デモや抗議活動に参加して逮捕されたセレブたち
マーティン・シーンは社会運動に熱心で、ホームレス問題や核兵器に抗議する過程で「市民的不服従」の結果としてなんども逮捕されている。その回数は60回以上に及び、ハリウッドスターとしては最多と言っていいだろう。初逮捕は1986年、レーガン政権による戦略防衛構想に反対した時のことだった。シーンはその時のことを、「恐ろしかった」が、「人生最良の日々」でもあったと振り返っている。
オスカー女優スーザン・サランドンも抗議活動が原因で何度か逮捕されている。1982年にはニューヨークで劇場の解体に抗議して逮捕されたほか、最近は2023年にもニューヨーク州会議事堂で、飲食業従事者への賃上げを訴えていた際に逮捕されている。
ジョージ・クルーニーは2012年、米ワシントンのスーダン大使館前で今も続く人道危機に抗議した際に逮捕された。ジョージ・クルーニーは父親などほかの抗議者とともに大使館の入口を封鎖したのだ。釈放後、クルーニーはこう語っている:「自分の活動に意味があるかどうかは誰にもわからない。なにか意義はあると信じるだけだ」
ロックバンド「プリテンダーズ」のボーカル、クリッシー・ハインドは2003年、パリでケンタッキー・フライド・チキンへの抗議活動中に逮捕された。ハインドはPETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)の活動家らとともに道路を封鎖し、ケンタッキーの店舗ウィンドウに赤いペンキを撒いていた。
活動家セレブといえば忘れてはいけないのがジェーン・フォンダだ。彼女もベトナム戦争への抗議などが原因で何度も逮捕されているし、80代となったいまでも抗議活動の前線に赴くことがある。近年も気候変動に関する活動中に何度か拘束されているし、他のセレブ達にも同様の活動に身を投じるよう勧めている。
『ナチュラルボーン・キラーズ』(1994)のウディ・ハレルソンは、実は歴戦の環境保護活動家で、とりわけ樹木の保護に関心が深い。1996年には他の活動家たちとともにサンフランシスコのゴールデン・ゲート・ブリッジによじ登ってレッドウッド国立公園にある樹木の伐採に抗議し逮捕された。
『キル・ビル』シリーズのダリル・ハンナも熱心な環境保護活動家だ。ハンナは2011年と2012年に、カナダと米国を結ぶキーストーン・パイプラインの建設に抗議して逮捕された。しかもそれも最初の逮捕というわけではなく、木にしがみついて伐採を阻止しようとしていたところを引き剥がされたこともある。
『ダイバージェント』(2014)主演のシェイリーン・ウッドリーは2016年、ダコタ・アクセス・パイプラインへの抗議中に逮捕された。ウッドリーは先住民の権利や水資源の保護を訴えており、逮捕の瞬間は配信もされていた。ウッドリーはのちに『マリ・クレール』誌にこう語っている:「服を脱がされて身体検査されました。監獄にいるときにドアが閉められたら、もう誰も守ってはくれません。檻の中の動物も同然です」
『リーサル・ウェポン』(1987)で知られるダニー・グローヴァーだが、そのタフさは映画の中だけにとどまらず、労働者の権利を訴えて逮捕されたことがある。2010年に多国籍企業「ソデクソ」の労働者とともに抗議活動していた時のことで、グローヴァーはその後も労働者の権利や市民権を積極的に擁護している。
ドラマ『ジーナ』(1995-2001)で主役を務めたルーシー・ローレス。彼女もまた環境保護に熱心だ。ローレスは2012年、南極開発への抗議の一環として、ニュージーランドで油井探査用の掘削船に強行乗船して逮捕された。
画像:Greenpeace International / Facebook
コメディ作品の印象が強いエイミー・シューマーだが、実はシリアスな問題にも積極的に取り組んでいる。2018年には保守派のブレット・カバノーが最高裁判事に任命されたことに抗議して立ち上がり、逮捕された。
モデルのエミリー・ラタコウスキーもカバノーと同じ問題に抗議して捕まった。ラタコウスキーはX(旧Twitter)にこう投稿している:「女性を傷つける男性は、もはや権力の座にはいられない」
フォーク界の伝説、ジョーン・バエズも生涯にわたって社会運動を続けてきた。1967年にはベトナム戦争用の徴兵センターを封鎖したことで2度逮捕され、ひと月以上収監されていた。それ以後も、バエズは反戦、死刑廃止、環境保護、LGBTの権利の擁護などに立ち上がっている。
テッド・ダンソンは2019年、ジェーン・フォンダが主導する気候変動デモに参加していた際に逮捕された。ジェーン・フォンダはその時3週間連続で逮捕されていたが、ダンソンは生涯初だったらしく、こう語っている:「わかると思うけど、なんだか嬉しくて興奮しちゃったよ」
同じくジェーン・フォンダが主催する毎週恒例の抗議活動「Fire Drill Fridays」に参加して逮捕されたセレブにはサム・ウォーターストンもいる。彼は2019年と2020年に集合・妨害・迷惑行為のため逮捕されている。
ホアキン・フェニックスは2020年、ジェーン・フォンダが主催する気候変動デモに参加中に、歴戦の活動家マーティン・シーンと共に逮捕された。
2022年、シンシア・ニクソンは公立学校への予算拡充を訴えていた際に逮捕された。ニクソンはのちに、市民的不服従やその他の政治活動があったおかげで、国による教育予算の削減を撤回させることに成功したとインスタグラムに投稿している。その額はなんと4億ドル(約600億円)近いのだという。
アイスクリーム会社「ベン&ジェリーズ」の創業者ベン・コーヘンとジェリー・グリーンフィールドは非常に社会活動に積極的だ。2016年には、政治と金の問題に対して民主主義を守ろうとするデモに参加して2人とも逮捕された。コーヘンはそのデモに参加する前に、こう語っていた:「アメリカの歴史は常に、人々が立ち上がって最前線に駆けつけ、逮捕されるリスクを冒すことで動いてきた」また、2人はジェーン・フォンダが主催するデモに参加して逮捕されたこともある。
ロザリオ・ドーソンも2016年の反政治腐敗デモに参加して逮捕されたセレブのひとりだ。彼女は記者にこう語っている:「個人的には、現場に出てくる人々と連帯したいという望みがありました」また、環境保護活動に熱心なことでも知られており、ダコタ・アクセス・パイプラインにも反対していた。
2021年、アリッサ・ミラノはホワイトハウス前で、選挙妨害行為の積極的な抑制を求めるデモに参加していて逮捕された。ミラノは後にインスタグラムにこう投稿している:「バイデン政権と議会に、投票する権利を守るために行動するよう要求していたら逮捕されてしまいました」
ポルシャ・ウィリアムズはケンタッキー州でブリオナ・テイラーへの銃撃事件に抗議するデモに参加していたところを逮捕された。ブリオナ・テイラーは誤った住所に突入した警察による銃撃を受け、亡くなった。
画像:Entertainment Tonight / Youtube