ブルック・シールズ:一世を風靡した女優は今どうしている?
21年前、『青い珊瑚礁』で世界中の観客を虜にしたブルック・シールズ。重要な役どころで姿を現す機会は減っているとはいえ、今もスターとして活躍を続けている。
2021年5月、夫のクリス・ヘンチーと一緒に、ニューヨーク市内を歩いているところを目撃された。
新型コロナウイルスの世界的流行で外出が制限されるようになると、シールズもオンラインで実況動画を始めるようになった。
一方で、観劇に出かけたブロードウェイをはじめ、あちこちで写真に収まるブルック・シールズ。写真は2020年3月に行われた『ガール・フロム・ザ・ノースカントリー』の舞台挨拶の際のもの。
最近の出演作としては、ケイリー・エルウィスやリー・ロスとともに主演した『Castle for Christmas』(Netflix)がある。この映画でブルック・シールズは主役ソフィー・ブラウンを演じた(写真)。そこで、今回はブルック・シーリズの軌跡と変化を写真で追いかけよう!
1965年5月31日生まれのブルック・シールズ。元モデルの母と化粧品メーカー幹部の父はブルックが幼いうちからその美しさに気づき、大手ブランドを惹きつける何かを見出していた。
さまざまなTVコマーシャルに出演していたブルック・シールズがスクリーンに初登場したのは1976年。10歳にしてホラー映画『アリス・スウィート・アリス』に出演したのだ。
13歳になると、フランスのルイ・マル監督が制作した『プリティ・ベイビー』にバイオレット役で出演。未成年にふさわしくないシーンもあったため議論の的になった。そして、マスコミはブルックの母親が彼女の子供時代を奪っていると非難した。
ハリウッドの新星として未来が約束されたブルック・シールズ。1979年には主演映画『ティルト』で、恋人の少年と一緒に家出するピンボール・プレーヤー役を演じた。しかし、後年になって、映画界での最初の数年は心地よいものではなかったと自伝の中で打ち明けている。
1979年には、映画『グランドキャニオンの黄金』で孤児役を演じる契約にサイン。しかし、この時すでに母親からプレッシャーを掛けられていたという。『Porter Edit』誌のインタビューによれば:「母は私のことをデブと呼んだり、傷つけるようなことを言うので不愉快でした」
ブルックの女優キャリアにおけるターニングポイントとなった『青い珊瑚礁』。まだ未成年だったが、大胆に肌を見せたり、共演者とのラブシーンを演じたりした。この映画のおかげで、ブルックは一気にスターダムを駆け上がることになる。
ブルック・シールズの全盛期は80年代。当時、マスコミはこぞって彼女の美貌とカメラの前で見せる才能について書き立てた。しかし、2014年に出版された自伝『There Was a Little Girl』によれば、華やかな世界の裏で、アルコール依存の母に悩まされるティーンエイジャーという、もう一つの顔があったことを打ち明けている。
18歳になったブルック・シールズだが、観客からの人気は衰え知らず。『サハラ』をはじめ、出演作を成功させたほか、数々の雑誌で表紙を飾った。当時、マイケル・ジャクソンやジョン・トラボルタ、さらにはモナコのアルベール王子など、セレブと付き合っているという噂が流れたが、ブルック本人は、ただの友情だったと否定している。
90年代以降は『青い珊瑚礁』のような当たり役に恵まれず、ゴールデンラズベリー賞で最低主演女優のタイトルをもらってしまうこともあった。一方で、当時ダイアナ妃と交際していたドディ・アルファイドと恋愛関係にあるという噂が紙面を賑わせた。
なんとかハリウッドスターの地位を維持していたブルックだが、批評家からの評価は芳しくなかった。ティモシー・ダルトンと共演した映画『ブレンダ・スター』では、スーパーヒロイン役を演じたものの、成功を収めたとは言い難い結果に終わった。
90年代初頭、ブルック・シールズは深刻なスランプに陥っていた。『ミュータント・フリークス』のような商業映画にも出演したが、あまり効果はなかったようだ。その結果、マスコミは彼女の仕事よりも私生活の方に注目するようになった。1993年には、後に結婚することとなるテニスプレーヤーのアンドレ・アガシと交際をはじめた。
映画界で成功の機会に恵まれずテレビに転向したブルック・シールズ。『フレンズ』をはじめいくつかのドラマに出演した。テレビでの活躍によって復活を果たしたブルックは、アンドレ・アガシとの離婚(1999年)も克服。写真は同年『プロポーズ』の封切りに、新たなパートナー、クリス・ヘンチーをともなって登場したブルック・シールズ。
1996年から2000年にかけては、ドラマシリーズ『ブルック・シールズのハロー!スーザン』に出演、ゴールデングローブ主演女優賞に2度ノミネートされた(結果、収入アップにもつながった)。また、アガシとの関係については、自著の中で自分たちの失敗についてこう書いている:「結婚後は顔を合わせることもあまりありませんでした。私はドラマ、彼はチャンピオンシップで忙しかったんです。彼は試合に負けると私を無視し、勝つと次の試合に直行していました」
映画界でブルックが再ブレイクすることはなかった。しかし、40歳を目前にしてマリア・グラツィア・クチノッタと共演したイタリア映画『Our Italian Husband』では、より成熟した美しさを披露している。
他にもいくつかの役をもらったが、20年前に世界を席巻したブルックが映画界で往年の輝きを取り戻すことはなかった。2001年には脚本家のクリス・ヘンチーと結婚、ローワン、グリア・ハモンドという2人の娘を授かった。
2008年には映画『ミッドナイト・ミート・トレイン』に出演し、スクリーンに戻って来たブルック・シールズ。しかし、二人目の子供を出産したばかりの彼女は産後うつに悩まされていた。
45歳のブルック・シールズは、もはや以前ほど人生に悩むことはなくなっていた。そして、困難な子供時代やマイケル・ジャクソンとの関係、当時のマスコミとの闘いについて、インタビューでもコメントするようになった。
家族を優先することにしたブルックは、2010年以来、テレビや映画にほとんど出演していない。娘たちに同じ失敗を味わわせないためだ。実際、ウェブサイト「Yahoo Lifestyle」に対して「私の子供時代とは違って、成熟した女性像を見せたいと思っています。娘たちが自分自身を恥じることがないようにしたいのです」とコメントしている。
過去を振り払ったブルック・シールズは2013年、ダリル・ハンナをはじめとする女優たちとコメディ映画『ホットフラッシュ ワタシたちスーパー・ミドルエイジ!』で共演、抜群のスタイルを披露した。ウェブサイト「XL Semanal」のインタビューでは「幼い頃は母とぶつかるのが怖かった。でも、それはもう過去の話」と答えた。
輝きを取り戻したブルック・シールズは2017年、映画『Daisy Winters』に出演、娘にべったりの母親役を好演した。
『青い珊瑚礁』当時の10代のブルックにせよ、ドラマ『ジェーン・ザ・ヴァージン』でリバー・フィールズ役を演じるブルックにせよ、彼女が世界屈指の女優である事実は揺るがない。