主役をくってしまった名脇役たち:ユマ・サーマンからミニオンズまで
ひとつの作品の最初から最後までスクリーンを占める主役よりも、ここぞというときに登場する脇役の方が観客にインパクトを与えることは少なくない。
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『ダラス・バイヤーズ・クラブ』でHIVに感染したトランスジェンダー女性役を演じたのは、何を隠そうジャレッド・レト。主役を演じたマシュー・マコノヒーを圧倒するほどの好演を見せたレトは、助演男優賞を総なめ。マシュー・マコノヒーもアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞、全米映画俳優組合賞で主演男優賞を獲得している。
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ソウル・グッドマンことジェームズ・"ジミー"・マッギル(ボブ・オデンカーク演)は、ゴールデンタイムにテレビコマーシャルを流すことで知られる異色の弁護士だ。脇役だったが強烈な存在感を発揮し、スピンオフ作品が制作されるに至ったほどだ。
『アラジン』の主人公がアラジンであることに異論の余地はない。しかし、この素晴らしい作品には欠かせない名脇役がいる。そう、ユーモラスで機転も利くランプの精、ジーニーだ。2019年の実写リメイクの際には、誰がこの大役を務めるのかが大いに注目された。ご存じの通り、白羽の矢が立ったのはウィル・スミスだ。
『イエスタデイ』(2019年)のアナ・デ・アルマスも脇役にもかかわらず人目を惹きすぎてしまい、編集で消されてしまったという話がある。
『イエスタデイ』の予告編では、ヒメーシュ・パテル演じる主役が恋心を寄せる相手としてアナ・デ・アルマスが登場していた。ところが、公開された作品に彼女の姿はなかった。一体なにがあったのだろう?『ヴァニティ・フェア』誌上でダニー・ボイル監督が語ったところによれば、主役と最終的に一緒になる相手はリリー・ジェームズ演じるエリーであり、アナが目立ちすぎるのを避けるため削除したのだという。
しかし、アナ・デ・アルマスのファンたちの怒りは収まらなかった。予告編にだけ彼女を登場させるのはインチキ広告にほかならず、編集によってもう一度スクリーンに復帰させるべきだというのだ。さもなくば、チケット代の3.99ドルを返金するよう求めているという。
一方、制作陣が『ヴァニティ・フェア』誌に語ったところによれば、一般観客を対象にした試写会では、アナをスクリーンから削除した方がよいという結論が得られたという。観客たちは、主人公が追い求めるヒロインは1人だけの方がよいと感じたようなのだ。
シュレックを捕まえるはずが仲間になってしまった『シュレック2』の長ぐつをはいたネコ。彼も脇役ながら観客を魅了したキャラクターの代表と言えるだろう。2011年と2012年にはスピンオフ作品がリリースされている。
タイトルからも分かる通り、主役はアーノルド・シュワルツェネッガー演じるターミネーターなのだが、本当の主役はサラ・コナーだという印象が拭えない。
『ベスト・キッド』の主役は若きダニエル・ラルッソ(ラルフ・マッチオ演)。街の新参者だが、空手教室「コブラ会」に目を付けられてしまう。そこで颯爽と登場するのが空手の達人、宮城だ。彼の指導でダニエルはライバルに立ち向かい雪辱を果たすことに。
ジョン・トラボルタ、ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソン、ハーヴェイ・カイテル、クリストファー・ウォーケン、ティム・ロス…… 錚々たる出演者たちに囲まれてユマ・サーマンが演じたのがミア・ウォレスだ。主人公ではないが、ダンスやオーバードーズのシーンなど、タランティーノ監督作品の中でも屈指の名場面を生み出した。
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もはや古典となった90年代のテレビドラマ『ベルエアのフレッシュ・プリンス』にも同じようなことが言える。もちろん、主役はウィル・スミスの演じるウィルだが、印象深い好人物カールトン・バンクス(アルフォンソ・リベイロ演じる)を忘れるわけにはゆかないだろう。
往年のドラマでは、『ファミリー・マターズ』のスティーヴ・アーケル(ジャレル・ホワイト)も忘れることができない名脇役だ。わずか2回しか登場しなかったにもかかわらず、シリーズの顔になってしまったのだ。すべてはジャレル・ホワイトの好演の賜物だと言えよう。
ミニオンズとよく似たことが『ファインディング・ニモ』のドリーにも当てはまる。息子のニモを探すマーリンのよき相棒として大活躍する姿は人気を呼び、13 年後の続編『ファインディング・ドリー』では主役の座を勝ち取った。
『ダークナイト』でヒース・レジャーが演じたジョーカーも、クリスチャン・ベール演じる主役のバットマンを押しのけて作品の顔になってしまった。
この傑作ギャング映画で主役を演じたのはレイ・リオッタとロバート・デ・ニーロだったのだが…… 愉快な人物だが一瞬にして凶悪な殺人者に変貌する脇役、トミー・デヴィートを小柄な名優ジョー・ペシが怪演、注目をかっさらってしまった。実際、ジョー・ペシは1990年にこの役でアカデミー最優秀助演男優賞を獲得している。
クエンティン・タランティーノ監督が第二次世界大戦をテーマに撮影したこの作品。ヒーローはもちろんナチスに立ち向かうアルド・レイン中尉(ブラッド・ピット演)だが、実際にスクリーンを独占したのはユダヤ人迫害を推し進める悪しきハンス・ランダ親衛隊大佐(クリストフ・ヴァルツ演)だ。おかげでクリストフ・ヴァルツはカンヌ映画祭で最優秀男優賞を獲得したほか、アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、全米映画俳優組合賞で最優秀助演男優賞を総なめした。
