ユアン・マクレガー:『トレインスポッティング』から『スターウォーズ』シリーズまで
90年代の名作『トレインスポッティング』でブレイクしたユアン・マクレガーは現在52歳。主役はもちろん名脇役もこなすオールラウンダーとして知られ、30年以上にわたり演劇界に貢献ている。2013年には大英帝国勲章を受章したユアン・マクレガーのキャリアとプライベートを振り返ってみよう。
ユアン・マクレガーは最近、モト・グッツィ「V100マンデッロ」の新作プロモーションビデオに出演した。タイトルは『ON TO THE NEXT JOURNEY(次の旅へ向けて)』 、4月18日にYouTubeで公開。生粋のモト・グッツィファンだというユアン・マクレガーが、カリフォルニアのさまざまなロケーションで撮影に挑んだ。
ユアン・ゴードン・マクレガーは1971年、スコットランドのクリフ(Crieff)に生まれた。両親は教員だったが『スター・ウォーズ』旧三部作に出演したデニス・ローソンが叔父にあたり、マクレガーも幼い頃から俳優になることを夢見ていた。
俳優を志していたマクレガーは高校を退学、16歳で地元のパース・シアターでスタッフ兼エキストラとして働き始めた。1988年にはロンドンのギルドホール音楽演劇学校に入学し、演技を本格的に学んだ。
1992年にテレビドラマ『カラーに口紅 (Lipstick on Your Collar)』の主役に抜擢され、念願のプロデビューを果たす。
翌年に『Being Human』で映画デビューの夢をかなえ、1994年にはダニー・ボイルの初監督作品『シャロウ・グレイブ』に出演して注目を集めた。
1996年、ふたたびダニー・ボイル監督と組んだ『トレインスポッティング』で映画初主演を果たす。肩まで伸ばしていた髪を切ってスキンヘッドに挑戦、地元スコットランドを舞台に麻薬におぼれる若者を熱演した。やせこけたマクレガーがこちらを見つめるポスターが印象的だ。
90年代の英国における閉塞感漂う若者の日々をスタイリッシュに描いた青春映画として、『トレインスポッティング』はイギリスはもとより世界各国で大きな話題を呼んだ。英国アカデミー賞(BAFTA)を始め数々の栄誉ある賞を獲得している。
『トレインスポッティング』で世界的ブレイクを果たしたマクレガーのもとに、子供のころから憧れていた『スター・ウォーズ』への出演オファーが舞い込んだ。あまりにも有名な作品のためオファーを受けるか迷ったとされるが、最終的に『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999年公開)で若きオビ=ワン・ケノービ役を務め、はまり役となった。
その後も『スター・ウォーズ』シリーズの『エピソード2/クローンの攻撃』(2002年)、続いて『エピソード3/シスの復讐』(2005年)でオビ=ワン・ケノービ役で出演を果たし、俳優として確固たる地位を築いた。
さらに、1996年に世界中の話題をさらったユアン・マクレガーの代表作『トレインスポッティング』は、20年を経て続編が制作された。20年を経て故郷に戻ってきたレントンの姿を描く『T2 トレインスポッティング』が2017年に公開されると、わずか3日間で興行収入7億円を超えるヒットとなった。
プライベートでは、『トレインスポッティング』の公開前年にあたる1995年にギリシャ系フランス人の美術監督イヴ・マヴラキスと結婚。2人の娘に恵まれたほか、2人の養子を迎えている。ハリウッドでも名高い愛妻家とされていたマクレガーだが、2017年にマヴラキスとの別居が報じられた。
イヴ・マヴラキスとの別居と前後して、『FARGO/ファーゴ』で共演した14歳年下のメアリー・エリザベス・ウィンステッドとのデートがキャッチされたユアン・マクレガーは、イヴとの20年以上にわたる結婚生活に終止符を打った。ダブル不倫と揶揄されたもののメアリーと順調に交際を育み、2021年に第一子が誕生、2022年には親しい人々に祝福されて結婚式を挙げている。現在、マクレガーは5人の子どもの父親だ。
若い頃からバイク好きで知られるマクレガーは、2004年には友人のチャーリー・ブアマンと共にバイクでロンドンからニューヨークまでのツーリングを敢行。この模様は2007年にBBCで『ユアン・マクレガー大陸横断バイクの旅(Long Way Round)』として放送された。
2019年にはふたたびブアマンと組んで南米縦断に挑戦、このときは電動ハーレーに乗り、充電ポイントを手探りで探す旅となった。「コロナ禍前に撮影を終えることができラッキーだった」と回想している。
マクレガーは映画だけではなく『ガイズ&ドールズ』を始めとする舞台作品にも出演、高い評価を得ている。さらに音楽にも挑戦、2001年公開の『ムーラン・ルージュ』では主題歌『僕の歌は君の歌(Your Song)』の演奏を披露した。
2022年、Disney+が『スター・ウォーズ』シリーズのスピンオフ作品、『オビ=ワン・ケノービ』を独占配信を開始。『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』から10年後の物語を描かれている本作で、ユアン・マクレガーがオビ=ワン役で主役を務めている。
数多くの経験を重ね、キャリアにおいてもプライベートにおいても充実した時を過ごしているユアン・マクレガーは、大人の佇まいで雑誌の表紙に登場することもある。これからもさらなる活躍でファンを魅了し続けてくれることだろう。