一生に一度は観に行きたい: 世界各地のピンクラグーン
鮮やかなピンク色をしたラグーンをご覧になったことがあるでしょうか?淡いピンクからビビットピンクまで、まるでおとぎ話のような信じがたい光景が広がっているわけですが、一体なぜこのような景色が生まれるのでしょうか?
写真家たちにとって絶好の撮影スポット、ピンクラグーン。もちろん、インスタ映えも抜群です。ドローンで撮影した鳥瞰写真では、周囲の風景とピンク色の水のコントラストが一層鮮やかに浮かび上がります。
写真:
Willian Justen de Vasconcellos / Unsplash
この色は自然に発生したものであり、塩分濃度の高い水中で見られるものです。ピンク色の素となるのは、カロテノイド色素を豊富に含む微生物や藻類(シオヒゲムシなど)。ベニイロフラミンゴのエサとしても知られています。
ただし、こういったラグーンの色合いは気象条件によっても異なり、日差しが強いほどより鮮やかな色を呈します。一方、曇りや雨の日は水面の反射が弱まり、印象が変わってしまうことになります。したがって、ピンクラグーンを訪れる際には天気にも注意する必要があるでしょう。
ピンク色のまだら模様を作る場所もあれば、真っ赤な膜を張る場所もあります。こういった違いは、塩分濃度や藻類の密度をはじめ複数の要素が絡んで生まれるものです。また、同じラグーンでも日によって異なる色を見せることは珍しくありません。
息を呑むような色合いを見せてくれるピンクラグーンですが、ありふれた現象ではありません。実際、世界中でも限られた場所にしか存在せず、中には辿り着くのが難しいものもあります。
では、ピンクラグーンはどこにあるのでしょうか? 数こそ少ないものの、実は世界各地に点在しています。もしかすると、意外と近くにあるかもしれませんよ。早速、チェックすることにしましょう。
ユカタン州北部にあるラス・コロラダスは人口1000人規模の小さな町ですが、ピンクラグーンのおかげで毎年大勢の観光客が訪れます。リオ・ラガルトス自然公園の中心部に位置するこのゴージャスな塩性湿地の広さは2,300ヘクタールあまり。多種多様なフラミンゴが暮らしています。
スペイン、アリカンテ県にあるトレビエハのラグーナ・サラダ・デ・トレビエハ。息を吞むような光景が1,400ヘクタールあまりにわたって広がっています。また、この湖は年間約 80万トンの塩を生み出す、ヨーロッパ屈指の塩田でもあります。
ピンクラグーンはフランス南部のカマルグでも見ることができます。ただし、塩の製造が行われているため、塩田全域を自由に訪れるというわけにはいきません。ラグーン南側にある製塩所は観光用に開放されており、気象条件が整う6月に訪問するのがオススメです。
世界屈指のビビッドな色合いを呈するピンクラグーン、ヒリアー湖(オーストラリア)。ご覧の通り、シュールなまでにピンク色です。しかし、ミドル島へのアクセスは容易ではないため、この光景を目にすることができるのは限られた人だけ。飛行機で上空を飛ぶか、5時間あまりの船旅(料金は1人あたり250ドル以上)で辿り着くしかないのです。
ボリビアのリペス川沿いにあるウユニ塩湖は世界的に有名ですが、一帯にはそれ以外にも色とりどりの美しい湖が横たわっています。そのうちの1つはとりわけ濃いピンク色で、光の具合によっては赤く見えることも。抜けるような青空と黄土色の山々を背景に6,000ヘクタールの湖が色彩のコントラストを生み出します。また、水辺にはフラミンゴが暮らすコロニーがあり、あなたの写真に彩りを添えてくれるでしょう。
ダカールの北20キロメートルにあるレトバ湖。水面がピンク色に染まるのを眺めるには、11月から6月にかけての乾季に足を運ぶのがオススメです。この湖では活発に塩の生産が行われており、数多くの労働者たちの暮らしを支えている。
続いては地中海に浮かぶバレアレス諸島。フォルメンテーラ島とイビサ島に広がるセス・サリネス自然公園では、思いがけないほど多種多様な生物たちが暮らしています。エメラルドグリーンの潮だまりにピンク色の塩性湿地がよく映えます。
トルコで2番目に大きい湖、トゥズ湖。「トゥズ(Tuz)」とはトルコ語で塩のこと。非常に水深が浅く塩分濃度も高いため、夏の間は湖水がほとんど蒸発してしまい、まるで砂漠のような景色を生み出します。
最後にご紹介するのはムルシア県にあるサリナス・イ・アレナレス・デ・サン=ペドロ・デル・ピナタル。この自然公園では、青い海と鮮やかなピンク色の塩性湿地が交わる美しい湖畔を自転車や徒歩で巡ることができます。