いつかは訪ねてみたい、世界各都市の最も美しい図書館
魅力的な図書館の条件は人によってさまざま。蔵書数が何より大事という人もいれば、居心地の良さや、建築という観点から図書館を見る人もいる。子供のころに通った近所の図書館の少しかびくさい空気が忘れられない、という人もいるだろう。
それでもやはり、世界各地に多くの人から高く評価される図書館がある。そのいくつかを「一度は行ってみたい図書館」としてご紹介しよう。
デンマーク王立図書館は北欧で最大の図書館で、コペンハーゲンにある。「ブラック・ダイアモンド」と呼ばれる新館が1999年に建てられた。デンマークの建築家集団「シュミット・ハマー・ラッセン」がその設計を手がけている。
国立国会図書館(NDL)は、その本館が東京都千代田区永田町に位置する。蔵書数は日本最大で、ここへ行けば、日本で出版された本や雑誌は大抵は見つかる。ただ、館内に入るには利用者登録をする必要があり(しかも子どもは登録できない)、やや敷居が高い。
国会図書館には本だけでなく、食堂もある。本館6階の食堂は2020年10月20日に営業を終了し、多くのファンを悲しませたが、2023年4月17日から営業を再開している。本館3階と新館1階にも喫茶店があり、カレーや定食を食べることができる。
北京にある中国国家図書館は、1909年に設立された図書館。アジア最大規模の蔵書数を誇る。
ニューヨーク公共図書館は、市民の生活になくてはならない図書館だ。フレデリック・ワイズマン監督のドキュメンタリー映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』(2017年)で、その舞台裏を覗くことができる。
ビクトリア州立図書館はオーストリアのメルボルンにある。1854年に設立された。閲覧室は天井が高く、開放感にあふれている。
アルゼンチンの作家・詩人のホルヘ・ルイス・ボルヘス。彼は晩年、ほとんど視力を失っていたが、アルゼンチン国立図書館(Biblioteca Nacional Mariano Moreno)の図書館長をつとめることになった。
現在のアルゼンチン国立図書館の建物は1992年に完成したもので、コンクリートの四角い塊りが空中に張り出している。
ベルリンのポツダマー・シュトラーセ(ポツダム通り)に面するのが、このベルリン州立図書館である。ウンター・デン・リンデンにも同じくベルリン州立図書館があるが、そちらのほうが歴史が古い。こちらはベルリンが東西に分断されたあと、西ベルリンのために1967年から工事が始まった2号館で、1978年にオープンした。建築家ハウス・シャウロンの設計である。
ヴィム・ヴェンダース監督の映画『ベルリン・天使の詩』にも、この図書館は重要なロケ地として登場する。
ドイツ生まれの思想家ヴァルター・ベンヤミンが手稿をそこに隠したというエピソードもある、フランス国立図書館(略称:BnF)。旧館のリシュリュー館は、5世紀にもおよぶ長い歴史を持つ。
楕円形のガラス天井から自然光がたっぷり取り入れられる「楕円形閲覧室 (Salle Ovale)」には、一般の人も自由に立ち入ることができる。
大英図書館は、世界一の図書館と言っていいだろう。もとは大英博物館の図書部門として始まったもので、1973年にその機能が独立し、今にいたる。
大英博物館の図書閲覧室には、当時ロンドンに滞在中だった博物学者、南方熊楠が通いつめ、周囲からの人種差別(アジア人差別)をものともせずに、いろいろな言語で書かれた貴重な本を読破していった、という逸話がある。