癌を公表した英チャールズ3世:各界の反応は
2024年2月、英国王チャールズ3世が癌の診断を受けたと公表、世界中でニュースとなり、各国首脳やセレブ、他国の王族などがお見舞いのメッセージを送った。その後の展開やこれからの展望などをチェックしてみよう。
現在ロンドンで癌の治療を受けているチャールズ国王。2月5日にはロンドンで外来治療を受けている。ちなみに、正確な診断名は公表されておらず、王室からは「ある種の癌」としか言われていない。
ただし、前立腺癌ではないことは確かなようだ。かつて前立腺肥大で治療を受けていたこともあって今回も前立腺癌ではないかとの見立てが広まっていたが、英紙『ガーディアン』の報道では王室が否定したと伝えられている。
『ピープル』誌の報道では、チャールズ国王は公の場に姿を見せる公務は延期するよう助言されたという。ただし、それでも国王が目を通すことを求められる各種書類の入った通称「レッド・ボックス」のチェックは続けるとされる。
王室伝記作家のロバート・ハードマンは『ピープル』誌にこう語っている:「そうはいっても、国王のやるべきことはたくさんあります。数百人のゲストを迎えたりすることはなくなるでしょうが、国王自身もそれ以外の公務は続けるつもりでしょう」そして実際、その通りになっているようだ。
2月5日に王室が発表した声明では、国王は治療について「全面的に前向き」であり、「国務や各種公的書類の処理も普段通り続ける」予定であると述べている。
また、リシ・スナク首相とも緊密に連絡をとっているようだ。スナク首相の広報がこうコメントしている:「首相は(国王と)今後も連絡を続けると明言した」だが、どのようなサポートが行われるのかについてこれ以上の詳細は明かされなかった。
その後、2月21日には診断公表後初めてスナク首相と面会、改めてサポートの意向が伝えられた。『Town & Country』誌などが伝えている。
また、詳細には踏み込まなかったものの、スナク首相は国王の病状についてBBCラジオの取材に応えてこう語っている:「幸運にも癌は早期に発見されています。いまは治療がうまくいって回復されることが皆の願いです」
また、王室からの発表として、国王はただちにお付きの医療チームによるサポート下に置かれたとも述べられている。
というわけで、チャールズ国王はたしかに「公務から一歩退く」ことになったが、スナク首相も言うように、治療を続けながら多くのことを「やりこなす」ことができるだろう。
カミラ王妃は診断公表当初から国王へのサポートを表明していた。2月8日にソールズベリー大聖堂でのチャリティコンサートに参加した際には、ウィルトシャー州航空救急隊の隊員らと次のように話す一幕もあった:「こんな時でも、国王はとてもお元気そうにしています」
カミラ王妃はさらにこうも述べている:「国王は世界中のみなさんから頂いたお手紙やメッセージに大変心動かされ、元気を頂いています」アメリカのジョー・バイデン大統領もチャールズ国王にSNS上でお見舞いの言葉を述べている。
チャールズ国王が一時的に公務から退いたことで、多くの人がこれからどうなるのか気にしている。『ガーディアン』紙によると、今後はバッキンガム宮殿とケンジントン宮殿が協力して、一部の公務についてはウィリアム皇太子が引き継ぐことも検討するという。
先日までキャサリン妃が腹部の手術で入院していたこともあって、ウィリアム皇太子も最近公務に復帰したばかりだった。復帰後にチャリティ・ディナーに参加した際、皇太子はこう述べている:「この場を借りて、妻や父に頂いたお見舞いの言葉にお礼申し上げます。たいへんありがたく思っています」
41歳となったウィリアム皇太子はいままでこなしていた公務に加えて、父である国王のぶんも引き継ぐことになりそうだ。ただし、『ガーディアン』紙によると、王室に近しい関係者は「皇太子もベストを尽くされるでしょうが、国王もできる限りはご自身のお仕事を続けられるご意向です」と述べたという。
公務についている王族はほかにも10人ほど存在する。だが、その半数以上がすでに70歳を超えている。たとえばカミラ女王やアン王女、エドワード王子夫妻、リチャード王子夫妻、エドワード王子夫妻などだが、そういった人々も国王の公務を一部引き継ぐことになる可能性は存在する。
だが、『ピープル』誌の報道によると、現時点ではそういった人々に公務の肩代わりを依頼する予定はないという。このような公務の振替はふつう、国王が海外に行く際や体調不良の際に行われる。
実際、チャールズ国王は人前にこそ出なくなったが、できるかぎりすべての仕事を「やりこなす」つもりのようだ。カリブ海の島国グレナダがイギリスから独立50周年を祝った際にも声明を出し、式典に参加して共に祝うことができないのが「ただただ残念」と述べている。
チャールズ国王が診断公表後初めて姿を見せた2月6日には、ヘンリー王子と短い面会を行った。ヘンリー王子は夜のフライトでロサンゼルスからイギリスに渡っており、2023年5月以来の渡英となった。
『ガーディアン』紙によると、チャールズ国王はクラレンス・ハウスでヘンリー王子と「およそ45分間共に過ごした」あと、カミラ女王とともにヘリコプターでサンドリンガム・ハウスに帰ったという。その24時間後にはヘンリー王子はロサンゼルスに戻っていた模様で、王子がどこに滞在していたのかや、誰かと一緒にいたのかなどは明らかになっていない。
ひとつ示唆的と思われるのはある情報筋が『ニューヨーク・タイムズ』紙に語ったとされる内容で、それによるとヘンリー王子は兄のウィリアム皇太子とは会っていないのだという。父親である国王の健康問題やキャサリン妃の入院などがあったのに会わずに帰ったとなると、兄弟の仲は良好とは言えないようだ。時が解決するのを待つしかないのだろうか。