才能あるアーティストは27歳で命を落とす？：「27クラブ」のジンクス

27歳の若さでこの世を去ったミュージシャンや歌手、俳優たちは、まとめて「27クラブ」と呼ばれることがある。もちろん、27歳という数字には何の根拠もないのだが、それでもアーティストたちにとっては気がかりなジンクスだ。実際、ロックバンド「ザ・キュアー」のロバート・スミスはNPR放送の番組で、「こういったスターたちが27歳で亡くなったことでロックの様相は一変した」とコメントしているほど。ところで、あなたは「27クラブ」に誰が含まれているかご存じだろうか？

1967年2月20日～1994年4月5日。伝説のバンド「ニルヴァーナ」のボーカルでX世代を代表する人物だったが、本人はそのように見なされることを好まなかった。歌詞に込められたメッセージが意図したようには受け取られないことに悩んだようで、「I Hate Myself and Want to Die」という曲までリリースしている。カート・コバーンは「クラブ27」の初期メンバー5人のうち1人だ。

1976年4月13日～2003年11月12日。5歳のころにはすでにTVコマーシャルに出演し、14歳のときに『ネバーエンディング・ストーリー 第2章』で俳優デビュー。『シークエスト』のルーカス役で17歳にして世界的スターになると、毎週4,000通のファンレターが届くほどの人気を手にした。しかし、その勢いにも徐々に陰りが見えるようになり、1990年代の終わりには脇役しかもらえなくなってしまった。そして、最後の「出演作」となった『ジャスティス』では、編集によってジョナサンのシーンが完全に削除されてしまったのだ。親しい人たちによれば、精神的に不安定なジョナサンにとってこの仕打ちは致命的だった。結局、ロサンゼルスの自宅で死亡しているところを発見されるという悲惨な結末を迎えることに。

1943年12月8日～1971年7月3日。ロックバンド「ドアーズ」のボーカルとして活躍し、ペール・ラシェーズ墓地（パリ）に埋葬された彼の墓碑には、ギリシャ語で「自己に忠実」と刻まれている。警察の発表では、パリのマレ地区にある自宅の浴槽で心臓発作を起こし死亡したとされたが、薬物の過剰摂取だったという噂も絶えない。

1943年1月19日～1970年10月4日。ステージ上では目覚ましい活躍を見せていたジャニス・ジョプリン。ビリー・ホリデイやビッグ・ママ・ソーントンといった大物ブルース歌手の継承者として、ウッドストック・フェスティバルやモントレー・ポップ・フェスティバルで比類ない歌声を披露したのだ。しかし、問題はステージを降りたときにあった：ジャニスが音楽にそそぐ情熱は薬物によって維持されていたのだ。実際、1970年10月4日にロサンゼルスの自宅にて薬物の過剰摂取が原因で死亡するまで、ずっと常用していたという。彼女もまた、「27クラブ」の初期メンバーの1人だ。

1942年11月27日～1970年9月18日。史上最高のロックギタリストの1人とされるジミ・ヘンドリックスだが、活動期間はわずか4年。その短期間のうちに音楽史を一変させ、あっという間に業界を去ってしまったのだ。死の直前には制作会社との対立、マネージャーとの確執、ベーシストだったビリー・コックスの不在、そして赤ちゃん誕生による不眠など、数々のトラブルを抱えていた。そして1970年9月18日、用量の7倍の睡眠薬をワインに混ぜて摂取、意識を失ったまま吐しゃ物を喉に詰まらせ、この世を去ってしまった。

1942年2月28日～1969年7月3日。ベーシストのビル・ワイマンによれば、「ローリング・ストーンズを結成し、メンバーを集め、バンド名や方向性を決め、コンサートを実現した」のはブライアン・ジョーンズだったという。ローリング・ストーンズはブライアンなしでは存在し得なかったのだ。ところが、ポップ路線に向かうようになったバンドに対し、根っからのロックミュージシャンだったブライアンは反発。依存症とうつ病に陥り、結局ローリング・ストーンズを脱退することになってしまった。それから1ヵ月も経たないうちに自宅プールで喘息の発作を起こし、この世を去ったとされているが、映画『ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男』でも示唆されている通り、事件性を疑う声も絶えない。彼もまた、「27クラブ」初期メンバーの1人だ。

