「うちの国がいちばん」:ヨーロッパでいちばん自国文化に自信を持っている国はどこ?
誰しも自分の生まれ育った国の文化は特別だと思いたいもの。だが、その気持ちもあまり度が過ぎると考え物だ。
それに関して、ドイツの統計プラットフォーム「Statista」が興味深いランキングを公表している。アメリカのシンクタンク「ピュ―研究所」が行った調査に基づいており、ヨーロッパの成人56,000人を対象にしたアンケート調査から、どの国の人が一番自国の文化を特別視しているかを明らかにしたのだ。
アンケートでは「私たちの国の国民は完璧ではないが、文化は他国よりも優れている」という設問に「はい」か「いいえ」で答えることが求められ、その結果を集計している。以下、どの国に「はい」と答える人が多かったのかを見ていこう。
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大差でトップに着いたのがギリシャで、なんと89%の人が「はい」と答えた。ヨーロッパ文化揺籃の地であったことを考えれば納得の結果かもしれない。
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また、ギリシャにほど近いバルカン半島の国々もギリシャに次いで高い数値を出した。ブルガリアでは69%、ボスニアで68%、ルーマニアで66%、セルビアで65%となっている。
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強く愛国的な政権が権力を握っているロシアも同様に高い数値を示しており、69%の人が文化的愛国主義に陥っているようだ。
その他、5割を超える人が「はい」と答えた国はノルウェー(58%)、チェコとポーランド(ともに55%)、スイス(50%)だった。
半分を超えることはなかったとはいえ、イタリアとポルトガルも47%と比較的高い数値を示している。
ブリテン諸島の国々も同じような水準となっており、イギリスが46%、アイルランドが42%だった。
20世紀には国が分裂する事態を経験したにもかかわらず、ドイツ語圏でもそれなりに高い数値が出ている。オーストリアでは47%、ドイツでは45%が他国よりも優れた文化を持っていると考えているようだ。
いっぽう、文化遺産の数では決して劣らないフランスが意外にもやや低めの値となっており、36%と欧州の大国のなかでは最低レベルだった。
フランスと同程度の数値を示した国にはバルト三国があり、リトアニアでは37%、ラトビアでは38%となっている。
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文化ナショナリズムからかなり縁遠い国となったのがベネルクスの国々だ。オランダでは31%、ベルギーではなんとたったの23%しか他国に対する文化的優越感を持っていなかった。
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そしてヨーロッパでもっとも低い数値を示したのがスペインだった。他国に対する文化的優越感を抱いている人はわずか20%しかいなかったのだ。
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ただし、一部の国には調査がなされていないことには注意が必要だ。たとえばルクセンブルクやモンテネグロ、北マケドニア、アルバニア、トルコといった国の数値は計測されていない。
この数値からどのような結論を引き出すことができるだろうか。ヨーロッパの国々にもナショナリズムの気配が漂っているとは言えそうだが、同時に、そのプライドはかなり古い時代の文化と結びつきがちでただちに排他的なものではないとも言えるかもしれない。