平手打ち事件から1年:ウィル・スミスとアカデミー賞との関係
2022年のアカデミー賞授賞式でウィル・スミスが起こした事件は、どんなスター俳優や受賞作品よりも強烈な印象を残した。
2022年に行われた第94回アカデミー賞授賞式の舞台上で、ウィル・スミスはプレゼンターのクリス・ロックを平手打ちをくらわしたのだ。しかもその後に主演男優賞を受け取っている。
テレビを通じて何百万人もの人々がウィル・スミスがプレゼンターに平手打ちを食らわせる瞬間を目にすることになった。その数分後、ウィルは『ドリームプラン』でオスカー像を手にしている。
この平手打ち事件は、90年代にウィルが演じたフレッシュ・プリンスのドタバタ劇と同じく、今でも多くの人に話題にされている。とはいうものの、ウィルとアカデミーの関係は2022年3月のときから少しずつ回復しつつあるようだ。
最近、アカデミー賞を主宰する映画芸術科学アカデミーのジャネット・ヤン会長は、ウィルが受け取ったオスカー像に彼の名を刻むことに前向きな姿勢を示し始めている。
というのも、ウィル・スミスは平手打ち事件により一連の罰を与えられており、そのひとつが受け取ったオスカー像に自身の名を刻印してもらえなかったことなのだ。
オスカー像に名前が刻印されないことは大したことではないようにも思えるが、これは受賞者を大きく落胆させ、賞の権威を失墜させるのに十分な力を持っている。主催者は映画業界の人々にとって損失となるポイントを熟知しているのだ。
アカデミー賞の授賞式後には公式パーティーである「ガバナーズ・ボール」がひらかれ、みごと賞を受け取ったスターたちはその場でオスカー像に自分の名を刻んでもらうのが伝統となっている。
例えばブラッド・ピットのこの写真。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でアカデミー賞助演男優賞を受賞し、ガバナーズ・ボールで像に自身の名が刻まれるのを待っている有名な写真だ。
昨年の授賞式後、ウィルはガバナーズ・ボールに姿を見せなかった。受賞者スピーチで謝罪の言葉を述べる機会を得たものの、公式のアフターパーティーに出席できるような雰囲気ではなかったのだ。
しかしあれから1年が経ち、ジャネット・ヤン会長は『ハリウッド・リポーター』誌の『 Awards Chatter Podcast』で「オスカーを受賞したのだから、彼の名前を像に入れるべきでしょう」と語り、ウィルに歩み寄る姿勢を示した。
もちろん、オスカー像に刻印をしてもらうことと、ウィル・スミス本人が足を運ぶことはまったく別の話だ。
ジャネット・ヤン会長は、ウィルの平手打ちに対する制裁のひとつを思い浮かべながらこうコメントした:「本人が来るべきかどうかはさておき、当アカデミーで何かしらの対処は可能です」
ウィルは今後10年間にわたり(2032年まで)、授賞式を含めてアカデミーが主催するすべてのイベントへの出入りを禁じられている。
もちろんウィルは2023年のアカデミー賞授賞式に出席することはできず、本人が公式パーティの場に赴いてオスカー像に名を刻んでもらうことは不可能だ。
ウィル本人が行けないとしたら、だれが代わりに行くべきだろうか。たとえば、ウィルが主演を務めて大人気となったドラマ『ベルエアのフレッシュ・プリンス』で従兄弟役を演じたアルフォンソ・リベイロあたりが適役かもしれない。