前人未到、地球上で最も長いウォーキング・ルートとは
人生で冒険に挑んでみたいと思うなら、まだ誰も踏破したことのない『地球上で歩行可能な最長距離』を歩いてみてはどうだろう。飛行機や船などの交通手段を使うことなく、徒歩だけで移動可能な地球上で最も長いウォーキング・ルートだ。
このルートの出発点は南アフリカのケープタウン。そこから陸路でロシア東部の港町マガダンに至るルートで、いまだかつて踏破されたことがないという。
写真:Screenshot - Google Maps
これまで走破されていない理由のひとつは、 スタートからゴールまでの壮大な距離にある。その全長はなんと2万2,387kmに及ぶというのだ。
実際にこのルートを一定のペースで歩くとすれば、スタートからゴール地点にたどり着くまで約3年かかるという。
南アフリカのケープタウンを出発し、スエズ運河を通り、トルコや中央アジアを抜け、シベリアを経由してロシアのマガダンに至るルードとはどんなものだろうか。通過する国は全部で16カ国にも及ぶのだ。
この驚嘆に値するウォーキングルートを発見したのは、アメリカの掲示板型ソーシャルメディア「Reddit」のあるユーザーだ。掲示板で『地球上で歩行可能な最長距離』というタイトルを付け、このルートをシェアしたのだ。グーグルマップ上で点と点を結ぶべく、かなり試行錯誤したに違いない。
誰も完歩に成功していないのは、その途方もない距離に加えてルート上にさまざまな問題が立ちはだかっているからだ。例えばジンバブエでは、世界で最も危険な毒ヘビのひとつとされるブラックマンバに遭遇する可能性がある。
言うまでもなく、シリアは現在も内戦を続けており、地震による甚大な被害もあった。ウガンダはマラリアの発症件数が世界で3番目に多く、スーダンは世界で最も危険な国のひとつだ。
その他にも言葉の壁、通貨の違い、ビザなどの問題があり、さまざまなエリアで衛生上の問題に直面し、水分補給も困難になることが予想される。何より、ルート上には紛争地域がいくつも横たわっている。
ここまでマイナス点ばかりを列挙したが、素晴らしい景色が旅人を待ち受けていることは確かであり、きっとさまざまな光景に魅了されることだろう。では、この「地球上で歩行可能な最長距離」をシュミレーションしてみよう。
スタート地点となるケープタウンでは、ちょっとしたウォーミングアップとしてテーブルマウンテンを登ってみよう。頂上まで2~3時間かかるが、ケープタウンの街と海岸線が織りなす壮大な景色を一望できる。ただしルートによってはロッククライミングの装備が必要となる。
「地球最後の楽園」と称されるオカバンゴ・デルタは野生動物の宝庫で、ゾウ、ライオン、ヒョウ、キリン、バッファロー、シマウマなどが生息している。また、隣接するチョベ国立公園はゾウが多いことで有名だ。スタートから6週間歩き続けた後だけに、野生動物を眺めながら体を休めてはどうだろう。
落差108m、幅約2kmのヴィクトリアの滝は「世界三大瀑布」のひとつ。滝の水が流れ落ちる所に天然のプール、デビルズプールがあるが、高所恐怖症の人は泳ぐのにかなりの勇気が必要になるだろう。ボツワナの首都ハボローネからヴィクトリアの滝までは22日間の旅となる。
南スーダンは2011年に独立したアフリカで最も若い国。スーダンはアフリカ大陸で3番目に面積が広く、大自然はもちろんメロエピラミッドをはじめ観光資源も多い。ただし、現在紛争が激化しており入国には命の危険が伴う。
首都カイロ郊外にあるクフ王、カフラー王、メンカウラー王のピラミッドは、世界で最も有名な古代遺跡のひとつ。日本の縄文時代にあたる時代に、驚異的な技術を集結させて造られたもので、多くの謎を残している。
砂岩をくり抜いて造られた驚くべき遺跡群ペトラ。『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』の舞台となったエル・ハズネはアラビア語で「宝物殿」を意味するが、その使用目的は今もって謎とされている。
トルコ最大のヴァン湖周囲には魅力的なウォーキング・ルートがある。また、ヴァン湖に浮かぶアクダマル島には10世紀初頭に建てられたアルメニア使徒教会もあり、ゆったり歴史散策を楽しめるだろう。
かつてアジアとヨーロッパの十字路として栄えたジョージア。1991年に独立するまで日本ではグルジアと呼んでいた。首都トビリシは4世紀に建てられたナリカラ要塞の下に広がる美しい都市。また8000年前からワイン造りの伝統があり、ワイン発祥の地としても有名だ。
ジョージアを抜けるとついにロシアへ入国となる。世界で一番国土の広い国であり、地域によって全く異なる景色が待ち受けているだろう。
カムチャッカ半島には活火山のシベルチ山があり、噴火を繰り返している。2023年4月には大規模な噴火が起こり、シベルチ山からもっとも近い集落では火山灰が10cm近く積もったという。
オホーツク海にたどり着いたら、ゴールに向かって北上しよう。オホーツク海は10月末頃から海面が凍り始め、広く氷で覆われてしまう。厳しい環境だが、景色や海の野生動物の眺めが素晴らしい。
ついにゴールにたどり着いた。マガダンの冬は長くて厳しいが、手つかずの自然が広がっている。この地球上最長ルートを踏破するには数多くの問題が立ちはだかっているが、実現すれば世界初の快挙となる。ちなみに全長2万2,387kmは、エベレストに13回登るのと同じ距離だ。
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