「太りすぎ」で仕事を逃したスターたち
自分らしい体形を誇る権利は誰にだってある。体重に一律の基準を設けるのは単なる押し付けに過ぎず、健康を維持できているなら体形についてあれこれ言われる筋合いはないはずだ。しかし、意外に多くのスーパースターが「太りすぎ」で差別されたことがあるというのだ。
ヴィクトリアズ・シークレットのカタログでモデルを務めるケイト・アプトンだが、ブランドのキャスティングディレクターは2012年、彼女の身体のラインを理由に、毎年恒例のファッションショーにアプトンを採用することはないと断言した。
「どうしようもないことでファッションショー参加を断られたのよ。ブラのサイズは生まれつきだから、変えられるものじゃない。モチベーションを保って運動したり健康を維持したりすることはできても、変えられないことだってある。私は自分らしい人生を送っているだけだし、神様がくれた身体にも満足しているわ。それによって、ほかの女性たちも自分の身体が気に入ってくれれば何よりね」アプトンは2013年に『Vogue』誌が行ったインタビューでこうコメントした。
「太りすぎ」で差別されたことがあるというジェニファー・ロペスも自分の価値観を大事にしている:「ずっと痩せるように言われ続けてきました。私は激しいダンスをするので、しっかりした身体が不可欠なのに。昔のマネージャーにも『体重を減らせ、もっと痩せろ』と言われていましたが、私は『嫌よ。これ以上痩せたら私じゃなくなっちゃう』と返してやったわ」
ライアン・ゴズリングは『ハリウッド・リポーター』誌のインタビューに対して、『ラブリーボーン』(2009年)の出演取り消しになったのは体重を27キロほど増やしたことが原因だったとコメントした。役作りで太る必要はあったのだが、やりすぎてしまったのだ。その結果、主役の座はマーク・ウォールバーグの手に渡った。
「キャラクターの容姿について監督とイメージが違ったのさ。僕は95キロくらいだと思っていたんだけどね」ライアンは『ハリウッド・リポーター』誌にこう語った。
妊娠、出産を経験したエヴァ・ロンゴリアは、従来的な女性美にあてはまる体形を取り戻すのに苦労することになった。幸運にも彼女にはチャンスが回ってきたものの、母親になってすこし太った女優にはいい役が回ってこなくなると批判している。
「女優が母親になり、妊娠前のスリムさを取り戻せないと、セクシーな役が回ってこなくなるという現状があります。そういう役を手に入れようと思ったら、お決まりのスタイルじゃないとダメなんです」とコメントした。
『ロード・オブ・ザ・リング』(2001年)でアルウェン役を演じるために痩せなくてはならなかったリヴ・タイラー。しかし、撮影を終えると体重が戻ったばかりか、以前より14キロ増えてしまったせいで、声がかからなくなってしまった。
いわく「直接的に言われたわけじゃないわ。でも、映画に出演したいならもっとスリムになるようにと遠回しに仄めかされたの」しかし、彼女は断固として屈しなかった。リヴ・タイラーは言う: 「ハリウッド基準なんてまっぴら。私のことを太っているなんていうのはハリウッドだけなんだから。それに、私は自分のルックスが気に入っているの」
『ベティ~愛と裏切りの秘書室』(1999年)で知られるコロンビアの女優、エステファニア・ゴメスは、甲状腺の病気で体重管理が難しく、そのせいで役をいくつか逃してしまったという。
「ある日、私はマネージャーにこう尋ねました。『どうしてこの素敵な作品の出演依頼がこないのかしら?私、この役にぴったりじゃない』すると、マネージャーが言ったんです:『制作陣がこう言っているんですが……』そこで、メッセージを読んでみると「エステファニアは相変わらずぽっちゃりなのか?」と書いてあったので、私ははっとしました」
ハリウッドを代表する有名女優、ジェニファー・ローレンス。しかし、彼女も「太っているから痩せなさい」と言われたことのある一人だ。
「私もほかの女優たちと同じように、不愉快な思いをしました。『太り過ぎだ、痩せないとクビだからね』といって脅されたんです」ジェニファーは『Harper's Bazaar』誌のインタビューにこう答えた。
ドラマシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(2016年)で知られる俳優、デヴィッド・ハーバーは、映画『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009年)でミュータント・ブロブ役を引き受けるはずだったが、肥満のせいでチャンスを逃してしまったという。彼は何と、オーディションの最後にシャツをまくり上げ「あなたたちのブロブはここにいる」と冗談を言ったのだ。
ハーバーが『The Wrap』誌に語ったところによると「俺は軽いジョークを言っただけだったのさ。でも、あとで呼び出されて、監督に会いにホテルに行くとこう言われたんだ:『デヴィッド、君は素晴らしい。本当にいい俳優だよ。でも、ちょっと不安なんだ』その時は、不安ってなんだろうと思った。そこで『心の準備はできています。やりましょう』と言ったところ、こんな返事が返ってきたんだ:『いや、シャツの下がちょっと、健康に不安がありそうだなと……」びっくりしたよ。『ちょっと待った、ブロブ役を演じるには太りすぎってことか?』これが、オーディションの一部始終。そんなこんなでチャンスを逃しちゃったんだ」
ケイト・ウィンスレットは映画『スティーブ・ジョブズ』(2015)で英国アカデミー賞を受賞したとき、記者団にこうコメントして自分の身体にコンプレックスを持つ若い女性たちに勇気を与えた: 「14歳の少女だった頃、演技指導の先生に『太っちょの役だけやっておけばいい』と言われました。でも、そんなことはなかった」
「私が若い女の子たちに言いたいのは、先生や友達、父親なんかに太っていると言われても相手にする必要はないということです。私がやったように無視して前に進めばいいんです。私は不安と恐れを克服しました。皆さんも自分を信じて乗り越えてください」ウィンスレットはこう続けた。