画像で振り返る2022年の英王室ファミリー
エリザベス女王の崩御、王室スキャンダルや公式イベント、国君主の苦悩をドラマ化したNetflix作品『ザ・クラウン』の公開...... 波乱万丈の日々を過ごした英王室の昨年を画像を通じて振り返ってみよう。
ヨーク公アンドリュー王子はヴァージニア・ジュフリー氏に性的暴行をはたらいとして同氏から訴訟を起こされていた。その後、「インディペンデント」紙をはじめとするメディアは両者が「大枠で和解」し、和解金の額は約1,000万ポンド(約15億円)に達すると報じた。
すでに軍の名誉職や「殿下(His Royal Highness)」の敬称を使用する権利をはく奪されているアンドリュー王子は、本件については否定も肯定もせずあいまいな立場を取り、「ジュフリー氏が虐待の被害者であり、それにより不当な非難を受け苦しんでいることと認めます」というコメントを発表している。
イギリス国民はアンドリュー王子が公の場から姿を消し、肩書を奪われたことに一定の満足を示したが、高額な和解金や訴訟費用がエリザベス女王から、あるいは税金から賄われることのないよう求めた。
ヘンリー王子とメーガン妃は王室離脱したことから公共組織のロイヤルパトロンも退任。ヘンリー王子の後を引き継ぎ、キャサリン皇太子妃がラグビー・フットボール・ユニオンとラグビー・フットボール・リーグのパトロンに就任した。
2月、チャールズ皇太子は警察の取り調べを受けた。皇太子の側近が200万ドルと引き換えにサウジアラビアの実業家に爵位を与えたとして、皇太子の慈善団体であるプリンス・オブ・ウェールズ慈善基金の調査が開始されたのだ。皇太子は「慈善団体への寄付を理由にイギリス市民権や爵位を与えた疑惑について全く知らなかった」と述べたと、「ミラー」紙が報じている。
ヘンリー王子とメーガン妃は、NAACP(全米有色人種地位向上協議会)が主催するイメージアワードで特別賞にあたるプレジデント賞を受賞した。これは人種差別の撲滅など、社会に貢献した人に贈られる賞だ。過去の受賞者にはレブロン・ジェームズ、リアーナ、ジェイ・Z、モハメド・アリ、コリン・パウエル、コンドリーザ・ライスなど錚々たる有名人が名を連ねている。
ウィリアム皇太子とキャサリン妃は3月にカリブ海諸国を訪問。しかし、英王室による奴隷貿易の過去について賠償を求める現地の人々のデモに迎えられることに。
皇太子夫妻はジャマイカでフェンス越しに黒人の子供たちと手をつないだ姿を報じられ、厳しい抗議にさらされた。現在イギリス連邦の一員となっているジャマイカは、植民地支配の過去との決別を望んでいるのだ。
こうした状況を受け、寡黙なことで知られるウィリアム皇太子が異例の声明を発表した:「今回のカリブ諸国訪問を通じ、過去と未来に対する問いかけがより鮮明になりました。妻と私は人々に奉仕する立場にあります。それは人々に何をすべきか指示することではなく、幸運にも現在私たちが共有しているプラットフォーム(イギリス連邦という形態)を通じ、各国の人々にとり最善と思われる形で支援の手を差し伸べることなのです」
故フィリップ王子の追悼式典がウェストミンスター寺院で開催された。王室メンバーの女性の多くが故エディンバラ公への敬意を表し、殿下が好んでいた「エディンバラ・グリーン」を着用した。
負傷軍人などのための国際スポーツ大会「インヴィクタス・ゲーム」がオランダのハーグで開催された。カリフォルニアに越して以来、初めてヘンリー王子とメーガン妃が公の場に姿を現して話題に。
白のトップスにネイビーブルーのパンツ姿で会場に現れたメーガン妃は最初にスピーチを行い、「インヴィクタス・ゲーム」のパトロンを務めるヘンリー王子を「素晴らしい夫」として紹介した。
オランダ・ハーグで行われた「インヴィクタス・ゲーム」のレセプション前日、ヘンリー王子とメーガン妃が王室離脱後では初めてエリザベス女王と対面。各紙のヘッドラインを飾った。
エリザベス女王は健康状態の悪化により公式行事への出席が困難となっていた。5月はイギリス議会の開会式への出席と演説を59年ぶりに欠席、代わりにチャールズ皇太子に「女王の演説」を読み上げるよう指示した。
