英王室の愛すべき子どもたち:ジョージ王子、シャーロット王女、ルイ王子のフォトスナップ
ばっちり決まった家族写真を撮るのは至難の技、いや、ほとんど不可能である。子どもたちはひっきりなしにふざけ合い、よそ見をしたり目を細めたり顔をしかめたりと忙しい。英チャールズ国王の戴冠式でもそんな微笑ましい情景が繰り広げられた。主役はもちろん、ウィリアム皇太子夫妻の3人の子どもたち。
まずはジョージ王子の写真。ジョージ王子は3人のうち、いちばんの年長である。祖父チャールズ3世の戴冠式で、ジョージ王子は重要な役目をおおせつかった。バルコニーでみせる晴れやかな表情は、午前の緊張がほぐれてからの、浮かれ気分にほかならない。
ジョージ王子は楽しげなごようす。めぼしい物を見つけたのか、となりの(おなじく侍者を務めた)少年に何かを指し示している。おりしも儀礼飛行が行われ、こちらは毎度のことながら王室関連イベントの目玉となっている。
戴冠式のあいだ、ジョージ王子は「ページ・オブ・オナー(侍者)」としての役目を果たした。王を待ち受け、王のローブの裾を運ぶのだ。9歳の少年にとって大役である。頭はそのことでいっぱいのはずだが、舌は舌で何やら別の関心事があるようす。
ジョージ王子の思い詰めたような顔立ち。世界中が注目するなか、ドジを踏んでなるものかとカチコチになっているのかもしれない。
だが、その翌日にはケロッとしている。ウィンザー城で催されたすばらしい祝賀コンサートを楽しむ来賓の面々。ウィリアム皇太子と息子ジョージ王子のほほえましいショット。
ウィリアム皇太子が振った旗が息子ジョージ王子の顔をかすめたのだろうか。
年齢の順で、次はシャーロット王女。彼女は弟と手をつなぎ、5月6日の式典に出席した。若き王女はこれまで出席した王室関係のイベントで、模範的なふるまいを見せている。
シャーロット王女は式典へ向かっているところをパシャっと撮られた。窓に細かい雨粒が張り付き、どことなく不穏な情景である。
このままいくと、シャーロット王女はつけ入る隙のない王女様になるだろう。彼女が投げかける鋭い視線は、しもじもの魂の奥底を見透かすようだ。写真はウェストミンスター修道院に入るところ。
若き王女は5月のはじめに8歳の誕生日を迎えたばかり、バルコニーから観衆に手を振ってみせる。ふだんから王侯然とした所作をくずさない彼女であるが、このときばかりは儀礼飛行に目を奪われ、いきおいしかめ面になっている。ルイ王子の表情には及ばないが、ルイ王子はわんぱくそのものなので、そもそも比べようがない。
ジョージ王子とシャーロット王女が戴冠式のコンサートを楽しんでいる。シャーロット王女は編み髪をとき、おさげにしている。目の前では壮大なショーが繰り広げられ、子どもらしい興奮があらわになった。
シャーロット王女のあどけない笑顔。ミニ・ユニオンジャックを振っている。
そもそもはウィリアム王子がはじめたトレンドである。よき伝統はウェールズ公の子どもたちに連綿と受け継がれ、旗を振って兄弟姉妹にちょっかいをだす。それっ、攻撃!
最後にロイヤルファミリーの最年少、愛すべきルイ王子の登場だ。こしゃくで魅力的なその姿を見ていこう。
ロイヤルファミリーの愛をたっぷりと受けるルイ王子。公の場に姿をあらわすのは、故エリザベス女王のプラチナ・ジュビリー以来である。5歳の王子はクールな顔つきで落ち着きはらい、キュートさはそのままにウェストミンスター寺院に入っていく。
寺院に足を踏み入れると、ルイ王子はひかえめな欠伸をひとつした。席につくと、こんどは戴冠式が行われるなか、あまりひかえめでない欠伸をひとつ。幼い子どもにとって、こういう行事はひどく長く感じられるものだ。
だがルイ王子は、式典の無聊をなぐさめてくれる何かをめざとく見つけたようで、すかさず隣の姉にも教える。ウェストミンスター寺院は1066年の昔から戴冠式の舞台となっており、文字どおり歴史が染み込んでいる。この建築物の意匠にはだれもが目を見張らずにいられない。
乗り心地のよい馬車におさまってしまうと、ルイ王子はまた退屈になってきた。翌日のコンサートに彼の姿は見あたらなかったが、これはしごく当然である。祝賀コンサートはこの殿方の就寝時刻をまたいで続くのだから。
馬車はロイヤルファミリーを乗せて、ウェストミンスター寺院からバッキンガム宮殿へ向かう。道のりとしてはかなり短い。だがルイ王子の体感は異なり、彼は口をとがらせながら、雨ふりにたたずむ観衆をながめるのだった。
ロイヤルファミリーがバルコニーに会する場面は、きまって大きな関心を集める。ルイ王子は母であるキャサリン皇太子妃を見やり、舌を突き出している。長い一日の終わりにあたり、子どもに戻ったシャーロット王女はおちゃめな一面をのぞかせている。
ルイ王子は上空にあらわれたヘリコプターに目をとめる。儀礼式典の場面。いぶかしげな目つきで、空をじっとにらむ。
かきたてられた好奇心はじきに萎み、辟易にとってかわられる。父も母も、息子の変化は意識の外だ。バルコニーに集まったロイヤルファミリーのなかで、ルイ王子は疑いなく最大の見どころだった。おかしな顔と、こぼれんばかりの可愛さを惜しげもなくふりまいていたのだった。