ペルー出身のK-POP歌手:レーニン・タマヨの魅力とは?
ペルー出身の歌手レーニン・タマヨは、南米の先住民に伝わるケチュア語の楽曲で韓国の音楽業界に革命を起こした。レーニン・タマヨのケチュア語の楽曲は、K-POPならぬ「Q-POP」と言うべき音楽ジャンルを生み出しつつある。
レーニン・タマヨは、K-POPのリズムとスペイン語とケチュア語の歌詞をミックスし、今日のミュージックシーンに革命をもたらした。ケチュア語は、南米大陸で1,000万人以上が使用している言語である。
レーニン・タマヨは、幼い頃から華やかなステージのすぐそばで育ってきた。英『ロイター通信』によると、フォーク歌手である母ヨランダ・ピナレスは、ライブのときにはしばしば息子を楽屋に連れていっていたという。
写真:lenintamayoqpop / Instagram
レーニン・タマヨは十代の頃から非常に細身だった。スペインの新聞『エル・パイス』によれば、痩せていることやふさふさした眉毛を学校でからかわれていたという。成長するにつれて、レーニン・タマヨはK-POPに傾倒するようになった。現在では、レーニン・タマヨのルックスはファンを魅了している。
世界中に広がるK-POPのファンコミュニティは、レーニン・タマヨの生活に彩りを与えたようだ。「韓国のポップカルチャーのおかげで、レーニン・タマヨは共通の趣味をもつ友人を作ることができた。そのおかげで容姿のせいで受けたいじめを乗り越えたのだ」と英『ロイター通信』は報じている。
レーニン・タマヨは、ファーストアルバム『アマル』(ケチュア語で「蛇の神様」を意味する)を2023年8月にリリースした。収録曲はインカ神話に基づいており、「ハナン・パチャ(天国)」、「ウク・パチャ(冥界)」、「ケイ・パチャ(現世)」といったテーマに沿っている。
レーニン・タマヨは自身のインスタグラムで次のように投稿している。「Q-POPは僕の人生に与えられたチャンスなんだ。アンデスらしさを自由に表現する方法であり、地理や文化、言語の境界線を超えることが出来る。愛と自由がみんなを結びつけて、ひとつにするんだ」
写真:lenintamayoqpop / Instagram
スペインの新聞『エル・パイス』によれば、レーニン・タマヨにとってケチュア語でK-POPを作ることは社会への関わり方の一つだという。大学生で心理学を学ぶレーニン・タマヨは、音楽を研究に盛り込みながら心理学の知見も深めているという。 「ファーストアルバムと一緒に論文も準備中だよ。アルバムと一緒に発表したいんだ」とレーニン・タマヨは語っている。
レーニン・タマヨは大学での研究に真剣に取り組んでおり、論文のために行っている調査の例をいくつか挙げている。「少数派の闘争における変化とエンパワーメントの主体としての現代アンデス音楽における心理社会的探求」と「アマル、社会変革のための音楽の融合:集合意識に対するアンデス音楽の影響に関する心理社会的分析」である。
米『フォーブス』誌によると、レーニン・タマヨは最も創造的なペルー人50名の中にランクインした。フォーブスは、レーニン・タマヨのファーストアルバムのスケールの大きさを評価している。歌詞やダンス、衣装などを通じて、レーニン・タマヨはアンデス神話の視点から世界を巡る旅に導いてくれるのだ。
レーニン・タマヨの振り付けでは、現代的なステップとアンデスの古典的舞踊「ディアブラダ・プネーニャ」や「ダンサ・デ ・ティヘラス・アヤクチャナ」(アヤクチョのハサミ踊り)が融合している。レーニン・タマヨのYouTubeビデオ『Ymaynata?』では、その独創的なダンスを見ることができる。
レーニン・タマヨはSNSでも多くのフォロワーを集めている。TikTokでは20万人のフォロワーがおり、ビデオクリップは累計400万「いいね」を集めている。2022年にリリースした『Tusurikusun』も人気に火をつけるきっかけになったのはTikTokだった。
レーニン・タマヨは自身の音楽を世界中に届けたいと考えている。音楽は世界共通だというのがレーニン・タマヨの考えだ。「音楽は言語を超えることができる。音楽は感覚や感情そのものなんだ。だからこそ人間は音楽を作っているのだと思う。今回のアルバムでは、人類の土台を解体し、アートを通して人間のDNAに刻まれた本質を見てみようと試みているよ」と米『フォーブス』誌に語った。Q-POP界の期待の新星、レーニン・タマヨから今後も目が離せない。