故ロビン・ウィリアムズ、作品出演を通じて1,500人以上のホームレスを助けていた
今から10年前の8月11日、ハリウッド史上最も愛され賞賛された俳優の一人、ロビン・ウィリアムズがこの世を去った。
アカデミー助演男優賞を受賞した『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』をはじめ、数多くの名作に出演したロビン。コミカルなマシンガン・トークや物真似からシリアスな演技まで、変幻自在な役作りが高く評価されている。
画像:『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』
ロビンの死後、演技の才能はもちろん、それを上回るほどに素晴らしい人格者であったことが明らかになった。というのも、ロビンはキャリアを通じて、1,500人以上のホームレスたちに仕事を斡旋していたのだ。
ロビン・ウィリアムズは63歳でこの世を去ったが、人生の半分以上にあたる37年間をエンターテイメント界に捧げ、映画とテレビをあわせて110以上のタイトルに出演を果たした。
そんな数多くの作品やイベントへの出演を依頼されたとき、ロビンはホームレスの人々を雇うことを譲れない絶対条件にしていた。
『Premiere Speakers Bureau』の社長ブライアン・ロードがブログにこう綴っている:「世間はすでにロビン・ウィリアムズのことをとても良い人だと認識していますが、彼はその認識より更にずっと良い人なのです」
ブライアンは、ロビン・ウィリアムズに作品やイベントへの出演を依頼する際は、ホームレスの人々を雇うという条件を必ず満たさなければならなかったと明かしている。
実際に、ブライアンがそんなロビンの秘密を知ったのは、イベントの司会者として出演依頼をしたときだ。
ブライアンはこう続けた:ロビン・ウイリアムズの要求を知った時、私はとても驚きました。イベントや映画への出演を依頼するには、ホームレスの人たちを雇うことが必要不可欠な条件だったのです。彼の作品を観るたびに、そのことを必ず思い出します。
ロビン・ウィリアムズは何十年にもわたって継続的に、しかも密かにこの慈善活動を行っていた。それだけでなく、ホームレスの人たち、困っている子供たち、イラクやアフガニスタンに駐留する米兵たちへの支援といったさまざまな活動も続けていた。
ブライアンはこう語っている:ロビンが他の慈善活動を支援していたことは知っていたが、プロデューサーやイベントの主催者たちが、困っている人たちに立ち直るチャンスを与えることの大切さを学べるよう、ロビンが自分の立場を活用していたことをとても嬉しく思いました。
1986年、ロビン・ウィリアムズは、ビリー・クリスタルやウーピー・ゴールドバーグらとともに「コミック・リリーフUSA」を立ち上げた。この団体はエンターテインメントの力を借りて、助けが必要な人々に前向きな変化をもたらすための非営利団体だ。
現在もコミック・リリーフUSAは活動を続けており、ジュリア・ロバーツなども参加して、救援金が3億ドルを突破している。
いつもコミカルなイメージのあるロビンだが、アメリカの議会でホームレス支援のための住宅再活性化法を支持して、まじめな顔つきをした日もあった。
1990年の議会でのスピーチで、多くの人が人生でつまづきホームレスになる前に支援の手を差し伸べようと呼びかけた。
いかにも彼らしいウィットのきいた比喩は、アメリカ政治史に刻まれたといえる:「コメディアンを目の前にすると、少し怖いですよね。血友病の病棟にハリネズミがいるようなものです」
ロビン・ウィリアムズがこの世を去った日、世界は素晴らしい俳優と比類なきコメディアンを失っただけでなく、この上ない人格者をも失ったのだ。