じつは強迫性障害を抱えているハリウッドのスターたち
強迫性障害(obsessive–compulsive disorder:OCD)とは、きわめて強い不安感や不快感から、それを抑えるために意味のない行動を繰り返してしまう精神疾患である。第一線で活躍を続けながらも、そうした病を抱えている有名人たちを見ていこう。
米歌手ケイティー・ペリーは強迫性障害にかかった結果、極度の潔癖症になったと語っている。
2013年にZ100ラジオ局のインタビューを受けた彼女は自身の体験や、同じくこの障害を抱えていた実業家で飛行家、往年の映画監督ハワード・ヒューズについて次のように語った。「私は強迫性障害を患っています。見るものすべてをアルファベット順に並べたくなってしまうんです。過度に潔癖なところは、ハワード・ヒューズに似ています」
ハワード・ヒューズはその奇行から変人と言われてきたが、後に強迫性障害と診断された。ブラジルの雑誌『Aventuras na História』によると、極度の潔癖症を抱えており、夕食にいつも決まったものしか食べないといった強いこだわりも持っていたようだ。
カナダのコメディアンで司会者のホーウィー・マンデルは、米『ABCニュース』で強迫性障害に苦しんでいると語った。主な症状は極度の潔癖症だが、それ以外の症状が現れることもあるという。病に苦しむ状態を、「頭の中は、いつも死の瀬戸際にいるような状態なんだよ」と表現している。その潔癖症から握手はせず、代わりに拳を突き合わせることにしていると明かしている。
俳優のアレック・ボールドウィンはポッドキャスト「What's One More」で、強迫性障害を抱えて生きるのは困難だと語った。「強迫性障害と付き合っていくのは、苦労することも多いんだ」と当時63歳だったアレックは話している。
「強迫性障害のことを公に話す人がほとんどいなかった時代に、ホーウィー・マンデルが病について公表してくれたことに感謝しているよ。当時は強迫性障害や精神疾患に対する偏見が今よりもさらに強かったんだ。お互いに理解し合うことで、偏見を取り除き、世界を変えることができると思っているよ」
ミーガン・フォックスも強迫性障害との闘いについて明かし、米誌『アリューア』のインタビューで過度の潔癖症であると語った。「何百万人もの人が接触した食器やカトラリーに、自分の口が触れるなんて考えられない!自分の口の中にどれだけの雑菌が入るか、想像できる?」
また、彼女は「誰かがトイレを使って水を流すたびに、雑菌が空気中に撒き散らされるのよ。こんなこと耐えきれないわ」と付け加え、公衆トイレを避けていると語った。
ジャスティン・ティンバーレイクもこの病と闘い続けている。英メディア『Female First』のインタビューで、強迫性障害を患っており、物事に集中するのが難しいと語った。
イタリアの新聞『ラ・レプッブリカ』によると、女優のシャーリーズ・セロンは物の配置にこだわりがあり、少しでもずれていると家でリラックスできないそうだ。
「ベッドに横になっても眠れないんです。『あの戸棚のなかの配置がおかしくなっているかもしれない』って思うから」と彼女は英メディア『Contact Music』に語った。「数を数えるようなことはしないけど、無秩序な状態が許せないの」
レオナルド・ディカプリオは英紙『デイリー・ミラー』に対し、2005年の映画『アビエイター』の撮影に向けた役作りの最中で、自身も強迫性障害であることに気づいたと語った。その症状は子供の頃から続いていたようだ。「地面のひび割れや、特定のものを踏まないように行動していたんだ」と、英メディア『Digital Spy』に語っている。
テレビ番組のインタビューで、ブラジル出身の女優ルシアナ・ヴェンドラミニは、強迫性障害だと自覚したきっかけについて語った。「水辺を自転車で走っていたとき、急に立ち止まってしまったんです。抑えきれない恐怖を感じパニック発作を疑ったこともありましたが、実は強迫性障害だったんです」
彼女は「その当時は『黄色いシャツを着た人が3人通り過ぎないと、ここから立ち去ってはいけない』という考えに支配されていました。最終的にその場から離れることができず、泣き出してしまったんです」と付け加えた。
ビリー・ボブ・ソーントンは、過酷な幼少期の体験から強迫性障害を患ったと明かした。2004年の英紙『インディペンデント』によると、骨董品や大きな古いフランス製の銀食器に対する恐怖症も併発しているという。
強迫性障害の症状により心身が消耗するほか、常に数を数えていたり、人に数字を割り当てたりするなど数字への執着が強すぎて、生活に支障をきたしているとビリー・ボブは語った。
ジェシカ・アルバは米誌『コスモガール』で強迫性障害について以下のように語った。「家にあるすべての電化製品のプラグを抜いて回らないと気が済まないんです。また、夜は家のすべてのドアに鍵がかかっているかダブルチェックしています」
「パニックに陥って、何かをしなければいけないという気持ちに囚われてしまったんです。実際にやってみたら、気持ちが落ち着きました」と彼女は続けた。
「ラテン音楽の王」ことロベルト・カルロスは、ブラジル最大のテレビ局「ヘジ・グローボ」のインタビューで、強迫性障害を患っていることを認め、それによる弊害についても語った。「強迫性障害と付き合っていくのは苦痛だよ」とも述べている。
ロベルト・カルロスにインタビューした際、ブラジルのコメディアンであるジョー・ソアレスも、自身が強迫性障害であることを明かしたが、時が経つにつれて克服する方法を学んだと語っている。
デビッド・ベッカムは、さまざまなインタビューで強迫性障害について語っている。2023年、Netflixは彼の生涯を描いたドキュメンタリーシリーズ『ベッカム』を公開。このドキュメンタリーでは2000年代初頭に強迫性障害と判明した後、ベッカムが自身の病と向き合う姿をありありと描いている。
写真:Netflix
スペイン『エル・パイス』紙の取材に対し、ベッカムは強迫観念の一つである過剰な掃除の習慣について明かした。「ろうそくから溶けた蝋を切り取り、ガラスを掃除しているよ。キャンドルホルダーの中に煙が入るのが何よりも許せないんだ」と彼は付け加えた。
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しかし、妻のビクトリア・ベッカムにとっては良い面もあると冗談混じりに話した。「頻繁に掃除することを、妻が本当に感謝しているかどうかは分からないけどね」と付け加えた。
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