急逝した米俳優マシュー・ペリーさん(54)に関する捜査で医師ら5人が逮捕される
昨年10月、エンターテイメント界に大きな衝撃が走った。1994年から2004年にかけて米NBCで放送された大ヒットドラマ『フレンズ』に出演し、チャンドラー・ビング役で高い人気を博した俳優、マシュー・ペリーさんが54歳の若さで急逝したのだ。
マシュー・ペリーさんは2023年10月28日に、自宅のジャグジーで死亡しているのが発見された。その後検死が行われた結果、ペリーさんの体内から麻酔薬ケタミンが大量に検出されたと地元メディアが報じている。
当初、ペリーさんはジャグジーで体調を崩して溺死したと考えられていた。しかし検死により、死因は麻酔薬ケタミンの摂取にあることが明らかになった。
そこで警察は死因となったケタミンの出どころを問題視し、麻薬取締局(DEA)に協力を要請した。
以来、ロサンゼルス市警察と麻薬取締局は半年以上にわたり、ケタミンを提供した人物を捜索してきた。
そして最近になり、ロサンゼルス市警察はペリーさんにケタミンを提供したとされる5人を特定し、その逮捕に踏み切った。その中には「ケタミンの女王」と呼ばれるディーラーも含まれていた。
事件のあった日、ペリーさんはケタミンの摂取により心臓血管系に過剰な刺激が加わり、呼吸困難を起こしていたことが判明。さらにジャグジーにいたことも状況を悪化させたようだ。
ほかにもペリーさんは冠動脈疾患を抱えていたことや、オピオイド使用障害の治療に使われる化合物ブプレノルフィンを摂取していたことなどが明らかになった。
しかも、検死報告書によれば検出されたケタミンについて、見過ごすことのできない不審な点がいくつか明らかになったという。それはいったいなんだろうか。
ロサンゼルス検視局は2023年12月、ペリーさんが不安とうつ病の治療のためにケタミンの点滴を受けていたことを明らかにした。しかし、ペリーさんが最後に点滴を受けたのは亡くなる1週間以上も前だったという。ニュースサイト「TMZ」が伝えた。
そして、死亡したペリーさんの体内には全身麻酔で使用する量と同程度のケタミンがあったことが判明したが、ケタミンは3〜4時間で体外に排出されることから、体内に残っていたものは明らかに病院における治療で投与されたものではないという。
なお、ペリーさんの死後に警察が行った家宅捜索では、違法な薬物は発見されなかったとBBCが報じた。
ニュースサイト「TMZ」によれば、米郵政公社も捜査に協力し、ペリーさんが郵便で麻薬を受け取ったかどうかを調べている。
今回逮捕された5人のうち、「ケタミンの女王」として知られるジャスヴィーン・サンガ(41)は、死因となったケタミンをペリーさんに購入させた罪に問われている。
逮捕者の一人であるサルバドール・プラセンシア医師(42)は、約20点のケタミンをペリーさんに提供した罪に問われている。もう一人の逮捕者はマーク・チャベス医師だ。
ほかにもペリーさんのアシスタントをしていたケネス・イワマサが逮捕され、サンガ医師およびチャベス医師と協力してケタミンを渡していたとされている。あと1人はエリック・フレミングという人物で、死因となったケタミンを提供したことを捜査の過程で認めている。
さらなる調査、そして今後の裁判の行方にも大きな注目が集まることだろう。『フレンズ』でユーモアと皮肉さをあわせもつチャンドラー役を務め、多くの人々に愛されたマシュー・ペリーさんの死を取り巻く謎が明らかにされることを祈る。