生涯現役を全うした故エリザベス女王:カギは食生活にあり?
英王室には一般にはあまり知られていないさまざまな決まりごとが存在する。今回は元王室専属シェフの話を元に、故エリザベス女王の食生活にまつわるルールを振り返ってみよう。
15年にわたり英王室の専属シェフを務めたダレン・マグレディは『ザ・テレグラフ』のインタビューに対し、王室に伝わる食事関連の習慣やエリザベス女王が避けていた食材について明らかにして、大きな話題を呼んだ。
元専属シェフによれば、エリザベス女王にはバッキンガム宮殿でも外出時でも口にしなかった食材がいくつかあるという。そのほとんどは一般家庭でも使われるような身近なものだ。ともあれ、その理由をきけば多くの人が納得することだろう。
エリザベス女王が決して口にしなかったもの、そのひとつはニンニクだ。そのほかいタマネギやパプリカも食卓に上らない。胃もたれの原因となるばかりか、口臭の元にもなりかねない食材だ。
写真:Unsplash (Sanjay Dosajh)
エリザベス女王は夕食でデンプン質を摂らないようにしていたため、パスタは一切禁じられていた。代わりにサラダや、魚あるいはチキンのグリルに野菜を添えたものを夕食としていた。
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デンプン質が多い食材と言えば、ジャガイモだ。そのためエリザベス女王の食卓、とくに夕食の献立にジャガイモが登場することはなかったという。
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エリザベス女王に肉料理をサーブするときは、よく火を通しておかなければならなかった。血の滴るようなレアはもちろん、ミディアムレアも許されないのだ。
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朝食の献立には卵料理が入っており、たいていサーモンとトリュフ入りオムレツだ。ただし、エリザベス女王は茶色の卵の方が味がいいと考えていたことから、白い殻の卵は使われなかった。
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女王はツナのサンドウィッチがお気に入りだった。薄くスライスしたキュウリ、バター、マヨネーズ、隠し味にコショウをふる。大切なのは必ずパンの耳を落とすこと。やはり王室でシェフを務めたオーウェン・ホジソンは、「サンドウィッチを担当したとき、パンの耳がわずかに残っていたことから他のシェフに却下されてしまいました」と明かしている。
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英国王室に欠かせないティータイム。エリザベス女王は紅茶にミルクを少量加えるが、砂糖を入れることはなかった。
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エリザベス女王は旬の果物しか口にしなかった。ダレン・マグレディは『ザ・テレグラフ』に対し、「1月の献立にイチゴを加えたとしたら、遺伝子組み換えのイチゴは食べる気になれない、として下げられてしまうでしょう」といっている。
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食中毒のリスクを避けるため、貝類はいずれも献立から排されていた。元王室執事のグラント・ハロルドは、「とくに宮殿を離れている時には賢明な判断といえるでしょう」としている。
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チャールズ皇太子は2008年に王室の公邸でフォアグラ料理を供することを禁止した。理由としては、フォアグラは鴨やアヒルに無理やりえさを与えてつくられるので避けるべきという動物愛護の観点のほか、中毒の危険性も挙げられた。
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エリザベス女王はバナナを食す際にはフォークとナイフを使用していた。バナナの両端を切り落とし、カトラリーで皮を剥がすのだ。女王がバナナに直接かぶりつくことは禁じられてはいなかったが、そんな光景がみられることはんなかったようだ。
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飲用水による食中毒を避けるため、英国王室では水道の水を飲用にすることはなかった。さらに、ミネラルウォーターもどのメーカーでもよい訳ではなく、高品質で信頼のおける、特定のブランドのものを購入している。
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高齢となったエリザベス女王は食生活にさまざまな制約を課していたものの、ときには自分を甘やかすことにあった。なかでもダークチョコレートは大のお気に入りだったという。
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かなり厳しいルールにみえるかもしれないが、1926年生まれのエリザベス女王は2022年9月8日に96歳で崩御するまでいたって健康に暮らしていたことを考えれば、英国王室の食のルールに学ぶところは多いといえるだろう。