被ることが多い?:演じるキャラクターと俳優本人のキャラクター
医療ドラマ『ER緊急救命室』でトップスターになったジョージ・クルーニー。このときの役はもちろん、与えられる役のほとんどにハンサムでチャーミングな本人の魅力がにじみ出ている。
ユーモラスで魅力的、そして少しおっとりした雰囲気のジェニファー・アニストン。彼女の伸びやかな生き方は、スクリーンの中でも外でも見る者の心を掴んではなさない。
粋で無鉄砲で、チャーミングなロバート・ダウニー・Jr.。与えられた役に多少の手を加え、自身を投影することで知られている。ダウニーは『チャップリン』のように役になりきることもできるが、シニカルで魅力的な本来の自分に近い姿を求められることが多い。『アイアンマン』のトニー・スタークはダウニーであり、ダウニーはトニー・スタークなのだ。
ユーモアと優しさ、そして知性に溢れたモーガン・フリーマンは、幅広いスタイルと神がかった演技で知られている。シニカルでダークな殺人鬼の心理を表現した『セブン』、素晴らしいナレーションと演技が高く評価された『ショーシャンクの空に』、スーパーヒーローを演じた大作『ダークナイト』など、さまざまな作品を通じてフリーマンの魅力を発見できる。
スクリーンの中と外で違いがないように見えるサミュエル・L・ジャクソン。たいていストレートな言動で、無意味なことは口にしない役だ。ただし、映画で暴力的なキャラクターを演じる場合は、実物の方がマイルドだといえそう。そして観客が作品のチケットを買うのはサミュエルの姿がみたいからだ。成功を左右するスター、それがサミュエル・L・ジャクソンだ。
アダム・サンドラーは労働者階級出身という自身のルーツを忘れることなく、平凡な男の役を通じてキャリアを積んできた。幼い頃からコメディアンになることを目指し、やがてその夢を実現してからも平凡な男を演じ続けることに不満はないようだ。シリアスな役もこなせるが、多くの人に笑顔を届けること、それが彼の永遠の望みなのだ。
ハリー・ポッターのオーディションで、キャスティングチームに感銘を受けてこの世界に飛び込んだエマ・ワトソン。彼女自身、自分がハーマイオニーに良く似ていると思い、もし役をもらえなかったら大きなショックを受けていただろうと語っている。きちょうめんで勤勉、そして思いやりにあふれたエマ・ワトソンの成長を通じ、世界中の多くの人がその脆さと強さを見守ってきた。
『ラスト・ボーイスカウト』のジョー・ハレンベックを始め、少々頑固でどこかユーモラスなキャラクターがブルース・ウィリス本人にもっとも近いといえるだろう。ウィリスは自身に近い役の印象が強いが、俳優としての幅の広さもだ一級だ。『パルプ・フィクション』、『ダイ・ハード』、『フィフス・エレメント』、『シックス・センス』など、さまざまな役を見事に演じ分けている。
「裸でボンゴを演奏」のイメージが強いマシュー・マコノヒー。役作りでハードなトレーニングを経て肉体改造をしても、つねに彼らしいどこかゆったりした雰囲気を漂わせている。
40歳近くなってからブレイクしたリッキー・ジャーヴェイス。多くのトップ・コメディアンがそうであるように、リッキーの演じる役はその多くが本人のイメージから生まれたもので、いずれもかなり個性的。『エキストラ:スターに近づけ』では自分以外のあらゆる人にもモノにもツッコミを入れている。すべてをイジり、映画界そのものを笑い飛ばす。それがリッキー・ジャーヴェイスだ。
煩わしい人物を演じさせたら右にでる者はいない俳優としてのザック・ガリフィアナキスと、『Between Two Ferns』でみるような厄介な司会者としてのザック・ガリフィアナキスを見分けることはかなり難しい。
チャーリー・シーンにこれほど適したキャラクターはないだろう。『チャーリー・シーンのハイパー★ボーイズ』のチャーリー・ハーパーはプレイボーイの大富豪で、女性とパーティーが大好きだが責任を取るのが大嫌い、「現実を知らない子供のような男」 という役どころだ。かなり本人に近いといえるだろう。
タトゥーに長髪で殺気立った表情を見せるダニー・トレホは、250本以上の映画で同じようなタイプの悪役やアンチヒーローを演じてきた。実生活でも長い刑務所暮らしをしたばかりか、アメリカで最も悪名高い刑務所の一つであるサン・クエンティンでボクシングのチャンピオンになったこともある。威圧的な外見からは意外に思えるかもしれないが、最近のトレホはかなり品行方正、しかもかなり家庭的だ。
米俳優ラリー・デヴィッドは、自身が出演する番組の脚本家でもあったことで大きな成功を手にした。『となりのサインフェルド』では自身の物憂げでシニカルな世界観を主人公たちに重ね、次作『ラリーのミッドライフ★クライシス』では自らの実体験をもとに番組づくりをした。
独特の声とパーソナリティの持ち主であるクリストファー・ウォーケンもまた、本人に近い役で起用されることが多い。風変わりな話し方、ユニークな役、そして独特な演技は、見る人を喜ばせる一方、落ち着かない気分にもさせる。イギリスのDJファットボーイ・スリムの『Weapon of Choice』のミュージックビデオでは、いつもとは一味違ったウォーケンを見ることができる。
ライアン・レイノルズがどこまでレイノルズで、どこからが『デッドプール』なのか、見定めるのはむずかしい。陽気で朗らかな魅力にあふれた役柄は、まるで彼のためにつくられたかのようだが、ほかのアクションコメディでもレイノルズらしさは健在だ。スクリーンの中でも外でもユーモアにあふれ、そして理想的な父親であり夫でもある。