歌姫リアーナの過酷な子供時代から成功、出産まで
リアーナは世界を席巻するスーパースターであり、若きビリオネアそして幸せな母親でもある。先日行われた2023年スーパーボウルのハーフタイムショーに出演し、第2子を妊娠していることを明らかにした。
あらゆる面でメディアの注目を一身に集めているリアーナ。スーパーボウル2023ハーフタイムショーへの出演、世界で最も裕福な女性アーティストとしての地位、ファッションライン「フェンティ」のプロデュース、恋人エイサップ・ロッキーとの交際や第1子の誕生など、公私にわたりさまざまな話題を提供している。
だが、リアーナはいかにして小国バルバドスでの日常からプライベートジェットを乗り回しビバリーヒルズに豪邸を構える生活へと飛躍を遂げたのだろう。
ミレニアム世代を代表するポップスターで絶大な影響力を持つアーティスト、リアーナが生まれたのはカリブ海に浮かぶ小国バルバドスだ。
リアーナの本名はロビン・リアーナ・フェンティ、1988年2月20日にバルバドスに生まれ、首都ブリッジタウンで育った。ガイアナ人である母モニカ・ブレイスウェイトは会計士を、アフリカ系アイルランド人の流れをくむ父親ロナルド・フェンティは倉庫の管理人をしていた。
リアーナの母国、カリブ海に浮かぶ島国バルバドスは16世紀にスペイン人が到来し、その後黒人奴隷による砂糖プランテーションが行われた歴史を持つ。画像はリアーナが生まれ育ったセント・マイケル教区の様子。
歌姫リアーナの緑色の瞳は、父方の祖母の出身地であるアイルランドのイメージカラーを思わせる。
リアーナはごくふつうの家庭に、両親の深い愛情を受けて生まれてきた。しかし、父親がドラッグに手を出し始めたことで家族の平穏な生活は終わりを告げる。子どもの頃のリアーナが目にした父親はたいてい酩酊状態で、家庭内暴力もエスカレートしていった。さまざまな問題が起こった数年を経て、リアーナの両親は離婚。
リアーナの父親が家を出た後、母親のモニカは女手一つで3人の子供を育てることになった。長女であるロビン(リアーナ)は、幼い2人の弟の面倒を見なければならなかった。上の画像にはリアーナの母親と弟の1人が写っている。
リアーナの父親ロナルドは現在もバルバドスに住んでいる。父娘の関係は近年はかなり穏やかなものになっているが、アルコール依存症は完全に克服されておらず、ときとして問題に発展することもあるようだ。
バルバドス建国以来の高い世界的名声を誇る人物、それがリアーナだ。当然、街のあちこちに彼女の画像や映像があふれており、国の教育・観光・投資を促進するための特命全権大使に任命された。その姿は首都キングスビレッジの空港の天井から吊り下げられた巨大なポスターにもあり、訪れる人々を歓迎している。
多忙な生活を送るスーパースターだが、時間を見つけては故郷に帰っている。数年前には国内有数のリゾート地にある超高級レジデンス「ワン・サンデー・レイン」の一角に、2200万ドル(約30億円)でコンドミニアムを購入した。
毎年8月にバルバドスで開催される伝統的な収穫祭「クロップ・オーバー・フェスティバル」にも姿を見せているリアーナ。2021年11月にはバルバドスで11人目となる「国家の英雄」に認定された。
2013年にリアーナは米国でもっとも有名なテレビ司会者の一人であるプラ・ウィンフリーとバルバドスを訪問。このときには自身の母親がプレゼントを受け取るのをためらいがちで、あまりに高価なものだと返すこともあると明かした。
しかしこのときのオプラ・ウィンフリーの番組で、リアーナは母親に対し、5ベッドルームの高級ヴィラという断りがたい魅力にあふれたプレゼントを渡している。
リアーナのキャリアは、16歳のときに音楽プロデューサーのエヴァン・ロジャースと出会ったことで始まった。ロジャースとともにデモテープを作成しさまざまなスタジオに送ると当時ジェイ・ZがCEOを務めていたデフ・ジャムがすぐさま反応、6枚のアルバム契約を結ぶことになった。
2005年、リアーナはデビューアルバム『ミュージック・オブ・ザ・サン』(Music of the Sun)をリリース。2007年までに全世界で100万枚を売り上げた。