1960年12月22日～1988年8月12日。アンディ・ウォーホルやマドンナと浮名を流す一方、若くしてパリやニューヨークで個展を40回あまり開催するなど、自己アピールの才能も持ち合わせていた。しかし、薬物依存は彼を深く蝕んでいた。ハワイで治療を受け依存症を克服できたと思い込んだジャン＝ミシェルは1988年7月にニューヨークに舞い戻ったが、1988年8月12日に薬物の過剰摂取でこの世を去った。

1990年4月8日～2017年12月18日。人気アイドルグループ「SHINee」のボーカルとして、9年間にわたりKポップ界をリードしたキム・ジョンヒョン。2015年にソロ活動を決意したものの、2年後の2017年、ソウルのアパートで心停止の後に死亡しているところを発見された。

1990年7月4日～2018年1月19日。トラップ音楽のスターとして人気上昇中だったフレッド・サンタナ。デビューアルバムの『Trappin' Ain't Dead』は爆発的な売り上げを記録していた。しかし、咳止めシロップを使った自家製薬物は腎臓および心臓を確実に蝕んでいた。死の数ヵ月前にはSNSに「こんな苦しみは宿敵にも味わわせたくない」と書き込むほどの苦痛の末、腎不全に伴うてんかん発作で死去。

1983年9月14日～2011年7月23日。21世紀最高の歌手としての素晴らしい才能とスキャンダラスなまでの薬物依存で知られている。ロンドンのカムデンにある自宅で死亡しているのが発見され、3ヵ月後の司法解剖によって死因はウォッカの飲み過ぎと判明。血中アルコール濃度は、致死量の350ミリグラムを遥かに上回る416ミリグラムだったという。

1992年12月4日～2020年1月7日。『アメリカン・ホラー・ストーリー』や『スニーキー・ピート』『The OA』で好演し、ジェーン・バドラーの息子というレッテルをはがすことに成功。その後はモデル兼ミュージシャンとして活動していた。ところが、2022年、母のジェーン・バドラーがInstagram上で息子の死を発表。ハリーが数年間にわたって「精神疾患と依存症」に悩まされていたことを明かした。

1989年3月11日～2016年6月19日。ハリウッドの若手俳優の中でも勢いのあったアントン・イェルチンだが、カリフォルニア州スタジオシティの自宅で世にも奇妙な死を遂げることになってしまった。警察の検証によれば、アントンはサイドブレーキを引かずに自動車を駐車していたと見られ、これが勝手に動き出したことで門柱に押し付けられてしまったのだ。死因は公式には「外傷性窒息」とされている。

1961年8月2日～1989年6月14日。80年代に人気を博した英国のバンド「エコー＆ザ・バニーメン」のドラマーだったピート・デ・フレイタス。娘の誕生から1年後、リバプール市でバイク事故に見舞われ、悲劇的な死を遂げることになってしまった。

1945年9月8日～1973年3月8日。米国のロックバンド「グレイトフル・デッド」の創設メンバーだったロナルド・ “ピッグペン”・マッカーナン。ボーカルでありながら楽器の演奏もこなすオールラウンダーだったが、カリフォルニア州コルテマデラの自宅で消化管出血により早世してしまった。

1943年7月4日～1970年9月3日。ロサンゼルスのブルースバンド「キャンド・ヒート」の創設メンバーでリーダーも務めたアラン・ウィルソン。いまや伝説となった1969年のウッドストック・フェスティバルに参加したことでもよく知られている。ところが翌年9月、サンタモニカ山脈で寝袋に包まれた遺体となって発見されることに。死因としては薬物の過剰摂取が疑われている。環境活動家としても積極的で、大自然の中でひとり夜を過ごすのを好んでいたという。