世界で最も人気の高い香水はどれ?:女性用から男性用まで総チェック
調香師ジャン=ポール・ゲランはこう言っていた。「香りとは、記憶のもっとも強烈な形態である」。そうであるなら、香水選びはよくよく吟味すべきであり、世界で最も売れている香水のラインナップを頭に入れておくのも役に立つだろう。
お気に入りの香水を見つけた人は、その香水をリピートすることが多い。定番の香水が売れ続けているのはそのためだ。今回は永遠のアイテムとなった人気の香水を追ってみよう。
ココ・シャネルの依頼を受けて、調香師エルネスト・ボーはいくつか試作品を作った。ココ・シャネルはそこから5番目の試作品を選んだ。彼女にとって「5」という数字はラッキーナンバーだったのである。「CHANEL N°5」は1921年に発売され、いまも30秒に1本のペースで売れている。
ゲランが1925年に発売した「シャリマー」はオリエンタル系の香水で、その名前はムガル帝国皇帝が17世紀に建設を命じたシャーラマール庭園にちなんでいる。
くびれたシルエットのセクシャルで気品あるボトルデザイン、甘美ではあるが決して甘ったるくはならない香りは1993年に発売されるとたちまち現代の定番になった。ジャン=ポール・ゴルチエの「クラシック」。
1985年に発売された「プワゾン」は、神秘さとエレガンスをあわせ持ったオリエンタルな香水である。今も根強いファンがおり、ディオールの香水といえばプワゾンをまっさきに思い浮かべる人も多い。
写真:Dior
星型のとんがったボトルデザイン。鮮やかな青の独特なトーン。「おいしそう」なほどに甘い芳香。あらゆる点で斬新な「エンジェル」は1992年に発売されると、じわじわとファンを増やしていった。
カルバン・クラインの「ユーフォリア」は2005年に発売された。未来派的なデザインのボトル、ザクロの香り、ウッディな甘い香りが特徴。
写真:Calvin Klein
「アルマーニ・コード」は男性用の香水ラインとして2004年に発売されたが、2006年にはそこに女性用の香水も加わった。柑橘のニュアンス、ジャスミン、蜂蜜、バニラの香りが組み合わされている。黒の夜会服が似合うシックな大人の女性のイメージ。
イヴ・サンローランの「オピウム」は、2009年に発売された。オピウムとは、かの英国作家トマス・ド・クインシーも常用したという阿片(アヘン)のことで、きわどい陶酔といった含みがある。ボトルは漆塗りの印籠をモチーフとしており、エキゾチックな雰囲気がただよう。
シンプルでクラシック、ちょっぴり誘惑的なのがジャン・パトゥ「ジョイ」。大恐慌のさなか1930年に発売された。花のエッセンスをふんだんに使用したとても高級な香水である。
写真:Jean Patou
カルバン・クラインの「ck one」は1994年に発売された。シトロンの香調で男女を問わずに使うことができる。
写真:Calvin Klein
シャーリーズ・セロンが2004年からミューズをつとめる「ジャドール」は、1999年に発売された。フローラルなみずみずしい香りのトーンで、女性の美しさをひきたてる。
キャシャレルの「アムール・アムール」は2003年に発売された。バラをイメージした真紅のボトル。フルーティーな甘い香りが特徴で、アバンチュールを求める若い女性にぴったり。
ニナ・リッチの香水「レールデュタン」は1948年に発売され、いらい長く愛されてきた。フランス語には、かすみを食って生きる、という意味の「vivre de l'air du temps」という表現があるが、「レールデュタン」はこれに由来するのかもしれない。テーマは平和と愛と自由であり、ガラスのボトルには二羽の鳩があしらわれている。
写真:Nina Ricci
ドルチェ&ガッバーナの「ライトブルー」は、リンゴの香りがミックスされたフルーティフローラルの香水。2001年に発売された。地中海と太陽がモチーフになっている。
写真:Dolce & Gabbana
アナ・デ・アルマスが現在アンバサダーをつとめているエスティ・ローダー。いくつになっても美しく、ちやほやされたい愛されたい、そういう切なる望みを叶えるセクシーな香りが「ユース・デュー」である。1953年に発売された。
写真:Estée Lauder
「ISSEY MIYAKE(イッセイ ミヤケ)」のブランド初となる香水「ロードゥ イッセイ」は1992年に誕生する。「水」がテーマとなっており、若き調香師ジャック・キャヴァリエが手がけた。
写真:ISSEY MIYAKE
香水は女性のためのものというイメージが強いが、男性もやはり香水を使う。
映画界での存在感がどうしてもきわだつジョニー・デップだが、この香水が2015年に発売されてからというもの、その広告塔としての存在感もフレグランス界においてきわだっている。クリスチャン・ディオールの「ソヴァージュ」。
写真:Dior
調香師のジャック・ユクリエはさまざまな食べ物の匂いを盛りこんで新しい香水を生み出した。1996年に発売された「A for Men」。キャラメルとチョコレート、コーヒーの匂いが女性を惑わす。
写真:Thierry Mugler
軽くてフレッシュ、エレガント、夏にぴったりの香りがアルマーニの「ACQUA DI GIÒ」。1996年発売。
写真:Giorgio Armani
ヒューゴ・ボスはドイツの高級紳士服ブランドだが、男性用香水のブランドとしても知られており、なかでも1988年に発売された「ボス・ボトルド」は最高傑作として名高い。ウッディでフルーティ、バニラとシナモンが香る。
ジャン=ポール・ゴルチエの「ル・マル」は1995年に発売された。調香師フランシス・クルジャンの作。芸術的なボトルデザインは船乗りの男をイメージしている。バニラ・ベースの甘い香りで、ラベンダーが軽く香る。
写真:Jean Paul Gaultier
パコ・ラバンヌの「ワンミリオン」は2008年に発売された。金塊をかたどったピカピカのボトルデザインは野心的な男性たちの心をつかみ、すばらしくヒットした。
写真:Paco Rabanne
「インビクタス」は「不撓不屈の心」くらいの意味で、トロフィーをかたどったボトルデザインが印象的なマッチョな香水。ウッディで甘い香りが特徴。2013年に発売された。
写真:Paco Rabanne
1988年に発売されたダビドフのクールウォーターは、海を思わせるさわやかな香りでとても人気がある。坂口憲二や伊藤英明も使っているとか。
写真:Davidoff
「ドルチェ&ガッバーナ プールオム」は、水着姿のイギリス人モデル、デヴィッド・ギャンディを起用したブランド広告がとてもヒットした。1994年発売。
写真:Dolce & Gabbana
ガソリンのような匂いとヴァイオレットリーフ、シダーウッドの青々しい匂いが特徴の「ファーレンハイト」。1988年に発売されると飛ぶように売れた、革命的な名香といえる。
写真:Dior
フランスの調香師クリストフ・ラウダミエルは、アメリカのファッションブランド「アバクロンビー&フィッチ」の本質と客層を的確にとらえ、男の野生味溢れる香水「フィアス」を作り出した。2002年に発売されてヒット商品になる。
ドルチェ&ガッバーナの「ザ・ワン フォーメン」は調香師オリヴィエ・ポルジュの作品。2008年に売りに出された。初代広告モデルはマシュー・マコノヒー。エキゾチックな香りが売り。
写真:Dolce & Gabbana