ポップの女王マドンナ:我が道を貫くファッションの変遷
1980年代に数々のミュージックチャートで首位を独占し、世界的なポップスの女王となったマドンナ。すでに65歳を迎えているが、その大胆なファッションセンスと我が道を行くスタイルはいまも健在だ。そこで、今回はマドンナがデビューから現在までにたどった変遷を写真で追うことにしよう。
1958年8月16日にミシガン州ベイシティで誕生。本名は、マドンナ・ルイーズ・ヴェロニカ・チッコーネだ。写真は学生時代に撮影されたもの。
20歳の時、マドンナはコンテンポラリーダンスを学ぶためにニューヨークに引っ越した。インスタグラムで当時を回想しながら、「YouTubeもVine(動画共有アプリ)も『The Voice』(音楽番組)も、『American Idol』(コンテスト番組)やディズニーもありませんでした。手元にあったのは35ドルと夢だけです」とコメントしている。
モデル兼ダンサーとしてデビューを果たすと、「Born to Be Alive」で知られるパトリック・ヘルナンデスのバックダンサーとしてツアーに参加。
さらに、米国のミュージカルドラマ『Fame』のオーディションを受けたものの、結果は不採用だったという。
「エミー」というバンドで活動したことで、ようやくソロ歌手としての知名度を手に入れることができたマドンナ。 1982 年には、初のヒット曲「ホリデイ」を含むアルバム『バーニング・アップ(Madonna)』をリリースした。
つねにユニークなルックスで見る者を魅了するマドンナは、ファッション業界をけん引し続ける存在だ。
1980年代には、目まぐるしく変わる彼女のルックスに世界中が夢中になった。
マドンナは歌詞にも変革をもたらした。初期のヒット曲として知られる「ライク・ア・ヴァージン」や「ライク・ア・プレイヤー」などなど…… 後者はゴスペルにインスパイアされた作品で、プロモーションビデオには教会や燃え盛る十字架が映し出される。その背後にはカトリックの少女として厳格な両親に育てられたという事実や、米国における人種差別が見え隠れする。
マドンナの奇抜なファッションの変遷は、パワフルな女性たちへのオマージュにもなっている。ある時からマリリン・モンロー風のスタイルを取り入れ初め、自分のことを「野心的ブロンド」と呼んだりしている。
マドンナがセレブの仲間入りを果たしたころ、すでに押しも押されぬ大物だったのがマイケル・ジャクソンだ。パーティや音楽イベントでたびたび顔を合わせていたが、後になってそのことがスキャンダルにつながるとは知る由もなかっただろう。
大スターの例にもれず、歌手兼ダンサーから女優としての一歩を踏み出したマドンナ。『マドンナのスーザンを探して』でロザンナ・アークエットと共演したのだ。この映画は1985年に公開されるや、カルト的なヒットを収めた。
1986年、『上海サプライズ』でショーン・ペンと共演。映画はコケてしまったが、当時夫婦だった2人の熱演を見ることができる。
1987年の映画『フーズ・ザット・ガール』では、マドンナと共演したグリフィン・ダンも一躍スターとなった。
つねにファンの期待に応えるのがマドンナのすごいところ。映画がコケたとしても、ヒット曲を収めたアルバムで世界を楽しませるのだ。
いつだって斬新さを追い求めるマドンナ。90 年代には過激なアルバム『エロティカ』のツアーや書籍の出版、映画、ミュージカル『エビータ』など、さまざまな挑戦を通して人々を驚かせた。
時代とともに変化するマドンナのルックス。90年代後半には音楽にもパフォーマンスにもオリエンタルテイストを取り入れるように。とはいえ、スタイルが変わってもマドンナはマドンナである。
21世紀に入っても、溢れんばかりのエネルギーとユニークなスタイルは健在だ。
豊かな経験に裏付けられた自信こそマドンナの持ち味。2005年のアルバム『コンフェッションズ・オン・ア・ダンスフロア』では、50歳にしてパワフルかつきわどい振り付けのプロモーションビデオを軽々とこなしたほど。
一方、当時のマドンナには身体的な変化に加え、私生活も大忙し:4人の子供たち(うち2人は養子)の面倒を見たり、ガイ・リッチーと結婚したりしていたのだ。しかし、音楽やファッションの世界でトレンドに取り残されることは決してなかった。
2003年の「MTVビデオ・ミュージック・アワード」では、ステージ上でブリトニー・スピアーズとクリスティーナ・アギレラに思いがけないキス。誰もが言葉を失ってしまった。
マドンナの長女、ローダス・レオンは1996年生まれ。娘の誕生で、それまで隠されていた愛情深い母親という一面が垣間見えるようになった。
2010年代になっても精力的なパフォーマンスを続けるマドンナ。4枚のアルバムをリリースしたほか、2012年にはスーパー ボウルのハーフタイムにパフォーマンスを披露して視聴率記録を更新してしまった。
『フォーブス』誌をはじめとするメディアによれば、マドンナの純資産はなんと推定8億5000万ドル!言うまでもなく世界屈指の高額ギャラ歌手だ。
60代になっても若々しさを保つため、何度か美容整形を受けている。
2022年9月にキャットウォークに登場した際には、ピンク色の髪にブリーチ眉という独特なメイクでファンを驚愕させた。
しかし、一向に「ポップスの女王」の勢いが衰える気配はない。写真は2023年に公開した動画の中で、次なるツアー「The Celebration Tour」の予告をするマドンナ。
そして、ツアー本番ではご覧のとおり神々しい衣装でステージを沸かせた。
刻々と変化を見せるマドンナは65歳となった今でもアーティストとして第一線で活躍を続け、世界中のメディアの注目を集め続けている。