ハリウッドの都市伝説:イニシャルの由来からスター死亡説まで
メキシコ出身の歌手タリアは美しいウエストラインをさらに細くするため、肋骨2本を切除したという。しかし、肋骨には臓器を守る重要な役割があり、肋骨切除術は非常に大きなリスクを伴う。医学的観点からもこの噂話に信ぴょう性は見出せず、疑ってかかる方がよさそうだ。
ツイッターを開けば一目瞭然だが、セレブ本人がどんなに否定してもその死亡説はまことしやかに流されてしまうことがある。特に90年代はフェイクニュースの検証にも時間がかかってしまった。そのいい例が俳優マーク=ポール・ゴスラー(『Good Morning, Miss Bliss 』のザック・モリス役)とマリオ・ロペス(『Saved by the Bell』のA.C.スレータ役)の死亡が噂されたバイク事故だ。もちろん2人は生きていることが証明されている。
『素晴らしき日々』でポール・ファイファー役を演じたジョシュ・サビアノはマリリン・マンソンに瓜二つだが、俳優本人が同一人物説を否定している。しかも、何度もだ。それを信じるかどうかは、2人を並べてみるまで保留したほうがよさそうだが。
現在のアンジェリーナ・ジョリーは責任感の強い母親だが、以前は奔放な女性として知られ、25歳の時に20歳年上のビリー・ボブ・ソーントンと結婚している。夫に夢中だったアンジェリーナは、彼の血が入ったロケットを身に着けていたとビリーは語っている。結局は単なる都市伝説に過ぎないのだが、アンジェリーナが出会い系アプリユーザーと断定できないのと同様に、少なくともロケットペンダントの存在を否定することもできない。
ヴァニラ・アイスはケーブルテレビチャンネルVH1のドキュメンタリー番組『Behind the Music』に出演した際、「ホテルのバルコニーで宙吊りになった」という都市伝説について語った。90年代を代表するラッパーで黒い噂が絶えなかったシュグ・ナイトから、ある曲の権利譲渡に関するサインを求められ、断れば突き落とすと脅されていたというものだ。しかし当の本人はこの噂を否定しており、レーベル契約ができたのはシュグ・ナイトの存在が大きかったと断言している。
ブルース・リーの死は謎に包まれているが、息子であるブランドン・リーの死も同様に不可解なものだ。1993年、伝説的ホラー映画『クロウ/飛翔伝説』の撮影中にそれは起こった。ブランドン演じるエリック・ドレイブンが銃弾に倒れるハイライトシーンの撮影終了後、彼が立ち上がることはなかった。何者かが空砲を実弾に入れ替えたという噂も流れたが、ダミーの弾丸が銃身に放置され、そして空砲の1つが引っ掛かったために起きた事故である。その詰まりが原因で、強い圧力をともなった空砲がダミーの弾丸とともに発射され、腹部に命中し致命傷を負わせたのだ。
キング・オブ・ポップとして知られたマイケル・ジャクソンは都市伝説に事欠かない。たとえば寿命を延ばす目的で、高気圧酸素マシーンの中で睡眠をとっていたという。不眠症で悩むマイケルは様々な睡眠療法を試していたが、結局そこには高気圧酸素マシーンは含まれていなかった。
ニルヴァーナのリーダー、カート・コバーンはグランジの先駆者として一時代を築いた。それだけに27歳という早すぎる死は、さまざまな憶測を呼ぶことになった。その中には妻コートニー・ラブによるコバーン暗殺という陰謀論も含まれている。コートニーは夫を愛していた、それだけだと信じたいものだ。
アルバム総売上枚数は1億枚に迫り、史上最高のラッパーとされる2パック。悲しいことに、25歳という若さでこの世を去ったが、実はまだ生きているのかもしれない。2パックは、マキャベリ名義で音楽活動を続けるために自らの死を偽装したという都市伝説があるのだ。実際、マキャベリという名で、2パックの死の偽装と復活に言及するアルバムが発表されている。なんとも複雑なうわさだ。
90年代後半、テレビドラマ『アリー my Love』で大ブレイクを果たしたキャサリン・フロックハート。当時は拒食症疑惑が飛び交っていたが、20年以上が経過した今でもスリムなままで健康そのもの。ライバルがかきたてた噂だったのだろうか。
レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの友情はハリウッド1だと言われている。ディカプリオは『タイタニック』を通し、心が通じ合う仲間と出会えたことに深く感動していた。その仲の良さから撮影中、二人のロマンスが伝えられた。だが2人とも幾度となく熱愛説を否定。『タイタニック』における車中のラブシーンが有名だが、2人はあくまで友人のようだ。
