トム・クルーズが築いた資産はどのくらい?
米俳優トム・クルーズは、名前だけで観客を呼び込むことのできる数少ないハリウッドスターの一人。最新作『トップガン マーヴェリック』であらためてそれを証明した。
大物俳優トム・クルーズを起用するにはそれなりの報酬が必要だ。40年にわたり第一線で活躍してきたトム・クルーズは、いったいどのくらい稼いできたのだろう?
『フォーブス』誌やセレブの資産を想定するウェブサイト『Celebrity Net Worth』によれば、トム・クルーズはこれまでに6億ドルを超える資産を築いており、世界で最もリッチな俳優の一人に数えられている。
文字通りハリウッドのトップスターとして、長年にわたり映画産業に貢献してきたトム・クルーズの資産は、その大部分が映画関連の収入により築かれたものだ。
トム・クルーズの出演作は全世界で90億ドルを超える興行収入をあげている。ちなみに、最大の興行成績を記録したのは『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)で、7億9,100万ドル。
トム・クルーズとハリウッドとの蜜月関係は史上稀にみるものであり、しかもこの関係は今後も長く続くとみられている。高まっていくギャラを中心に、彼の成功の軌跡を振り返ってみよう。
1981年、トム・クルーズは19歳のときに映画『タップス』で初めて主役を務めた。この時の報酬は5万ドルで、本作への出演が彼の人生を大きく変えるきっかけとなった。
トム・クルーズは米大手タレントエージェンシー、クリエイティブ・アーティスツ・エージェンシー(CAA)のポーラ・ワグナーと契約を結び、2人のパートナーシップは現在まで続いている。1990年代初頭、二人はクルーズ/ワグナー・プロダクションズを設立した。
プロダクション設立以前のトム・クルーズは、1980年代の10年間を通じてハリウッドの新星として精力的に活動を行った。写真は1983年、21歳のトム・クルーズ。
ブレイクのきっかけは『卒業白書』(1983)。本作の報酬は7万5,000ドルだったが、世界的大スターの座への足がかりとなった。
それ以降、トム・クルーズが受け取る報酬額は上昇を続け、『レジェンド/光と闇の伝説』(1985)では1桁繰り上がった50万ドルに達した。
そして『トップガン』(1986)でついに「100万ドル」スターの仲間入りを果たした。トムは200万ドルを手にしたが、これは映画全体の予算の13%にあたる数字だ。
その後もトムのギャラは急上昇を続け、1994年には『インタビュー・ウィズ・ザ・ヴァンパイア』のレスタト・ド・リオンクール役で1,500万ドルの契約を結んだ。
前後する1992年、トム・クルーズとポーラ・ワグナーはクルーズ/ワグナー・プロダクションズを設立。1996年には最初の作品となる『ミッション:インポッシブル』を完成させた。
製作費8,000万ドルの『ミッション:インポッシブル』は、全世界で4億5,700万ドルという興行記録を打ち立てた。高いクオリティと素晴らしい興行収入で現在まで7作が制作され、映画史上最高のシリーズとなった。
『ミッション:インポッシブル』は大成功を収め、最初の3作だけでトム・クルーズに2億4500万ドルのギャラとバックエンド(興行収入の数パーセントを受け取るロイヤリティ)をもたらしている。
写真:『ミッション:インポッシブル』(1996)
『ミッション:インポッシブル3』(2006)と『宇宙戦争』(2005)のギャラはそれぞれ1億ドルで、トム・クルーズにそれまでで最も高いギャラをもたらす作品となった。
もちろん、収入があれば支出もある。トムがサイエントロジーのメンバーであることは有名だが、その活動には代償が伴う。『ビジネス・インサイダー』誌によれば、トムはサイエントロジー教徒として、平均2500万ドルを費やしているという。
トム・クルーズの支出は自身の信仰だけではない。2度の離婚を経験し、3児の父となった彼は、さまざまな責任を負っている。例えば元妻ケイティ・ホームズに対し、二人の間に生まれた娘スリのために年間40万ドルの養育費と追加費用を支払う必要があるのだ。
それでも『Celebrity Net Worth』は、新型コロナウイルス感染症拡大以前のトム・クルーズの収入を7億4500万ドルと推定している。そのうち約6億ドルが純資産とみられている。
トムの資産は『トップガン・マーヴェリック』(2022)の収入でさらに増加するとみられている。『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』誌によれば、トム・クルーズは主演俳優として1,300万ドルで契約書を交わしたほか、さらにバックエンドが加わることになっている。しかもトム・クルーズはこの映画のプロデューサーでもあるのだ。
同メディアによれば、トム・クルーズはファースト・ドル・グロス契約によって『トップガン マーヴェリック』の興行収入の20%を保証されている。この破格の契約条件に、現在のハリウッドでトム・クルーズが占めるエスクルーシブなポジションと影響力が表れているといえるだろう。
トム・クルーズはこの映画で20%のファースト・ドル・グロス契約を得ることになった。興行収入から興行主(映画館)の取り分である40%を差し引いた金額をもとに一定の割合が支払われるというもので、スタジオ費、宣伝キャンペーン費、制作費などは俳優のギャラよりも後回しになる。
つまり、『トップガン マーヴェリック』の興行収入が10億ドルに達した場合、トム・クルーズは10億ドルから興行主の取り分を差し引いた残り6億ドルの20%を手に入れることになる。
さらにストリーミング配信の収益が加わることから、36年を経て復活したマーヴェリック役により、トム・クルーズのギャラは2億ドルに達する可能性も出てきた。
2022年7月までに『トップガン・マーヴェリック』は13億ドルを売り上げ、トム・クルーズにとって『宇宙戦争』以来、最も成功した映画となっている。
近い将来、トム・クルーズはビリオネアの仲間入りをするだろう。だがファンにとっては彼の資産総額よりも、『ミッション:インポッシブル』の続編や、『カクテル』の続編がいつになるのかの方が気になるはず。ブライアン・フラナガンとジョーダン・ムーニーの再会を世界各国のファンが心待ちにしている。