ダイエット成功! ジョン・グッドマンの今
2022年に70歳を迎えたジョン・グッドマン。ハリウッドきってのコメディ俳優として絶大な人気を誇り、プライベートでの苦労を別にしても、キャリアを通して忘れがたいキャラクターの数々を観る者の記憶に刻み付けてきた。そんなジョン・グッドマンは今、どうしているのだろう?
ジョン・グッドマンの出演作として最新のものは2019年に公開された映画『Easy Does it』だ。1970年代の米国南部で逃走劇を繰り広げる主人公2人を巡るストーリーで、ジョン・グッドマンはキャットフィッシュ・クロフォード役を演じた。
一方、TVではまだまだ活躍を続けており、HBOのブラック・コメディ『The Righteous Gemstones』では妻を亡くしたテレビ伝道師一家の主、イーライ・ジェムストーン役として、何とか威厳を保とうとする姿をコミカルに演じている。
2022年には同シリーズのシーズン2が公開。ジョン・グッドマン演じるエリ・ジェムストーン一家は、伝道師としての地位を脅かそうとする旧友や知人たちの画策に直面することとなった。
しかし、『The Righteous Gemstones』はそれで終わりではない。HBOが同シリーズのシーズン3を制作中だと発表したのだ。
声優としても活躍するジョン・グッドマン。最近の作品では大人向けアニメ『The Freaky Brothers』(2021年)のファット・フレディ・フリーコウツキー役として、ジョンの声を耳にすることができる。
2017年3月、ジョン・グッドマンの名前はついにハリウッド・ウォーク・オブ・フェームに刻まれることとなった。お披露目のセレモニーではコメディアンらしいお茶目なポーズで笑いを誘った。
ジョン・グッドマンについて最近話題となっているのは体形の変化だ。かつて「巨人」と呼ばれていた頃の面影がすっかりなくなってしまったのだ。実際、2021年12月6日には、ロサンゼルスで開催された『The Freak Brothers』の封切りにスリムな姿で登場して観客を驚かせている。
15年前は180キロもあったジョン・グッドマンだが、減量を成功させ今では90キロまで体重を落としている。
ジョン自身の説明によれば、減量は一朝一夕に成功したわけではなく、2007年以来続けている毎日の努力の積み重ねによるものだという。
ジョンのダイエットの秘密は飲酒をやめて食生活に気を配るようにしたこと、パーソナルトレーナーを雇ったことだ。すべては、長年にわたる健康のトラブルに終止符を打つためだった。
ABCニュースとのインタビューでは「鏡を見るたびにうんざりしていた」ことや、「30キロ痩せたが元の生活スタイルに戻ってしまった」ことなどを告白。
パーソナルトレーナーを務めるマッキー・シルストーンは『ニューヨーク・ポスト』紙のインタビューの中で、ジョン・グッドマンは「日常的にルームランナーやクロストレーナーに取り組んでいる」ほか、「野菜や果物、ナッツ、豆類、ワイン、魚介類、オリーブオイルが豊富」な食事に切り替えたと述べている。
生まれ変わろうとするジョン・グッドマンを待ち受けていたのは食生活における挑戦だけではなかった。人生を通じてジョンを悩ませ、うつ病の原因にもなっていたアルコール依存を克服しなくてはならなかったのだ。しかも、『ガーディアン』紙とのインタビューで本人が語ったところによれば、彼のアルコール依存は俳優としてのキャリアに悪影響を及ぼすほど深刻なものだったようだ:「ちょっとお酒を飲むとセリフが出てこなくなってしまうんです。後は雪だるま式です。以前はセリフを覚えることができていたのに、自信がどんどんなくなってしまって……」
『Men's Heath』誌とのインタビューでは、アルコール依存のせいで俳優をクビになってしまうのではという不安を感じていたことを打ち明けたジョン・グッドマン:「どういうわけか、私は自分がしていることから目を背けていました。そんな私を目の当たりにして仕事をくれる人がいるなら、まったく奇跡としか言いようがありません。歩く心臓発作みたいなものでしたから」
しかし、最終的にジョンは何とか健康問題を克服することに成功。
さて、ジョン・グッドマンがコメディ俳優として成功を掴むまでの道のりは長いものだった。
セントルイス(ミズーリ州)の慎ましい一家のもとに誕生したジョン・グッドマン。母ヴァージニアはウェイトレスや店員として、父のレスリーは郵便局員として働いていたが、ジョンが2歳のときに父が他界。ジョンには兄のレスリーと妹のエリザベスがいる。
もともと、サッカー選手になりたいという夢を抱いていたジョン・グッドマン。その夢を追うためミズーリ州立大学に入学すべく、奨学金を獲得するほどだった。
けれども、ジョンを待ち受けていたのは深刻なケガだった。これによってスポーツの道を断念せざるを得なくなったジョンは、俳優を目指すこととなった。
1975年、演技の世界を目指すという新たな夢を視野に22歳でニューヨークに移転。新天地でジョンは、ブロードウェイの演劇俳優やTVコマーシャルといった仕事をこなすようになっていった。そして1977年、ジョン・ヘイズ監督の『Jailbait Babysitter』でついに映画デビュー。
同作品に出演したことでそこそこ評判となったものの、1980年代初頭まで再びスクリーンに姿を見せることはなかったジョン。しかし、輝かしいキャリアがスタートしたのはその後だ。出演映画94本、TV番組9本という圧倒的な記録を打ち立てることとなったのだ。
スクリーンでは『アラクノフォビア』(1990年)のデルバート・マクリントック役や『フリントストーン/モダン石器時代』(1994年)のフレッド役、『ブルース・ブラザーズ2000』(1998年)のマイティ・マック役、『コヨーテ・アグリー』(2000年)のビル役をはじめ、数々の当たり役に恵まれたジョン・グッドマン。
しかし、ジョン・グッドマンが真価を発揮するようになったのは、コーエン兄弟お気に入りの俳優になったときからだ。『バートン・フィンク』(1991年)や『未来は今』(1994年)、『ビッグ・リボウスキ』(1998年)、『オー・ブラザー!』(2000年)に出演、作品を盛り上げた。
また、映画だけでなくTVでも大いに活躍を見せており、ドラマシリーズ『ロザンヌ』では主人公ロザンヌの夫ダン役に抜擢。1988年から1997年にかけて10年近くにわたって出演を続け、当たり役の1つとなった。
TVドラマには全部で16本出演。『ロザンヌ』のほかにも、2003年から2004年にかけて出演した『ザ・ホワイトハウス』や『Treme』(2010年)といった代表作がある。
一方、声優としても『フューチュラマ』のロボットサンタ役やアニメ『アニマル天国は今日も晴れ』のラリー役、ディズニーアニメ『モンスターズ・インク』のサリー役など、印象的なキャラクターに声をあてている。
そして今、『The Righteous Gemstones』では体形を一変させたジョン・グッドマンの姿を目にすることができるのだ。今後も新たな役で活躍するのは間違いないだろう。