テック億万長者の驚くべきアンチエイジングとは:息子の血から「血漿交換」
テック企業家のブライアン・ジョンソンは18歳の時の肉体を取り戻そうとしている。自らが興した決済プラットフォームBraintree及びVenmoがPayPalに8億ドル(約1,200億円)で買収されたことで、ジョンソンはかなりの資産を手にした。AI研究者レックス・フリードマンのポッドキャストに出演した際、ジョンソンは自らの目標として、多くのお金を稼いで人類の発展のために使いたい、と語っている。
この写真は2017年に撮られたもので、この後、前人未到のアンチエイジングに乗り出すことになる。
45歳となったジョンソンが注目を集めたきっかけが、最近発表したプロジェクト・ブループリントだ。このプロジェクトで、ジョンソンは医師や研究者のチームと共同して最先端のアンチエイジング技術の限界に挑むのだという。
写真:Blueprint/ Bryan Johnson (https://blueprint.bryanjohnson.co)
最初の目標として掲げたのが、毎年身体年齢を1.01歳若返らせることだ。それはつまり、ウェブサイト「Medium」上で本人が説明しているように、「老化脱出速度」の第一段階を達成するということだ。それだけでも不老の夢が叶うことになるが、ジョンソンはさらに18歳のころの身体を取り戻すことも目指している。
写真:Blueprint / Bryan Johnson (部分)
プロジェクトの一環としてジョンソンは30人の医師や専門家を雇い、あらゆる臓器の老化の進行を止めようとしている。ジョンソンは「ブルームバーグ」にこう語っている:「とんでもないことをやろうとしているように聞こえるでしょうが、老化や衰弱が不可避ではないことを証明したいのです」
写真:Bryan Johnson, 'Why I Am Spending Millions To Be 18 Again' / Youtube
「ブルームバーグ」によれば、ジョンソンはこの若返りプロジェクトに2023年だけで少なくとも200万ドル(約3億円)の予算を設けているという。ただ、ジョンソンのウェブサイトによれば、彼が摂取している食品やサプリなどの総計はアメリカでの価格で毎週1,684.5ドル(約25万円)程度だという。
写真:Blueprint / Bryan Johnson(部分)
ウェブサイト「Medium」にジョンソンが投稿した文章によれば、この試みはまず「夜型の自分をクビにする」ところから始まったのだという。かつての自分は夜中にドカ食いするのが大好きだったが、それは体に大きな悪影響を及ぼしていた。そのため、夜食を制限しようとしたことがきっかけだったのだが、やがてそれは極限まで意志の力を酷使する厳格な生活コントロールへと変わっていったという。
写真:Bryan Johnson, 'Why I Am Spending Millions To Be 18 Again' / Youtube
この奇行には彼の家族も巻き込まれている。ジョンソン言うところの「世界初の世代間血漿交換」を行い、息子の血液1リットルから抽出した血漿を投与されたのだという。また、自身も父親に血漿を提供しているとか。どういうことなのだろう? ジョンソンによると「血漿交換がさまざまな健康上の利点をもたらすという証拠が数多くある」らしい。
写真:Bryanjohnson_ / Instagram
一連の「血漿交換」はきれいな動画にまとめられてYouTube上で公開されており、ジョンソンはこの体験を人生における最も甘美な出来事と呼んでいる。「心は分かれていても、生物学的にはつながっている」とか。
写真:Will My Son’s Blood Make Me Younger? Bryan Johnson/Youtube
ジョンソンはいまでは自分が何をしたいかには構わず、70以上ある自分の臓器の声に従っているのだという。日々のルーチンはすべてデータに基づいて決められる。自身の健康状態を計測するため、現在知られているあらゆる検査を受けている。
写真:Bryan Johnson, 'Why I Am Spending Millions To Be 18 Again' / Youtube
2023年初頭時点ではジョンソンは毎日きっかり1,977kcal摂取し、しかも食事は完全ビーガン食。毎月食べる野菜や果物、ナッツの量は合計30kg以上だという。しかもこの食事は血液検査その他の結果を受けて日々更新される。例えば、2021年(写真)には一日一食しか取っていなかった。