しかし、ロイヤル・ウィンザー・ホース・ショーではエリザベス女王の元気な姿が再び見られた。馬を愛する女王にとり、このホース・ショーはとくにお気に入りのイベントだったが孫娘のルイーズ・ウィンザーがパレードを先導したことにより、さらに特別なものとなったようだ。
エドワード王子夫妻の長女であるレディ・ルイーズ・ウィンザーが操っていた馬車は、彼女の祖父でエリザベス女王の亡夫であるフィリップ殿下が所有していたものだ。「サンデー・タイムズ」紙は、ルイーズが馬車に乗るようになったのはフィリップ殿下の影響だとしている。
キャサリン妃は『トップガン:マーヴェリック』のイギリスでのプレミア上映に出席、ローラン・ムレ(Roland Mouret)のエレガントなツートーンのドレス姿で姿を現し大きな喝采を浴びた。多くの人にとり、2022年の英王室ドレス姿のハイライトとなっている。
エリザベス女王の在位70周年を祝うプラチナ・ジュビリーが盛大に行われた。4日間にわたりコンサートやパレードなどさまざまな行事が行われ、いずれも大きな成功を収めた。
エリザベス女王の長女、アン王女は馬に乗ってジュビリーの祝賀会に登場。1998年以降、イギリスの騎兵連隊「ブルー・アンド・ロイヤルズ」の連隊長を務めているアン王女は、ホース・ガーズ・パレードで行われた式典に参加した。
世界がルイ王子に恋した瞬間だった。ホース・ガード・パレードでの式典の終わりに英国空軍レッドアローズによる儀礼飛行が行われた際、皇太子夫妻の末っ子であるルイ王子はあらゆる変顔を披露してみせた。
4日間にわたりエリザベス女王の在位70周年を祝う数々の公式行事が行われ、最後を飾るパレードもまた見ごたえのあるものになった。パレードに参加した兵士の数は1,400人を超え、馬は200頭、ミュージシャンは400人とされる。
在位70周年を祝うイベントのフィナーレ、プラチナ・ジュビリー・ページェントではロイヤルファミリーのほほえましい瞬間もカメラに収められた。ふだんは厳格な性格で知られるチャールズ皇太子が孫のルイ王子を膝にのせる姿がキャッチされたのだ。ルイ王子は母親を押しのけ、「おじいちゃんと座りたい」と駄々をこねたそう。
プラチナ・ジュビリー・ページェントが行われた6月5日、エリザベス女王はケンブリッジ公爵一家とともにバッキンガム宮殿のバルコニーに姿を現した。女王はいつの日か国王となる曾孫のジョージ王子と並び、仲睦まじい様子を見せた。
セントポール大聖堂では即位70周年を感謝する礼拝が行われた。王族や親近者に交じりヘンリー王子とメーガン妃も登場、ロイヤルファミリーの中でもとくに気の置けないメンバーと並び、笑顔を振りまいた。
6月4日夕方にはバッキンガム宮殿でプラチナ・ジュビリーの祝賀コンサート「プラチナ・パーティ・アット・ザ・パレス」が開催された。エリザベス女王自身がくまのパディントンと共演したほか、クイーンやダイアナ・ロスなどスーパースターがパフォーマンスを披露した。
「サンデータイムズ」紙が7月、チャールズ皇太子が2013年に、テロ組織アルカイダの指導者だった故ウサマ・ビン・ラディンの親族から100万ポンド(約1億6千万円)の寄付を受けとっていたと報じた。これについて寄付金を受けた慈善団体は、「寄付の受け入れに当たり万全な信用調査を行った」としている。
ヘンリー王子とメーガン妃はネルソン・マンデラ国際デーにニューヨークの国連本部に黒でまとめたシックなスタイルで登場、マスコミに大きく取り上げらた。ヘンリー王子はネルソン・マンデラや自身の母ダイアナ妃に敬意を表した基調講演を行い、人々の感動を呼んだ。
8月からSpotifyがメーガン妃のポッドキャスト『アーキタイプ(Archetypes)』の配信を開始。メーガン妃はさまざまな女性にインタビューし、女性に貼られるレッテルについて議論を交わすというもの。公開当初は人気を集めたが10話目を過ぎると人々の関心は離れていった。