2007年には3枚目のアルバム『グッド・ガール・ゴーン・バッド』を発表。シングルカットされた『アンブレラ』は各国のヒットチャートで数週あるいは数か月にわたり1位を独走する大ヒットを収めたほか、リアーナはこの曲で初めてグラミー賞を手にした。
続いて『オンリー・ガール (イン・ザ・ワールド) 』、『ダイアモンズ』、『Work』、ラッパーのエミネムと組んだ『Love the Way You Lie 』などがチャートトップを次々と独占した。
2012年、映画『バトルシップ』で女優としてもデビューを飾り、ティーン・チョイス・アワードの「新人女優賞」を受賞した。
子供の頃、リアーナの母親は彼女にメイクすることを許さなかったという。しかし、リアーナはモデル向けのメイクアップエージェンシーおよびコスメライン「フェンティ」を立ち上げ、ビジネスシーンでも活躍している。
デビュー翌年の2006年、スターダムへの階段を上り始めたばかりの若干18歳のリアーナは、末期がんの子どもたちを支援するための団体「ビリーブ基金」を設立。
2012年、故郷の首都ブリッジタウンにあるクイーン・エリザベス病院に対し放射線治療機器の購入のため175万ドルの寄付を行った。さらに同年、リアーナは祖父母の名を冠した「クララ・ライオネル財団」を設立、さらなる人道支援に取り組んでいる。
「クララ・ライオネル財団」はバルバドスの学校や研究機関への寄付を通じて備品購入や放課後プログラムの実施を奨励するほか、バルバドス国内はもちろんブラジル、キューバ、ハイチ、ガイアナ、米国からやってくる留学生のための奨学金プログラムを提供している。
歌姫リアーナが所有する純資産は17億ドル(約2千億円)といわれている。米経済メディア『フォーブス』によれば、リアーナは2013年から2015年にかけての3年間は新作アルバムをリリースしなかったにも関わらず、2600万ドルの収入を手にしている。
さまざまな記録を打ち立てているリアーナだが、2013年には「世界で最もデジタル・ダウンロードされているアーティスト」としてギネスブックに認定された。また、4,750万枚を売り上げ、アメリカで2人目のフィジカル盤よりもデジタル盤を多く売り上げたアーティストとなった。
高級メゾン「ディオール」がキャンペーンフィルム「シークレットガーデン」にリアーナを起用。同メゾンのキャンペーンに出演した最初の黒人女性となった。
リアーナは20か所以上にタトゥーをしている。そのうちのひとつが彼女のフィロソフィーを表した、「Never a failure, always a lesson(「失敗なんてない、いつも教訓」) 」というものだ。
2021年、リアーナのプライベートに大きな変化が訪れた。長年の友人だったラッパーのエイサップ・ロッキー(本名ラキム・メイヤーズ)と交際をスタート、ロマンスが瞬く間に真剣な恋愛へと発展したのだ。
2022年1月、ともに33歳のセレブカップルはやがて親になることを世界中のファンに向けて公表。リアーナはふくらみ始めたお腹でカメラにポーズをとった。
画像: Instagram @badgalriri
リアーナとエイサップ・ロッキーは多くを語らず、画像を通して親になる喜びと誇りを共有した。そして2022年5月、二人の第1子が無事に誕生。
しかし、第1子の誕生を前にして父親のエイサップ・ロッキーは前年に起きた銃撃事件への関与で逮捕された。『ピープル』誌によれば、ロサンゼルス市警察は「ロッキーは2021年11月6日にハリウッドで口論になり相手に銃を発砲した」としている。
エイサップ・ロッキーは55万ドル(約7千万円)の保釈金で同日釈放されたものの、公判は続いており8月16日には裁判所に出頭、ラッパーは自身の無罪を主張した。
リアーナは現在第2子を妊娠中で、子育てそして夫エイサップ・ロッキーの公判手続きに集中している。『Hollywood Life』によれば彼女の新曲準備は 「後回し」になっているようだ。とはいえ、リアーナが『Don't Stop The Music』で歌っているとおり、音楽制作を続けてくれることを期待しよう。