写真:Bryanjohnson_ / Instagram
ジョンソンの生活はウェブサイト上で細かく公開されている。そこにある動画によると、ジョンソンは毎朝5時に起き、最初にするのは体重計測と瞑想らしい。それから、毎日恒例の青汁を飲む。この青汁のレシピも公開されており、水とスペルミジン、各種アミノ酸、クレアチン、コラーゲンペプチド、ココアフラバノール、セイロンシナモンが入っているようだ。この青汁とともに約25種類のサプリメントも飲んでいる。
写真:Bryan Johnson, 'A typical Blueprint morning' / Youtube, November 2021
サプリなどの医薬品も大いに取り入れられている。例えば、「ブルームバーグ」によると青汁とともに飲んでいるサプリ類は次のようなものらしい:「リコペンは血管や皮膚の健康を保ち、メトホルミンは大腸ポリープを防ぐ。肝酵素を摂取して炎症を防ぐために、ターメリックと黒胡椒、生姜も飲んでいる。ヴィーガン食を補うために亜鉛も飲み、脳の健康を保つために(ジョンソン談)少量のリチウムも摂取しているという」
写真:Bryan Johnson, 'Why I Am Spending Millions To Be 18 Again' / Youtube
青汁を飲んだあとは運動をする。1時間ほどかけて、ストレッチやスクワット、ウェイトトレーニングなど25種類の運動をこなす。また、週に三回、高強度インターバルトレーニングも行なっている。週末にはハイキングに出かける。
写真:Blueprint / Bryan Johnson
皮膚も他の臓器同様ジョンソンが大事にしている体の部分だ。医療チームが完璧なスキンケアクリームを調合しようとしているらしいが、ある時は肌がオレンジ色になってしまったこともあったとか。髪も手入れを欠かしていない様子で、実際、個人仕様の処方やレーザーキャップ、各種注射やマイクロニードルを使用しているようだ。
写真:Bryan Johnson, 'A typical Blueprint morning' / Youtube, November 2021
デンタルケアも並のレベルではない。歯磨きは一日二回、ウォーターピックとフロスを使っており、舌苔取りやティーツリーオイルのマウスウォッシュ、歯茎ケア用のCoQ10ジェルも欠かさない。そのおかげか、かかりつけの歯医者によるとジョンソンは健康な10代レベルの歯茎を保っているのだとか。
写真:Blueprint / Bryan Johnson
そして朝には朝食を食べる。メニューも決まっていて、レンズ豆やブロッコリーなどの野菜を混ぜたグリーンプディングだ。ランチも正午前に食べているが、これは日によってメニューが違うようで、詰め物入りのサツマイモやオレンジとフェンネルのサラダ、アスパラガスとアーモンドとビートのサラダなどを食べていた。
写真:Bryan Johnson, 'Why I Am Spending Millions To Be 18 Again' / Youtube
2018年のブログ記事では夜のルーチンについても説明している。仕事を終えたあと、1時間ほどクールダウン、5-10分の瞑想、そして午後7時以降はブルーライトカット眼鏡をかけ、8:45から9:30には床に就く。就寝時には波の音を再生し、マットレスを最適な温度に保つために「チリパッド」という機器も使用しているとか。
写真:Bryan Johnson's past week sleep performance March 20,2023 via @Bryan_Johnson/Twitter
2022年の報告では、ジョンソンは7ヶ月かけて身体年齢を47歳から42.5歳まで若返らせることに成功したという。いわく、今ではふつうの10才児よりも老化スピードは遅いのだとか。筋肉と脂肪のバランスも理想的で、各種検査数値は50以上の項目で最高レベルにあり、体温も昔より1℃ほど低くなったという。
写真:Blueprint / Bryan Johnson (cropped)
ジョンソンにはイーロン・マスクのニューラリンクにも匹敵するような構想がある。それが「Kernel」だ。帽子型のポータブルデバイス(写真)で、脳の活動を計測するのだという。ジョンソンは鬱症状に悩まされたことがあり、このデバイスを使って計測したデータを医師や患者が利用し、メンタルヘルス治療をよりパーソナライズすることを目指しているのだという。
写真:Blueprint / Bryan Johnson