ヨーロッパの次世代プリンセスたち
欧州には長い歴史を誇る王家と、その家系に生を受けた高貴な人々がいる。今回は王位継承者を含め、各国の王女たちを紹介していこう。
写真はスペイン王位継承順位1位のレオノール王女と妹のソフィア王女。サンティアゴ・デ・コンポステーラにて。
国王夫妻を父母に持つこうした王女たちは、幼いころから同年代の若者には想像もつかないような社会的責任や義務を背負っている。
21世紀のプリンセスたちは、同世代の男性と同じように軍事訓練も受ける。写真はベルギーのエリザべート王女が王立陸軍士官学校で訓練を受けたときのもの。
成人になることは王族にとってもきわめて重要なステップだ。王女たちは正装してティアラを身につけることが多い。写真はノルウェーのイングリッド・アレクサンドラ王女が18歳の誕生日を迎えたときの、成人王族としての初のポートレートだ。
欧州にはどういった王女たちがいるだろう。各国のプリンセスを見ていこう。
ルクセンブルク大公の長女として1991年に生まれたアレクサンドラ・ド・リュクサンブール王女。心理学、社会科学、哲学を専攻し、ニューヨークの国連安全保障理事会でインターンを経験したあとは、ジャーナリストとして活躍している。ルクセンブルク語、フランス語、英語、スペイン語に堪能でイタリア語とドイツ語の知識もある。
ポリーヌ・デュクリュエ王女は、グレース・ケリーの孫、そしてモナコ公女ステファニーとダニエル・デュクリュエの娘として1994年にモナコで生まれた。パリのインスティトゥートマランゴーニとニューヨークのパーソンズ美術大学で学び、ヴォーグやルイ・ヴィトンで働いていた。その後ファッション業界に本格的に進出し、環境保護に配慮したブランド「オルター(Alter)」を立ち上げ。多くの同世代プリンセスと同じく、環境問題を始めとするさまざまな社会問題に高い意識を持っている。
レオノール・デ・ボルボン王女は2005年にマドリードで生まれた。努力家で、思慮深く、完璧主義。幼い頃から責任感が強いが、スペイン国王夫妻の第1子で王位継承者であることから、今後ますます多くの責任を負うことになるだろう。
ソフィア・デ・ボルボン王女はレオノール王女の妹で、2007年生まれ。王位継承順位第1位の姉をよき理解者としてサポートしている。姉よりも大胆なスタイルで現れることが多く、新世代を代表する王女のひとりだ。
ノルウェーのホーコン・マグヌス王太子とメッテ=マリット妃の第1子であるイングリッド・アレクサンドラ王女は2004年生まれ。オスロ郊外にある公立の小学校に通った。同世代の多くの若者と同じく気候変動問題に取り組んだり、休日にはサーフィンやキックボクシングなどのスポーツを楽しんでいる。
エリザベート・ド・ベルジック王女は、ベルギーのフィリップ国王とマティルド王妃の第1王女として2001年に生まれた。ベルギーは王位の継承に男女の区別がなく長子先継制となっているので、ゆくゆくはベルギー初の女王となるだろう。現在はオックスフォード大学で歴史学と政治学を専攻している。
デンマーク女王の4人目の孫、そしてフレデリック皇太子とメアリー皇太子妃の第2子として2007年に誕生したイサベラ・ア・ダンマルク王女。多くの北欧の王族たちと同様、公立の学校に通っている。
オランダのウィレム=アレクサンダー国王とマクシマ王妃の第1子として2003年に生まれたカタリナ=アマリア・ファン・オラニエ=ナッサウ王女。高校卒業後は、ギャップイヤー(すぐ大学に入学せず、約1年間の社会経験を積んだあとに入学する)をとった。
オランダのカタリナ=アマリア王女には、2人の妹、アレクシア王女とアリアーネ王女がいる。次女のアレクシア王女は2005年生まれ、母親のマクシマ・ソレギエタ王妃のスタイルを良く受け継いでいる。父王の母校でもあるイギリス・ウェールズにあるアトランティック・カレッジ(UWC)に留学した。
写真:RVD, the Netherlands Royal Family press service
アリアーネ・ファン・オラニエ=ナッサウ王女は、2007年にハーグで生まれた。オランダ国王の娘たちの中でもとりわけ内気なのか、公式の行事以外では姉であるカタリナ=アマリア王女やアレクシア王女の陰に隠れほとんど目立たない。姉たちと同じように、公立学校に通っていた。
スウェーデンのヴィクトリア王太子とヴェステルイェートランド侯爵ダニエル王子の第1子であるエステル王女は、2012年にストックホルムで生まれた。王族であることを自覚しながら成長し、幼い頃から数多くの重要な行事や祭典に参加して笑顔をふりまいてきた。ドロットニングホルム宮殿近くの公立学校で学び、趣味は音楽。学校では合唱団に所属している。
1994年、元ブルガリア王国の次男キリルとスペイン貴族出身の妻ロサリオとの間に長女マファルダ=セシリアが生まれた。2人の弟妹オリンピアとタシロと共にロンドンで育ったが、音楽の道に進むことを決意し、名門バークリー音楽大学に通うためにボストンへ移住した。現在はヴァレンティノやマイケル・コースのファッションショーやパーティーなどでパフォーマンスを披露し、プロのミュージシャンとして活動している。ちなみにブルガリアは第二次世界大戦以降国民投票で王制を廃止し人民共和国に移行している。
モナコのステファニー王女は離婚後に、元宮殿の守衛ジャン=レイモン・ゴットリーブとの間にカミーユを授かった。1998年にモンテカルロで生まれたカミーユは、インスタグラム(@camillerosegottlieb)を通して、活発に情報を発信している。公位継承権はもたない、独自の道を行くモナコのプリンセスだ。
1999年、モナコのカロリーヌ公女とハノーファー家のエルンスト・アウグスト王子との間に生まれたアレクサンドラ・ファン・ハノーファー王女。大学では政治学と哲学を専攻する一方、ファッションの世界にも興味をもち、デザイナーのパーティやファッション・ウィークの常連となっている。
ギリシャのパウロス王太子とマリー・シャンタル妃の5人の子どもの長女として1996年、ニューヨークに生まれたマリア=オリンピア王女。新世代のプリンセスを代表する彼女は、『ティーン・ヴォーグ』などの雑誌に登場したり、ドルチェ&ガッバーナなどのブランドのランウェイを歩いたりしている。社交界でも活躍中だ。
2015年生まれのシャーロット・オブ・ケンブリッジ王女は、イギリスのウェールズ公ウィリアム王太子とキャサリン妃の長女で、エリザベス2世の曾孫にあたる。今まで登場した他の王女たちよりずっと若いが、すでに何度も両親と共に英国外への公式訪問に参加し、王族としての務めを見事にこなしている。