日本の秋のお祭り(北海道・東北・関東)
各地の祭りには各共同体の歴史、人々の暮らしと密接にかかわる自然のめぐみや土地の産業、あるいは故事などが刻み込まれている。さらに町おこしをめざして比較的最近始まった祭りもある。今回は季節を秋にしぼって、日本のお祭りを見ていこう。
お祭りとは少し違うが、埼玉県物産観光協会HPによると、秩父の「両神山麓花の郷ダリア園」では9月から11月初めにかけて、地元ボランティアが育てた多彩な品種のダリアを鑑賞できるという。ダリア園HPの新着情報によると、すでに7月9日に第一号が開花したとのこと。
写真:Facebook / 両神山麓花の郷ダリア園
秋田県の久慈秋祭り、ここ数年はコロナ禍により中止、あるいは規模を縮小しての開催となっていたが、今年は4年ぶりに元の規模での開催が決定、9月14日の前夜祭から、15日〜17日の三日間に予定されている。久慈市観光物産協会HPによると、お祭りの起源は14世紀にさかのぼるという。山車やみこしが街を練り歩く。
写真:Twitter / @amarin_kuji
千葉県誕生150周年記念事業「やちまた落花生まつり2023」が9月17日に開催される。千葉特産の落花生をこころゆくまで賞味できるイベントだ。八街市役所HPによると、やちまたPR大使「落花生娘」によるライブも行われるという。
写真:Twitter / @chi_bakunstaff
石狩市では、サケの旬の秋にあわせて「浜益(はまます)ふるさとまつり」「厚田ふるさとあきあじ祭り」「石狩さけまつり」が開催される。あわせて石狩市三大秋祭りと呼ばれる。なかでも最も歴史が長く、規模も大きい「石狩さけまつり」は、9月23〜24日に開かれる。祭りの目玉は石狩鍋と鮭のつかみ取り。
写真:石狩観光協会HP、2022年のポスター
宮城県仙台市で行われる、定禅寺ストリートジャズフェスティバル。今年は9月9日、10日に開催される。ケヤキ並木の定禅寺通りなどをステージに、あらゆるジャンルの音楽がさまざまな演奏者によってプレイされる。主催者HPによると、街の人々が力を出し合い、「ほとんど手作り」で作られるフェスティバルだという。
写真:Twitter / @jozenji_stjzfst
これは秋ではなく、立春にあたる2月4日に「掛魚まつり」というお祭りがある。にかほ市観光協会HPによると、「掛魚(かけよ)とは、漁師が氏神様にお供えする魚のことで、祭りの主役となる大タラは一匹ずつ荒縄に釣り下げられ、海上安全、豊漁を願って」神前に供えられる。たら祭りとも呼ばれる。
山形名物、第35回「日本一の芋煮会フェスティバル」は、今年は9月17日に開催される。芋煮は大鍋で約3万食分が調理されるという。
写真:Twitter / @imo2man
須賀川市の伝統の火祭り「松明(たいまつ)あかし」は今年11月11日に催される。須賀川市は昨年の祭りの記録映像を紹介している。長さ10メートルの巨大な松明が30本、夜を焦がすように燃えさかる。須賀川城が伊達政宗の攻略を受けたさい、城を守るために人々が松明を手に集まったことに由来しており、その後は戦死者の霊を慰めるために行われているという。
スクリーンショット:YouTube / 須賀川市公式チャンネル
茨城県のタバンカ祭りは毎年9月に下妻市の大宝八幡宮でおこなわれる。かつて日本では神仏習合思想に基づき、神社のそばにお寺が建てられたが、大宝八幡宮の境内にも8つの寺があった。大宝八幡宮HPによると、むかし寺の僧の宿舎から火が出たとき、畳と鍋ぶたを使って火を消し止めたことがあった。その逸話を催事として後世につたえるのが「タバンカ祭り」である。境内に松明で焚き火をし、畳と鍋ぶたを石畳に激しく叩きつけるようにして消火のふりをする。
写真:Twitter / @shimokankou2
栃木県の「生子神社の泣き相撲」。子供の健やかな成長を祈願するお祭りで、幼児が力士にかかえられて土俵にあがり、高く高く持ち上げられて、元気な泣き声を競うという。栃木県によると、これは鹿沼市の生子(いきこ)神社で毎年9月下旬の日曜日におこなわれている行事で、幕末の文久年間(1860年代)から続いている。
写真:Twitter / @kanuma_kankou
高崎市の「かみつけの里博物館」の一帯は1500年前の遺跡が数多く発見された場所だという。その場所で10月下旬に行われるのが「かみつけの里古墳祭り」だ。考古学の研究成果をもとに製作された「王の儀式」の再現劇が、古代の衣装に身を包んだボランティアスタッフによって上演されるという。二子山古墳ではコスモスが風にやさしく揺れる。
東京都の芝大神宮では、毎年9月にだらだら続く「だらだら祭り」が催されることになっている。江戸時代にはあたり一帯に生姜畑が広がっており、お祭りの期間には境内や参道で生姜の売り買いが盛んに行われていたことから、生姜祭りとも呼ばれる。神輿が見どころ。
秦野市HPによると、今年の秦野たばこ祭りは9月23日、24日に開催されるという。秦野はかつて「葉たばこ」の栽培で栄え、発展したという歴史を持つ。秦野のたばこ耕作の記録は江戸時代からあるが、明治に入ってから全国的に知られるようになった。たばこ農家の苦労をねぎらうために1948年に始まったのがこの祭りである。秦野のたばこ栽培は1984年に幕を閉じるが、お祭りはいまも受け継がれている。
写真:Twitter / @Shinya_STAFF