイ・マスク(億万長者イーロン・マスクの母)のような、成熟した女性にはまだミス・ユニバースへの参加資格が与えられていない。しかし、今後は年齢制限もなくなっていくのかもしれない。

 

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