1993年のアカデミー賞では、4名の人気女優ジュディ・デイヴィス、ジョーン・プロウライト 、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、ミランダ・リチャードソンの他に、『いとこのビニー』に出演したマリサ・トメイが助演女優賞候補としてノミネートされた。そして本人を含め会場にいた全員の予想を覆し、マリサがオスカー像を手にしたのだ。噂によるとオスカー像を贈るプレゼンターのジャック・パランスが壇上で好き勝手にふるまい、受賞予定者ではなく自分のお気に入り女優の名前を言ってしまったという。ただ、モナ・リサ・ヴィトを演じたマリサが優れた演技をしていたことは確かだ。
マライア・キャリーの失言をめぐり、そのアーティスト生命を絶ちかねない噂が流れた:「自分が助けてあげることのできない世界の貧しい子どもたちのことを思うと涙が出てくるの。私も彼らみたいに痩せたいけれど、ハエや死体とかはちょっとごめんだわ」
この話を伝えたのは1996年発行のある雑誌だが、マライアが実際にした発言だと考えている人は多い。
マイケル・J・フォックスがいつもミステリアスなのはその名前のせい?90年代、彼の両親は売れっ子俳優だったマイケルにミドルネームを選ばせたという。まだ幼かったマイケルはゼリー好きという理由で「ジェロ」を選んだという噂もあるが、マイケル・J・フォックスは芸名で、本名はマイケル・アンドリュー・フォックスだ。
世紀末が間近に迫ったころ、コンピューター上で2000年が「00」と表示されるため、1900年なのか2000年なのか識別できなくなるのではという懸念があった。世界が終わり人類が滅亡、極地の氷が消滅するのではと予言されたが、結局何も起こることはなく2000年1月1を迎えた。
90年代でもっとも意外な噂の1つだったことは間違いない。当時、父親役で一世を風靡した2人の俳優ジェームズ・アヴェリー(『ベルエアのフレッシュ・プリンス』のフィリップ・バンクス役)と レジナルド・ヴェルジョンソン(『Family Matters』のカール・オーティス・ウィンスロー役)が、カップルだったという噂だ。しかしアヴェリーは1988年にバーバラという女性と結婚しており、2人の間には3人の子どもがいることからその噂はデマと判明した。
同じく『Family Matters』に絡み、90年代に流れた噂が「スティーブ・アーケルが亡くなった」というものだ。問題となったのはほとんどの人が、スティーブ・アーケルを演じた俳優ジャリール・ホワイトの名前すら知らなかったことだ。ジャリールはもちろん生きており、テレビ俳優として活動を続け、家族もいる。ただし今では、『Family Matter』撮影時の眼鏡や矯正ブラケットはつけていないが。
90年代を代表する俳優リチャード・ギアの成功にはある噂がある。それはジョン・トラボルタに打診された映画出演依頼のおこぼれをもらっていたというものだ。『天国の日々』への出演に後ろ向きな姿勢を見せたトラボルタのおかげでギアに声がかかった。トラボルタ主演予定だった『アメリカン・ジゴロ』の代役としてギアが指名され、トラボルタがその気にならなかった『プリティ・ウーマン』のエドワード・ルイス役はギアにオファーされた。ただし、ギアがトラボルタに感謝の意を伝えたかどうかは知る由もないし、この都市伝説の信ぴょう性も微妙なところだ。
フージーズでその名を知らしめたローリン・ヒルは、アルバム『The Miseducation of Lauryn Hill』の発表を皮切りにソロ活動を開始。大きな成功を収めたが、その後音楽シーンからほぼ姿を消してしまう。発表したソロアルバムは呪われている、そんな都市伝説も流れた。しかし実際は音楽業界の型にはまったルールに従うのを拒否し、独自の道を歩いているだけであった。
全世界を席巻した歌姫は、さまざまな都市伝説ネタを提供してきた。90年代のブリトニーはスキャンダルの宝庫で、ブッシュ政権の問題が発覚するたび彼女がメディアを騒がせ、ホワイトハウスは政治上の隠匿目的でブリトニーを雇っているのではとする声さえあった。またブリトニーは口パクをしており、代わりの歌手がいるという都市伝説も繰り返されてきた。しかしブリトニーは自身の声で歌い、そしてその歌唱力はなかなかのものである。