リアリティ番組版『イカゲーム』の世にも過酷な撮影現場
韓国ドラマ『イカゲーム』が2021年に世界的ヒットを収めたことを受け、Netflixはこの作品に基づいたリアリティ番組『イカゲーム:ザ・チャレンジ(Squid Game: The Challenge)』の制作に着手。撮影は2023年1月23日に英国でスタートしたが、『ザ・サン』紙によれば順調とは言えない滑り出しだったようだ。
写真:Netflix
Netflixがウェブサイトで明かしている通り、このリアリティ番組のキャストはTV史上最大であり、参加者は総勢456人に上るという。
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原作のドラマと同様、参加者はさまざまなゲームに挑戦。ゲームのたびに数人ずつ脱落し、最後まで残った1人が勝者となる仕組みだ。優勝すると莫大な賞金が手に入るのだが……
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『イカゲーム:ザ・チャレンジ』の挑戦をすべてクリアした勝者が手にする賞金額は、なんと456万ドル。参加者たちは万全の態勢でゲームに臨むことができたのだろうか? 確かなのは、これほど過酷な撮影になるとは誰も予想だにしていなかっただろう、ということだ。
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『イカゲーム:ザ・チャレンジ』の撮影が行われたのはロンドンの北およそ70キロメートル、ベッドフォード近くの空軍基地跡に置かれた「カーディントン・スタジオ」だ。この一帯では1月中旬に気温がぐっと低下するのだが……
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プロデューサーたちは撮影場所を選ぶ際に、この地方の寒さを甘く見ていたようだ。実際、一つ目のゲーム「だるまさんがころんだ」では、挑戦者たちは気温マイナス3度の中、身動きを止めなくてはならなかったのだ。
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『ザ・サン』紙の報道によれば、参加者の中には氷点下の気温の中、長時間身動きせずにいたことで体調不良に陥り、医師の診察を受けた人もいるという。ストレッチャーで運ばれる参加者まで出たというから、とんだ災難だ。一方、その他の挑戦者たちは、ゲームが終了するまで凍えながら耐えるしかなかった。
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同紙のインタビューに対し参加者の1人は、「保温シャツ2枚、靴下2足、Tシャツ、緑の上着、スニーカーが渡されました。上着の下には血糊の入ったベストを着けますが、これはだるまさんがころんだの最中に動いてしまうと破裂し、まるで撃たれたかような演出をするんです」と語っている。
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また、「まるで戦場のようでした。泣きながら脱落する人もいたほどです。寒さのせいで足が動かない人もいました」と打ち明ける参加者も。
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一方、プロデューサーの1人は『ザ・サン』紙に対し、「低体温症と診断されても、参加者たちはギリギリまで脱落するまいと粘っていました。大金がかかっているからです。かなり長時間ピクリともせず必死に身動きをとめていました」と語っている。
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撮影初日に発生したこのような事態を受け、Netflixは声明を発表。「Netflix、Studio Lambert、The Gardenは参加者の安全を最優先しており、トイレ休憩や水分補給、食事の時間を定期的に設けるなど基準を守っています」とした。
写真:Unsplash / @freestocks
そして、「参加者は全員、数週間前から寒さの中での撮影に向けて準備していました。つまり、撮影現場の寒さについて知らされた上で参加したのです。ゲームを安全に進めるための対策は万全でした」と結論づけている。
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『ザ・サン』紙の報道によれば、このゲームが終了するころにはすでに数百人が脱落していたという。一方、「生存者」はスタジオにとどまり、ドラマ版と同様に二段ベッドで夜を過ごしたようだ。次回の撮影は来月行われることになっている。
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果たして、次回のゲームの撮影はトラブルなしで終えることができるのだろうか? 『イカゲーム:ザ・チャレンジ』では、原作ドラマとは違って死者が出るような事態は許されないのだ。
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『ハリウッドリポーター』誌が伝えたところによれば、『イカゲーム:ザ・チャレンジ』では「だるまさんがころんだ」の場合と同様、原作ドラマに登場するゲームが新たなスタイルで行われることになっている。
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しかし、参加者をアッと驚かせるため、まったく新しいゲームも準備されているという。
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参加者を募集するためNetflixは専用ウェブサイト「Squid Game: The Challenge Casting」を開設。このサイトを通じて世界中から参加希望者が申し込みを行った。
写真:squidgamecasting.com
『イカゲーム:ザ・チャレンジ』の挑戦者に求められる参加資格は、撮影に参加できることに加え、21歳以上であること、英語が話せること、そして有効なパスポートを所持していることの3つだけ。
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『イカゲーム:ザ・チャレンジ』の公開日はいまのところ未定だ。とはいえ、2023年中には放送されることになっている。
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確かなのは、この番組が全10エピソードからなること、ヒットした場合には英語以外の言語でも撮影が行われるかもしれないということだ。
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ところで、リアル版『イカゲーム』の試みはこれが初めてではない。2021年11月にはユーチューバーのMrBeastが456人の参加者を募集し、独自にゲームを主催したことがあるのだ。
写真: Instagram - @mrbeast
MrBeastが提示した賞金はNetflix版より控えめな45万6,000ドル。しかし、本人も打ち明けている通り、ゲームの運営には350万ドルもの投資が必要だったとのこと。
写真: Instagram - @mrbeast
しかし、反響もまた大きかった。MrBeastのリアル版『イカゲーム』の視聴回数は、なんと3億4900万回にも達したのだ。文句なしの大ヒットだ。
写真:Netflix
では、Netflixの『イカゲーム・ザ・チャレンジ』はどのような作品になるのだろう? 何しろ、MrBeastに比べれば、はるかに大きな予算に恵まれているのだ。人々の期待は否応なく高まっている。
写真:Netflix
一方、本家『イカゲーム』は2023年末~2024年初頭にセカンドシーズンが予定されている。それまでは、『イカゲーム:ザ・チャレンジ』が代わりにファンを楽しませてくれるだろう。
写真:Netflix
『イカゲーム』シリーズにさらなる可能性を見出し、大きな賭けに出たNetflix。何しろ、同番組はNetflix史上最大のヒット作であり、トータルの視聴時間は16億5,000万時間に達するのだ。
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