名優ブラッド・ピット:代表作24本を振り返る
1963年生まれのブラッド・ピットは、そのルックスやスタイルの良さが注目され、モデルとしてキャリアをスタートさせた。しかし、ほどなくして演技の才能を認められ、一躍ハリウッドの大スターの座へと駆け上がっていった。そんなブラッド・ピットの代表作を振り返っていこう。
『リック』はブラッド・ピットの初主演作で、皮膚の難病を抱えるリックという青年の役を演じた。アメリカとユーゴスラビアの共同製作という珍しい映画であった。
『処刑教室-最終章-』では、複数の殺人事件の容疑者となってしまった青年、ドワイト・インガルス役を務めた。
トム・ディチロ監督がメガホンを取った自主映画『ジョニー・スエード』では、リーゼントスタイルのブラッド・ピットを目にすることができる。
1991年の『テルマ&ルイーズ』は、ブラッド・ピットにとってハリウッドでの出世作となった。端役ではあったが、カリスマ性を感じさせる演技が多くの観客の注目を集めた。
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』が、ブラッド・ピットのキャリアを確固たるものにした。妻子を亡くしヴァンパイアとなったルイ・ド・ポワント・デュ・ラックを熱演している。
デヴィッド・フィンチャー監督の『セブン』では、モーガン・フリーマンと共に刑事役を好演している。実はデンゼル・ワシントンとシルベスター・スタローンにも出演オファーが来ており、ブラッド・ピットは危うくこの大役を逃すところだった。『セブン』は結果的に大ヒットを記録し、オファーを断った2人は後悔しているかもしれない。
この映画でブラッド・ピットは、神経質かつ不安定で自暴自棄という複雑な役柄に挑戦し、精神疾患を患っているジェフリー・ゴンズ役を怪演した。
『ジョー・ブラックをよろしく』は変わったストーリーだが、ブラッド・ピットの演じた役柄の中で最も人気のあるものの1つである。本作で、彼はアンソニー・ホプキンスと共演している。
ブラッド・ピットはキャリアを通じて常にスタイルを維持してきたが、『ファイト・クラブ』の出演に向けて更に体型を絞る必要があった。ジムに多くの時間を費やし、厳しい食事制限を続けた結果、ブラッド・ピットは映画史に残る見事な演技を披露している。
ブラッド・ピットとロバート・レッドフォードの新旧二枚目スターの共演で話題になったのが、2001年の『スパイ・ゲーム』である。実はこの二人がタッグを組むのは同作が初めてではなく、すでに1992年の『リバー・ランズ・スルー・イット』でロバート・レッドフォードが監督、ブラッド・ピットが主演を務めていた。
米『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタビューで、「すべてのショットが『これこそがヒーローだ!』という感じで、予想外のことは何もなかったね。これ以降、脚本の質が高い映画にだけ出演することを決めたんだ」と語ったように、ブラッド・ピットは『トロイ』をあまり気に入っていないようだ。
ブラッド・ピットは当時まだジェニファー・アニストンと婚姻関係にあったが、本作でアンジェリーナ・ジョリーと運命的な出会いを果たし、交際をスタートさせた。実はパートナーがターゲットだったということを知った2人の暗殺者、スミス夫妻の駆け引きが見どころである。
F・スコット・フィッツジェラルドの小説を基にした、デヴィッド・フィンチャー監督の『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は、批評家や観客の間でも大きく意見が二分する作品となった。ブラッド・ピットはこの映画で、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。
クエンティン・タランティーノ監督とブラッド・ピットが初めてタッグを組んだのが、『イングロリアス・バスターズ』である。どんな犠牲を払ってでもドイツ兵への復讐を果たそうと目論むアルド・レイン中尉を熱演した。
『ジャッキー・コーガン』では、ブラッド・ピットが主人公の殺し屋役をコミカルに演じている。
『ワールド・ウォーZ』では紛争地帯での経験を持つ元国連職員であり、父親としての一面も持ち合わせているジェリー・レーン役を熱演している。
『フューリー』では、第二次世界大戦の真っ只中で戦い続けるドン・“ウォーダディ”コリア車長を演じ切った。このキャラクターは、『イングロリアス・バスターズ』での役柄を想起させる。
サブプライム住宅ローン危機が起こった2008年を舞台とし、ブラッド・ピットは引退した投資家ベン・リカート役を演じた。ライアン・ゴズリングやクリスチャン・ベール、スティーブ・カレルといった名優たちともこの映画で共演している。
『ウォー・マシーン: 戦争は話術だ!』では再び戦争映画に出演し、マクマーン将軍を演じた。一部の批評家によるとブラッド・ピットの演技は、1970年の『パットン大戦車軍団』でパットン大将を演じたジョージ・C・スコットにインスピレーションを受けているという。
クエンティン・タランティーノ監督は1960年代のハリウッドへのオマージュとして、ブラッド・ピットに再び出演を依頼した。この作品でアカデミー賞助演男優賞を受賞することとなる。
ブラッド・ピットは、行方不明の父親を探すために太陽系の惑星を旅する宇宙飛行士ロイ・マクブライドという役柄で、成熟した一面を持ちつつも繊細な主人公を巧みに演じている。
伊坂幸太郎の小説を原作とする『ブレッド・トレイン』では、長髪とひげの冴えない見た目ながら、実はプロの殺し屋である主人公を演じた。日本を舞台に、乗り込んだ新幹線の中で他の暗殺者たちとの戦いを繰り広げている。この映画は好評を博し、いくつかの賞にノミネートされた。
2022年にはデイミアン・チャゼル監督のもとで、マーゴット・ロビーと『バビロン』で共演している。この映画では、1920年代に人気の絶頂にあったが、トーキー映画の台頭により落ち目にある俳優を演じた。
ブラッド・ピットが興行収入の面はもちろんのこと、批評家の間でも成功を収めて何年も経つ。現在はF1に関する近日公開予定の映画『Apex』への出演で、再びスポットライトが当たっている。60歳を超えたブラッド・ピッド。引退の日はまだまだ遠そうだ。