信じがたいことに『パイレーツ・オブ・カリビアン』の主役はもともとジャック・スパロウではなかった。実はウィル・ターナー(オーランド・ブルーム演)とエリザベス・スワン(キーラ・ナイトレイ演)が主役だったのだが、ジャック・スパロウがその強烈な存在感で観客を魅了し、ついには主役を乗っ取ってしまったのだ。
高校生役の登場人物たちは全員主役のようなものだが、なかでも重要なのはジム・レヴェンスタイン(ジェイソン・ビッグス演)だろう。しかし、最も注目を浴びたのはお調子者のスティーブ・スティフラー(ショーン・ウィリアム・スコット演)だ。
もはや映画界の古典となった『スター・ウォーズ』シリーズの主役は言わずと知れたジェダイの若者、ルーク・スカイウォーカーだ。しかし、彼の父、ダース・ベイダーはその圧倒的な存在感で息子のルークばかりか、登場人物全員をかすませてしまった。
『ハリー・ポッター』シリーズの主役は言うまでもなくハリー・ポッターだが、ヴォルデモート卿の不吉な存在感も忘れがたい。実際、物語の大部分は彼をめぐって展開するのだから。
『ハリー・ポッター』同様、『ロード・オブ・ザ・リング』も印象的なキャラクターの宝庫だ。たとえば、アラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン演)もその1人だが、主役以上の存在感といえば指輪を導く賢者、ガンダルフだろう。
主役はマーティ・マクフライということになっているが、デロリアンを改造してタイムマシンにしてしまった狂気の天才エメット・ブラウン博士こそ作品全体のキーパーソンだ。
主役がマックス・ロカタンスキーなのはタイトルからも明らかだ。しかし、一団を率いて砂漠を横断するフュリオサ大隊長(シャーリーズ・セロン演)が、いつの間にか主役以上の存在感を放つようになる。
『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』の主人公がプロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ演)とマグニートー(マイケル・ファスベンダー演)であるのは間違いない。しかし、ジェニファー・ローレンスの迫真の演技で、外見を変えることができる登場人物、ミスティークの存在感は圧倒的なものとなった。
会社の方針に違和感を抱き、クビになってしまったトム・クルーズ演じる主人公、スポーツ・エージェントのジェリー・マグワイア。自ら会社を立ち上げ成功を目指す中で、キューバ・グッディング・Jr.演じる二流選手ロッド・ティドウェルと出会うことになる。ところが、スクリーンを独占するスターとなったのはこのロッドで、この役を演じたキューバ・グッディング・Jr.はアカデミー助演男優賞に輝くこととなった。
前作ではすでにニューヨークを牛耳るマフィアのボスだったヴィトー・コルレオーネ。そんな彼がどのように成り上がったのかを描いたのが『ゴッドファーザー PART II』だ。若きヴィトー役を任されたロバート・デ・ニーロはシチリア方言を学ぶために一時シチリア島で暮らすなど、真に迫った演技を披露してアカデミー助演男優賞に輝いた。
殺人事件の発見者となったハンターのルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン演)とエド・トム・ベル保安官(トミー・リー・ジョーンズ演)は、自らも恐ろしい目に遭うこととなるのだが…… その原因は奇妙な道具を使って犠牲者を手に掛ける不気味な殺し屋アントン・シガー(ハビエル・バルデム演)だ。バルデムは怪演が評価され、アカデミー最優秀助演男優賞を獲得した。
精神科病院を牛耳るサイコパス、リサ・ロウを演じて、主人公スザンナ・ケイセン(ウィノナ・ライダー演)をかすませてしまったアンジェリーナ・ジョリー。アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞で最優秀助演女優賞に輝いた。
映画だけでなく、テレビドラマにも主役を圧倒してしまう脇役は存在する。『ママと恋に落ちるまで』はジョシュ・ラドナー演じる主人公のテッド・モズビーが、どのように妻となる女性と出会ったかを子供たちに語る物語だ。しかし、圧倒的な存在感で視聴者の注目を独占したのはニール・パトリックが演じるバーニー・スティンソンだった。
アニメの世界でも、脇役が主役以上の存在感を発揮することは珍しくない。 たとえば、2010 年の映画『回答グルーの月泥棒 3D』で観客を大いに笑わせた、キュートな黄色い仲間たちミニオンズ。大人気になったため、2015年には彼らに焦点を当てた『ミニオンズ』がリリースされることとなった。
R・R・マーティンが生み出した今世紀最大のドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』。登場人物が非常に多い本作だが、中でも魅力的な脇役といえば、ピーター・ディンクレイジ演じる愛すべき悪役、ティリオン・ラニスターだ。
リック・グライムズ(アンドリュー・リンカーン演)を主役としてスタートした『ウォーキング・デッド』だが、視聴者のお気に入りとなったのは後に加わったダリル・ディクソンだ。もともと、早いうちに退場させられてしまうことになっていたようだが、幸いそうはならなかった。
ジャニス(マギー・ホイーラー演)本人がチャンドラー・ビングやフィービー・ブッフェ、モニカ・ゲラー、ロス・ゲラー、レイチェル・グリーン、ジョーイ・トリビアーニを差し置いて主役を張ろうとしたわけではない。スクリーンに登場するたびに、ユニークな活気で視聴者の注目を奪ってしまっただけだ。
主役級の脇役が数えきれないほど登場する『ザ・シンプソンズ』。なかでも、愛すべき名脇役として一番に挙げられるのはネッド・フランダースだろう。もちろん、他にもモーやバーンズ、アプー、ミルハウス、ネルソン、クラスティー、バーニー、シーモア・スキナー、クランシー・ウィガムといった個性的な登場人物たちが脇を固めている。
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