思わず二度見してしまう世界各地のおもしろ信号機:「ミッフィー」にエルヴィス・プレスリー......
交通整理のため、街のいたるところに設置された信号機。目にしない日はないといってよいほどおなじみの光景だが、自治体によってはユニークなデザインを採用するケースがあるのをご存じだろうか? そこで、今回は世界各地のおもしろ信号機に注目だ。
ところで、世界初の信号機はどのようなものだったのだろう? この画像は1868年にロンドンの鉄道技師ジョン・ピーク・ナイトが、英国議会の正面に設置した信号機を描いたものだ。当時は警察官が交通整理にあたっており、これを機械化するというのが発明の趣旨だった。デザインからも当時、鉄道で利用されていた信号機がもとになっていることがわかるだろう。仕組みはというと、アームの上下によって人々に停止の合図を送り、日没後には赤と緑のガス灯が用いられたという。
ただし、ガス灯は自動ではなく、警察官がつきっきりで操作しなくてはならないという代物だったようだ。しかも、設置からわずか1ヵ月で爆発してしまった。
1910年には、米国人のアーネスト・シリンがジョン・ピーク・ナイトの信号機を改良。世界初となる自動式の信号機を設置した。この信号機では「停止(Stop)」と「進行(Proceed)」という表示が用いられていた。
以来、さまざまな改良が加えられ世界各地で利用されるようになった信号機だが、デザインについて言えばおおよそ世界共通、どれも似通ったものばかりだ。ところが、一部の街では標準的な信号機に飽き足らず、独自のイラストを導入するケースがある。いざ、おもしろ信号機をめぐる旅に出よう!
写真:minka2507 / Pixabay
オランダを代表するキャラクターと言えばうさぎのミッフィーだろう。生みの親のディック・ブルーナはユトレヒト出身であることから、この街では世界中で愛されるミッフィーが交通整理に一役買っている。
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ユトランド半島東岸にあるデンマーク第2の街オーフスでは、2019年8月から信号機にバイキングがお目見え。バイキング信号機は全部で17機あり、この街の歴史を感じさせてくれる。
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1958年から1960年にかけて、かのエルヴィス・プレスリーが兵士として駐留していたフリートベルク(ドイツ)では、2018年にロックな信号機が登場。当時、エルヴィスはフリートベルクに隣接するバート・ナウハイムで暮らしており、後に妻となるプリシラと出会ったのもこの場所だ。現在、フリートベルク市内にはこのような信号機が3機あり、ダンスで歩行者に合図を送っている。
メキシコシティでは独立213周年に合わせて、ソカロ地区にある信号機の一部でデザインを変更。レフォルマ通りにある独立記念碑の天使像が、モチーフとしてあしらわれることとなった。
ベルリンの信号機でおなじみの「アンペルマン」。1961年に旧東ドイツでデザインされたものだ。学校教育の場で利用され、マンガやラジオ番組にも登場したことから1980年代にはちょっとした有名人になっていたという。現在では観光客に人気のモチーフとなっており、土産物のTシャツや絵葉書、お菓子など、ありとあらゆるものに姿が描かれている。
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2008年に発生した金融危機で大打撃を受けたアイスランド。そのような状況の中、同国北部にあるアークレイリの街では、住民の心を和ませるために信号機を利用する決断がなされた。歩行者用信号機の赤ランプをハートマークに変更したのだ。
写真:Karsten Winegeart / Unsplash
まったく同じアイデアは中国四川省の成都でも採用されている。市民のささやかな幸福を願ってハートマークが点灯するのだ。
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ほとんどの地域で、自転車は自動車とおなじく車両用信号機に従うことになっており、ときには自転車専用の信号機が設置されているケースもある。しかし、ウィーンでは歩行者用信号機に自転車も描かれており、停止中はサドルから降りて信号が変わるのを待たなくてはならないのだ。
写真:Rodrigo Curi / Unsplash
ベルリンの「アンペルマン」は世界的に有名だが、マインツにもご当地キャラクターの「マインツェルメンヒェン」がいる。地元の伝説に登場する小人をモチーフとするキャラクターであり、テレビ番組や絵本、おもちゃとして親しまれてきたが、生誕50周年を迎えた2013年に、一部信号機のデザインとして利用されるようになったのだ。
写真:NoName_13 / Pixabay
かたや、アムステルダムの信号機には、ポニーテールをなびかせながら道路を横断する「ソフィー」の姿が。スタイル抜群の女性がデザインとして採用されたのは偶然ではない。歩行者の注目をより集めるため、という実用的な意図があるのだ。
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一方、カナダのトロントにあるこの信号機は偶然の産物だ。赤信号のすぐ前に鳥が巣を作ってしまったのだ。おかげで、ヒナにエサを与える親鳥という心和む光景が見られたとか。
ヨーロッパでは性的マイノリティへの理解が進んでいるが、なかでもブリュッセルでは一部の地区で女性同士が手をつなぐ姿をあしらった信号機が登場。ハートマークからもその意図は一目瞭然だろう。
写真:Gaelle Marcel / Unsplash
交通違反の件数を減らすため、かなり大胆な手段に出た河北省邯鄲市(中国)。信号機そのものだけでなく、ポールにもランプをたくさん設置したのだ。はたして、人々は交通ルールを守るようになったのだろうか?
LGBTプライド月間を盛り上げるため、エディンバラでは2019年に性的多様性を示すデザインの信号機が登場。この信号機を製作したシーメンス社のウェブサイトによれば、「35機の歩行者用信号機で、従来のマークが多様性を表すものへと置き換えられた」とのこと。
写真:Siemens Mobile
この信号機にはトランスセクシャルのカップルを表したもの(写真)をはじめ、4種類のマークが用意されており、シーメンス社はこのデザインについて、ロンドンでプライド月間に用いられるものを参考にしたと説明している。
写真:Siemens Mobile
ユニークな信号機を生み出すことにかけては、他国にもまして熱心なドイツ。この自転車専用信号機にはハートマークと星型、しずくがあしらわれている。
フレゼリシアの信号機はライフルを担いだ2人の兵士という、ものものしいデザインだ。輝かしい戦勝の歴史に加え、デンマーク軍の大規模な基地があることから、彼らの働きを称えるものとなっているのだ。
写真: Hans Hansen / Pixabay