キャサリン・ゼタ=ジョーンズ:英国出身女優の過去から現在まで
美しく才能にあふれたキャサリン・ゼタ=ジョーンズ。全盛期は過ぎたとはいえ、ハリウッドで最も印象的な女優の一人であることに変わりはない。2022年11月からは、Netflixでスタートした『Wednesday』にモーティシア役で出演しており、その美貌をふたたび楽しむことができる。
昨年11月に行われた『Wednesday』発表会では、共演者のジェナ・オルテガ、グウェンドリン・クリスティー、クリスティーナ・リッチとともにエレガントなドレス姿で登場した。
それ以前にキャサリン・ゼタ=ジョーンズが公の場に姿をみせたのは2021年12月のことだった。いつもながら圧倒的な存在感を放って人々を魅了した。今回は彼女のキャリアと人生を追ってみよう。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズは英国出身。菓子工場経営の父親と、アイルランドとウェールズの血を引く裁縫屋の母親の元に生まれた。二人の祖母の名を取りキャサリン・ゼタと名付けられ、兄弟と共にカトリックの教えを受けて育った。幼い頃から音楽とダンスを学び、10歳で参加した演劇グループで早くも大きな成功を収めたという。
80年代に女優としての第一歩を踏み出し、舞台作品『アニー』(1981年)、『バグジー・マローン』(1983年)、『42番街』(1987年)等の作品に出演。やがてイギリス国内で名が知られるようになり、テレビシリーズ『The Darling Buds of May』(1991年)で人気を博す。CM、テレビや舞台の端役などさまざまな仕事をこなしていたが、『シェヘラザード/千夜一夜物語』(1990年)で映画デビューし高い存在感を示した。
映画デビューから8年後の1998年、キャサリン・ゼタ=ジョーンズは、マーティン・キャンベル監督作品の『マスク・オブ・ゾロ』で映画女優として決定的な飛躍を遂げる。主役に抜擢され、スペイン出身の俳優アントニオ・バンデラスとの共演を実現したのだ。カリフォルニア総督ドン・ラファエル・モンテロのもとで育てられた主人公の娘エレナ・デ・ラ・ベガという当たり役で大ヒットを収め、本作は続編も制作された。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズの出演作は、ショーン・コネリーと共演した『エントラップメント』(1999)、『ホーンティング』(1999)、『ハイ・フィデリティ』(2000)、スティーブン・ソダーバーグ監督のもとでドラマ女優としての名声を確立した『トラフィック』(2000)など40本近くにのぼる。ジュリア・ロバーツとの姉妹役で話題をさらった『アメリカン・スウィートハート』(2001年)、『シカゴ』(2002年)ではさまざまな賞を獲得。2004年の『ターミナル』、『オーシャンズ12』等も忘れがたい作品となっている。
その輝かしいキャリアにおける代表作を挙げるとすれば、2002年に公開されたロブ・マーシャル監督のミュージカル映画『シカゴ』だろう。キャサリン・ゼタ=ジョーンズは姉夫婦を殺害したナイトクラブのダンサー、ヴェルマ・ケリー役でアカデミー助演女優賞を受賞、さらに英国アカデミー賞と映画俳優組合賞の2部門を受賞してキャリアの頂点を極めた。
2009年、キャサリン・ゼタ=ジョーンズは1989年の舞台『ストリート・シーン』でメイ・ジョーンズ役を演じてから20年ぶりに舞台に復帰。ミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』のデジレ役でブロードウェイデビューを飾った。作品は批評家や観客の間で大成功を収めたほか、自身もトニー賞のミュージカル部門主演女優賞を獲得。
プライベートでは2000年11月18日にベテラン俳優のマイケル・ダグラスと結婚。どちらも9月25日生まれの二人が交際を開始してからすでに25年、ハリウッドきってのおしどり夫婦として知られている。二人の出会いはキャサリンが『マスク・オブ・ゾロ』のプロモーションで訪れた映画祭で、ダグラスはいきなり「きみの子供の父親になりたい」といって彼女を驚かせた、やがてそれは現実のものとなった。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズとマイケル・ダグラス夫妻には、2000年にディラン、2003年にケーリー・ダグラスという2人の子供が誕生した。子供たちが幼いうちはバミューダ諸島で子育てに専念し、その後、家族でニューヨークに移住した。ダグラス・ジョーンズ家は日常でもバカンスでも連れ立っている姿が見かけられる一方、ダグラスには前妻との間に1978年に生まれた息子のキャメロンがいるが、一緒にいる姿はあまり見られない。
固い絆で結ばれたキャサリン・ゼタ=ジョーンズとマイケル・ダグラスだが、2013年から2014年にかけて夫婦は大きな危機を迎え、2013年8月には破局が報じられた。 原因についてはキャサリン・ゼタ=ジョーンズのうつ病や双極性障害に加え、マイケル・ダグラスの浮気や2010年から患っていた咽頭がんについても取り沙汰された。しかし二人はカップルセラピー等を経て、2014年1月に和解に至った。
2011年、マイケル・ダグラスとの危機に先立ち、キャサリン・ゼタ=ジョーンズはそれまでの人生で抱えてきた双極性障害という深刻な問題に言及、それにより2度の入院を余儀なくされたことを世間に公表した。夫のさまざまな依存症やそれに関する物議を醸す発言などが、彼女にうつ症状と双極性障害をもたらした原因とされる。
オーストラリアの雑誌『New Idea』は、キャサリン・ゼタ=ジョーンズが他ならぬチャールズ皇太子と恋愛関係にあったとする少々信じがたい話を伝えている。この不倫疑惑は1992年から1994年にかけて起こったもので、エリザベス2世が息子をカミラ・パーカー・ボウルズから引き離すための戦略だったとされる。イギリスのコメディ・シリーズ『The Darling Buds of May』に出演し、期待の新星として注目されていた彼女ほど適役はいなかったのだろう。
2010年、キャサリン・ゼタ=ジョーンズは映画界における功績とそれと並行して行ってきた慈善活動が評価され、「大英帝国勲章」を授与された。これはエリザベス英女王が誕生日に発表して各界著名人に授与されるもの。女優はこの称号に対し「誇りに思う」とコメント。
ジョーンズ・ダグラス夫妻は自他ともに認めるゴルフ好きで、週に2回、単独であるいは仲間とともにプレーする姿が見られている。熱が高じて、「マイケル・ダグラスとフレンズ」杯を開催するほどで、コンペの収益はさまざまな慈善団体に寄付されている。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズとマイケル・ダグラス夫妻は、スペイン・マヨルカ島のトラモンタナ山脈にある町バルデモサに果樹園付きの77ヘクタールの土地と別荘を所有している。邸宅は床面積1000平方メートル、10の寝室、10のバスルーム、さらにジム、スパ、ワインセラーまでそなえたまさしく豪邸。1990年にダグラスが元妻と購入したものだが、現在はキャサリンや子供たちとあるいは一人でも、年間を通じてたびたび訪れることが知られている。