現在78歳のデヴィッド・リンチ監督、肺気腫を告白:リモートで製作続行に意欲を示す
『ツイン・ピークス』や『ブルーベルベット』などの作品で知られる伝説の映画監督、デヴィッド・リンチがX(旧ツイッター)のアカウントに、自身の病気を伝える投稿を行った。
「紳士淑女のみなさん、私は、長年の喫煙が原因で肺気腫を患っています。たばこはかなり楽しみましたし、今でも大好きです。あの香り、たばこに火を付け、煙を吸うあの瞬間……とはいえ、この楽しみには代償を払う必要があり、それが肺気腫だったというわけです」
前出のコメントは、78歳となった監督がX(旧ツイッター)に行った投稿の冒頭部だ。リンチ監督が率直な語り口で伝えた疾患は肺気腫というもので、呼吸が難しくなってしまうという。
監督はこう続けている:「いまではもう禁煙して2年ほどになります。最近いろいろな検査も受けました。良いニュースとしては、肺気腫以外は至って健康とのことです」
監督はファンに向けて希望に満ちたメッセージも発している:「いま私はとても幸せですし、引退などもってのほかです。それに、多くの方々に気にかけていただいているのも大変ありがたく思っています」
実は、リンチ監督が投稿で明らかにする前から監督の健康状態を不安視する声は上がっていた。映画誌『サイト&サウンド』に掲載された監督へのインタビューで、病気のせいで自宅に閉じこもっていなくてはならないと語っていたからだ。
監督が自宅から出られなくなっているのは、呼吸器疾患にかかることを防ぐためだ。現在の状態では、「ただの風邪」すら命取りになりかねないからだ。
リンチ監督はインタビューで、いまでは肺活量も大きく低下しており、わずかな距離を歩いただけでも息が上がってしまうと述べている。
今回の投稿は自身の健康状態について拡がっていた憶測や不安を払拭するためのもので、もっとも大事な点は引退する意思はないということを明言したところにある。
リンチ監督はリモートでの映画製作にも意欲を示している。もちろん、撮影現場というある種のカオスに身を置き、臨機応変に指示を出せればそれがベストではあるが、残念ながらそれは難しくなってしまった。
リンチ監督の次回作としては2010年に書き上げた脚本を元にした『Antelope Don’t Run Anymore(原題)』があり得るほか、インタビューでは20年以上取り組んでいるアニメーション作品『Snootworld(原題)』にも言及していた。報道によるとこれらのプロジェクトは一度取り下げられているようだが、今回の投稿がきっかけで再開することを期待したい。
リンチ監督の健康状態が思わしくないというのは残念なニュースではあるが、今のところ引退の意思はなく、次回作にも意欲的だというのはファンには希望を持たせる情報でもある。