ネコ、廃墟、現代アート……:日本にある風変わりな島々5選
日本には島がいくつあるかご存じでしょうか? 以前は1987年に行われた調査をもとに6,852島だとされてきました。これは世界的に見ても多い部類です。島の数というのは数え方などによって大幅なバラつきが出るため、正確な順位は不明ですが、それでも十指に入るのは確実です。ちなみに、トップ3はスウェーデン、ノルウェー、フィンランドと北欧諸国が独占しています。ところが……
写真:直島(香川県直島町)
NHKによれば、2023年に国土地理院が最新の地図を用いて数え直しを行った結果、全部で1万4,125島あることが判明。なんと、それまでの2倍以上に増えてしまったのです。とはいえ、これは測量技術の進歩によるものであり、以前は1つだと考えられていた島が実は複数の島によって構成されていることが判明したというようなケースが相次いだためです。つまり、領土や領海が増えたというわけではありません。
写真:青ヶ島(東京都青ヶ島村)
さて、これだけたくさんあれば、中には少々風変わりな島やユニークな魅力を放つ島も少なくありません。そこで、今回は日本各地の特色ある島をご紹介することにしましょう。
写真:端島(長崎県長崎市)
仙台湾の沖合に浮かぶ田代島(宮城県石巻市)。無数のネコが暮らしており、今や「猫の島」という別名で知られるようになっています。「政府広報オンライン」によれば、ネコたちの数は100匹以上で島民よりも多いのだとか。
「政府広報オンライン」によれば、養蚕が盛んだったころネズミの害を防ぐためにネコを飼うようになったのが「猫の島」の原点なのだそう。その後、地元の漁師が豊漁の守り神としてネコを祀った美興利大明神(みよりだいみょうじん、通称「猫神社」)を創建。以来、島の人々はネコを大切にしてきたそうです。
また、田代島はマンガを活かした町おこしに取り組んでいることでも有名です。マンガ家たちがデザインしたネコ型のロッジ「マンガアイランド」が建ち並び、内部には直筆のイラストなども展示されているそうです。
ネコ好きなら、一度は立ち寄ってみたい田代島。ただし、いくらネコがかわいいと言ってもエサやりは厳禁。「政府広報オンライン」いわく、ネコたちの健康を守るため、エサやりをはじめ、ネコの世話をするのは島民と地元の観光施設だけと決められているとのこと。
さて、「猫の島」のお次は「うさぎの島」です。瀬戸内海に浮かぶ無人島、大久野島(おおくのしま、広島県竹原市)を我がもの顔で駆け回るのは数百羽のウサギたち。無人島といっても定住者がいないだけで、宿泊リゾートなどが整備されており、のんびりと観光を楽しめるようになっています。
いまでこそ、のどかな時間が流れる大久野島ですが、かつては旧日本軍によって毒ガス兵器の開発に利用されており、戦時中は秘密を守るために地図から抹消されていたという暗い一面も。歴史の重みを感じながら探索しましょう。
また、大久野島はサイクリングコースやキャンプ場、海水浴場などレクリエーション施設も充実しています。ウサギたちとふれあいながら、のんびりと休暇を過ごしてはいかがでしょうか。
ご覧のとおり軍艦さながらの姿をしていることから、「軍艦島」の通称で知られる端島(はしま、長崎県長崎市)。一言でいえば炭鉱の島であり、明治時代から昭和にかけて大規模な石炭採掘が行われていました。
大正から昭和にかけては炭鉱夫や家族の住まいとして鉄筋コンクリートの集合住宅が次々に建設されたほか、学校や病院、映画館、商店なども整備され、面積わずか6.3ヘクタールの小さな島でありながら、最盛期には5,000人あまりが暮らす立派な街に成長します。
ところが、戦後のエネルギー革命により、主要な燃料が石炭から石油や天然ガスへと移ったことで「軍艦島」はその歴史に幕を下ろします。炭鉱は1974年に閉山。住民たちも全員が島を離れたため、かつて炭鉱夫たちでにぎわった街は巨大な廃墟となってしまったのです。
その後、島は長らく立ち入り禁止となっていましたが、文化財としての価値に注目した長崎市が見学ルートを整備。2015年には「明治日本の産業革命遺産」の一部として世界遺産に登録されました。ちなみに、個人でのアクセスはできないため、島を訪れるには見学ツアーに参加しましょう。
続いてご紹介するのは、瀬戸内海に浮かぶ直島(なおしま、香川県直島町)です。海と林のコントラストが美しい風光明媚な島ですが、その特長は何といっても、島全体が現代アートの展示場になっているということ。
この島の芸術プロジェクトを運営する「ベネッセアートサイト直島」の公式ウェブサイトによれば、同社の創業者が30年ほど前に「瀬戸内海の島に世界中の子供たちが集える場を作りたい」と考えたことがきっかけだったそうです。
当初、キャンプ場の整備などからスタートしたプロジェクトは、自然と芸術作品を融合させるというアイデアに発展。今ではあの草間彌生が製作した、特大サイズの『南瓜』を見ることもできます。
直島町観光協会の公式サイトによれば、島内のアート作品は3つのエリアに点在しており、屋外展示のほかにも安藤忠雄がデザインした美術館など、見どころがたくさんあるとのこと。じっくりと時間をとって、島を満喫するのがオススメです。
最後にご紹介するのは絶海の孤島、青ヶ島(東京都青ヶ島村)。なんと、都内にあります。とはいえ、都心からおよそ350キロメートル南に位置するため、たどりつくのも一苦労。まずは八丈島に渡り、そこから船またはヘリコプターで青ヶ島を目指すことになります。
火山活動によって生まれた青ヶ島の特徴といえば、なんといっても世にも奇妙な二重カルデラ地形でしょう。大きな火口の中にもうひとつの火口がたたずむ様子は、まるでファンタジーの世界から飛び出してきたかのようです。
また、暖かい気候であることから、熱帯原産の「オオタニワタリ」というシダの仲間がワサワサと生い茂り、東南アジアさながらの風景を生み出しています。都内にいながらにして(?)異国情緒が味わえる青ヶ島ですが、とても小さな島なので、訪れる際には事前に宿泊先を予約するのをお忘れなく。