9月にはボリス・ジョンソン英首相が辞任、リズ・トラスが後任となった。新首相はスコットランドのバルモラル城でエリザベス女王から正式任命を受けたが、その2日後に女王が崩御。首相任命時の画像が女王の最後の公式写真となった。
ウィリアム王子とキャサリン妃一家がケンジントン宮殿を出て、イングランド南部のウィンザー城の敷地内にある「アデレード・コテージ」に新居を定めた。引越しの理由は子供たちにできるだけ「普通」の教育を与えること。王子たちが迎えたラムルック・スクールの初日には各国のプレスが駆け付けた。
2022年9月8日、エリザベス女王は惜しまれつつこの世を去った。王室が女王の健康悪化を公表して間もなく、女王の子供や孫たちがバルモラル城に急いで向かった。女王の去年は96歳、死因は「自然死」で「穏やかに亡くなった」と伝えられた。
エリザベス2世が死去した際に行われるさまざまな行事や行動について定めた「ロンドン橋計画」が実行に移された。スコットランドのバルモラル城からロンドンに女王の棺が運ばれると、何十万人もの人々が弔問に押しかけた。
エリザベス女王の死後、人々の記憶に深く刻まれたシーンの一つがロンドンにできた弔問客の長い列だろう。列の長さは10キロを超え、待ち時間は最大36時間ともいわれる。通りには簡易トイレが設けられ、屋台が出たりビデオが流されるなど連帯の輪が広がった。
9月19日、エリザベス女王の霊柩車(女王自身が設計したもの)がロンドンのウェストミンスター寺院からウィンザー城へと向かった。沿道で何千人もの人々が女王の最後の旅を見送ったほか、女王に敬意を表し、花を投げる人や拍手を送る人の姿もあった。
エリザベス女王の遺体はフィリップ殿下も眠るウィンザー城内の聖ジョージ礼拝堂に到着、近しい王族が最後の追悼礼拝に出席した。公開安置のときから女王の棺におかれていた王冠、オーブ、王笏は、埋葬の前に取り出され、祭壇に置かれた。
エリザベス女王の崩御を受け、チャールズ皇太子がチャールズ3世として国王の座についた。雑誌『マジェスティ』編集長のジョー・リトルは、「女王陛下の不在を受け止めるのはいまだむずかしく、2つの王位が共存する年だという気がしています」と語った。
しかしジョー・リトルはチャールズ3世について肯定的に受け止め、「国民は新イギリス国王に大きな期待を寄せています。新国王がエリザベス女王と同じように名君にならないと考える理由はありません」としている。
そして10月、イギリス議会ではリズ・トラス首相が就任から45日という史上最短記録で辞任を表明。これを受け新たに選出されたリシ・スナクに対し、新国王が初の首相任命を行った。
ウィリアム皇太子が創設した「アースショット賞」の第2回授賞式がボストンで開催された。キャサリン妃は「ソラスロンドン」のオフショルダーのグリーンのドレスを着用、ダイアナ元妃から受け継いだエメラルドのチョーカーをつけて晴れやかな表情を浮かべた。
故エリザベス女王のお付きの女官だったレディ・スーザン・ハッセーがバッキンガム宮殿で行われたレセプションで問題行動を起こし、すでに起こっていた王室のイメージ悪化に追い打ちをかけることになった。
レディ・スーザン・ハッセーは黒人の慈善団体責任者ンゴジ・フラニ氏に対し、繰り返し「本当はどこの出身なのか」と尋ねた。これは国民の怒りと王室による人種差別への非難を招く結果となった。レディ・スーザン・ハッセーは辞任したものの、王室に与えたダメージは大きかった。
Netflixが待望の”リアリティショー”をついに公開した。ヘンリー王子夫妻のプライベートを捉えたドキュメンタリー『ハリー&メーガン』ははその内容や英王室への攻撃が懸念されていたものの、公開されてみればサセックス公爵夫妻の思いやマスコミとの確執を退屈かつ自己満足的な形で表現したものに過ぎなかった。
キャサリン皇太子妃主催のコンサートと礼拝がウエストミンスター寺院で行われた。この日は『ハリー&メーガン』の後半にあたる第2部の公開日に重なったが、イギリス王室はクリスマスの祝祭を楽しんだ。ワインレッドの衣装でそろえた皇太子一家の姿を通じ、国民の尊敬を集める身近な王室のイメージがあらためてアピールされた。