歴代のバットマン俳優:初代からロバート・パティンソンまで
DCコミックから飛び出したバットマンはさまざまな俳優が演じてきた。不思議なことに、彼らの多くはスーパーヒーロー役らしからぬタイプだった。たとえば、人気を博したテレビシリーズのバットマンは、原作コミックほど筋肉隆々ではなかったようだ。ここではテレビと映画で活躍したバットマン役たちをみてみよう。
歴代で初めてバットマンのスーツを着た俳優を覚えているだろうか?人々に忘れ去られた、もしくは知られていない初代バットマン俳優がルイス・G・ウィルソンだ。ただこの場合はスーツというよりもタイツかもしれない。
ルイス・G・ウィルソンが15話の『バットマン』で主役ブルース・ウェインを演じたのは1943年。当時のテレビ業界では先端を行くものだった。
初代バットマンドラマシリーズの続編として公開された『バットマン・アンド・ロビン』では、俳優ロバート・ローリーがバットマンに命を吹き込んだ。1949年に放映されたこのドラマシリーズは15話まで続いた。
俳優ロバート・ローリーは、バットマン役のキャリアを終えてからテレビシリーズのスペシャルゲストとして登場したことがある。1959年に放映された『スーパーマンの冒険 』に出演し、DCコミックスの2大ヒーロー、スーパーマンとバットマンの共演が実現したのだ。
歴代俳優の中でも世代を通じて最も愛されたバットマンは間違いなくアダム・ウェストだろう。パウダーミルクチョコレートのCMで見出され、スーパーヒーローを演じたことで伝説となった。
120を超えるエピソードからなるテレビドラマと1本の映画はいずれも『バットマン』というタイトルが付いている。クレイジーで歴史的なブルース・ウェインを演じたアダム・ウェストは、ハリウッドの伝説となった。
『ビートルジュース』で成功を収めたマイケル・キートンの起用について、ネガティブな意見が交わされることもあった。しかしマイケル・キートン演じる男性的で無鉄砲なバットマンは、異議を唱えていた人々を黙り込ませた。
ティム・バートンは2作品でメガホンを取り、『バットマン 』(1989年)でジョーカー役にジャック・ニコルソン、『バットマン・リターンズ』(1992年)ではペンギン役にダニー・デヴィートを起用した。
マイケル・キートン降板後、ヴァル・キルマーがバットマン役に起用されたのは当然といえば当然だった。『トップガン』(1986年)、『ウィロー 』(1988年)で活躍した俳優であり、いわゆるハリウッドのAリストスターとして知られていたからだ。
しかし、驚くべきことにヴァル・キルマー演じるブルース・ウェインは、本作だけで見納めになってしまった。なぜなら俳優自身がバットマン役として型にはめられることを恐れたからだ。そのため『バットマンフォーエバー 』(1995)が彼にとり最初で最後のバットマンとなっている。
完璧と思われた選択肢が的外れになることもある。『バットマン&ロビン』(1997年)はジョージ・クルーニーだけでなく、多くの参加俳優にとっても悪夢のように評価の低いものになった。もちろんそれは俳優のせいではないが。
25年という年月が経過した今でも議論が続くことがある。そう、ジョージ・クルーニーの乳首付きバットマンスーツについてだ。ジョエル・シュマッカー監督バットマン作品のラストを飾る作品は、あらゆる面で残念なものになってしまった。
クリスチャン・ベールは『バットマン・フォーエバー 』のロビン役に立候補していたが、その役をクリス・オドネルに奪われてしまった。これは、結果的にはベールにとり幸運だったのかもしれない。
俳優ジョージ・クルーニー演じるバットマンから8年後、クリストファー・ノーラン監督の下で史上最高3部作と呼ばれる作品が生まれた。このダークナイト・トリロジーでは、クリスチャン・ベールが歴代最高とも言われるバットマンを演じ切った。
完璧なまでに洗練されたバットマンとなった俳優クリスチャン・ベール。センセーショナルな3部作は興行収入24億ドルを超える大ヒットを記録し、バットマンの歴史にその名を轟かせた。
『レゴバットマン ザ・ムービー』(2017年)のバットマンはカリスマ的キャラクターとして人気を集め、圧倒的な成功を収めた。これは主演のウィル・アーネットの存在なしでは語れない。ダークさと滑稽さをあわせもつ、まさにモダンアニメのアイコンである。
ウィル・アーネットはレゴムービー3作でバットマンに命を吹き込んでいるが、その評判は上々だ。チャンスがあれば、きっとまた彼に出会えるに違いない。
バットマン3部作の後、マーベルのMCUシリーズが始動する前に、DCコミックスは2名の世界的な大物俳優起用を決定した。それが、バットマンのベン・アフレックであり、スーパーマンのヘンリー・カヴィルである。
ベン・アフレックの悲壮感、陰のある表情に加えて、目をみはるような筋肉が個性的なバットマン像をつくりあげた。そして多くのファンにとって、彼こそが最高のブルース・ウェインなのだ。
果たして、バットマン役としてベン・アフレックは適任だったのか?多くの批評と疑問の声が渦巻いたが、『バットマンVSスーパーマン』(2016)を見れば、ベン・アフレックの起用が正しかったのは一目瞭然だ。
ロバート・パティンソンがバットマン役を務めることに対する疑問の声はあまりにも多かった。その演技力についても、マッチョな筋肉についても、『トワイライト』でのヴァンパイア役のイメージが強いことについても。
だが『 THE BATMAN-ザ・バットマン-』が公開されると、疑問の声を挙げていた人々はみな口を閉ざした。しかもロバート・パティンソンのバットマンはブルース・ウェインという役柄を超えており、そしてアダム・ウェストと肩を並べると最高評価を下す批評家も多い。
バットマンの吹き替えで活躍してきたケヴィン・コンロイにも触れておこう。彼は1992年以来バットマンの吹き替え声優として、数十ものプロジェクトに参加している特筆すべき存在だ。
『バットマン:アニメシリーズ 』(1992~1995)がケヴィン・コンロイにとって初のバットマンシリーズだった。彼自身が気に入ったこともあり、30年以上に渡り、映画、テレビ、ゲームそしてテーマパークを含め、様々なシーンでバットマンの吹き替えを担当してきた。