キャサリン妃の弟が明かす、辛く苦しい鬱病経験
メンタルヘルスは誰にとっても大きな問題で、セレブや王族もその例外ではない。イギリス王室のキャサリン妃の弟で、ウィリアム王太子の義弟にあたるジェームズ・ミドルトンもそういった問題を抱えてしまった一人だ。いまでこそSNS上でのびのびと活動しているように見える彼だが、精神的な問題に苦しんでいた時期があったのだ。36歳となった実業家が、かつてのつらく苦しい経験を明かした。
ジェームズ・ミドルトンは5月29日、英誌『OK!』でのインタビューで自身が直面したひどい鬱状態について語った。本人の言葉を借りれば鬱とは「精神の癌」であり、それに冒されたジェームズは自分に閉じこもってしまい、家族に自身の状態を明かすこともできなかったのだという。
ジェームズはこう語っている:「家族からのちょっとしたメッセージにも返信できず、メールも開くことすらできませんでした。家族や親友など、もっとも愛する人たちとすらコミュニケーションができなかったのです。周りの人たちは不安に駆られてなんどもメッセージをくれましたが、私はどんどん沈み込んでしまってそれに返信することができませんでした」
このように深く落ち込んでしまうと、とうぜん仕事にも影響があったという。ジェームズはこうも語っている:「昼間は這うようにして仕事に行くのですが、ただパソコンの画面を虚ろに見つめるだけで、はやく時間が経ってほしい、家に帰りたい、としか考えられませんでした」
不幸中の幸いというべきか、ジェームズは時とともにこの鬱を乗り越えることができた。ジェームズによると、そんな彼の治療に大きく貢献したのが愛犬たちだという:「まだ整理するのは難しいですが、私が立ち直り、リハビリするうえで犬たちは非常に重要な役目をはたしてくれました。とくにエラがいてくれたおかげで、私は毎朝起きて服を着替え、大雨の日でも散歩に出ることができました」
ジェームズにとって犬の世話に集中し、自分の問題を頭から追い払うことが有効だったようだ。この経験を受けて、ジェームズはペットこそが自分にとっては救世主だったと考えるほどになった:「私が回復できたのは犬のおかげです。人生を救ってくれたと思っています」
写真:Instagram / @jmidy
2018年に『タトラー』誌のインタビューでジェームズが明かしたところによると、ジェームズは姉がウィリアム王太子と付きあい始めたことをきっかけに巻き起こったメディア攻勢を処理しきれなかったのだという:「突然、さまざまなメディアから注目され、私の事業がうまくいってるとか失敗したとか言われるようになりました。これは大変なプレッシャーですよ」そしてこのプレッシャーが原因で注意欠陥障碍を発症してしまったのだという。
また、ジェームズは『デイリー・メール』紙にこうも語っている:「自分がとても幸運で、大変恵まれた生活をしているという自覚はあります。それでも鬱からは逃れられませんでした。説明しづらいですが、悲しい気分とかそういう話ではないのです。これは病気ですから」
ジェームズ・ミドルトンは1987年4月15日生まれ。ミドルトン家の末っ子で、唯一の男子でもある。姉のキャサリン(たいへん親しくしているという話)ほどメディアで取り沙汰されているわけではないが、2011年にキャサリンがウィリアム王太子と結婚して以来ジェームズもイギリスのセレブの仲間入りを果たした。
キャサリンとも親しいジェームズだが、それ以上に特別な関係なのが姉のピッパ(1983年生まれ)で、いまでもいろいろな催しに一緒に足を運んでいるという。
セレブの一員となったジェームズだが、本人は王室からは距離を取り、一般人としての生活を選んだ。それでも、結婚式や洗礼式、聖餐式やクリスマス会など、特別な機会にはそういった人びとと席を並べることもある。なんといっても、姉が次期王妃なのだから。それでも、ジェームズはそういった公的な場以外ではプライベートを守ることを望んでいるようだ。
ジェームズはセント・アンドルーズのプレップスクールやマールバラ・カレッジを経てエジンバラ大学で学んだ。だが、大学は一年で中退しビジネス界に飛び込み、多くの挫折や成功を経験することになる。
2013年、当時26歳のジェームズはパーソナライズされたマシュマロを販売するビジネス「Boomf」を起業。最初の二年間は有望だったが、けっきょく赤字が重なり巨額の損失を抱えることに。このビジネスは最終的に2022年にエストニアの実業家、ニック・ジェンキンスが30万ポンド(約5300万円)で買収した。
しかも、ジェームズのビジネスが失敗するのはこれが最初ではなかった。製菓キットを販売する「Cake Kit Company」やカップケーキを販売する「Nice Cakes」を立ち上げていたのだが、これも2017年に終業している。だがそれでもジェームズはあきらめなかった。
ジェームズが次に立ち上げたのは「Ella&Co」で、これはペット用のフリーズドライ食品を販売するビジネスだ。リンゴやシリアル、鶏肉やにんじんなどの生鮮食品をフリーズドライにして販売するというもので、ウェブページではほかのペット食品ブランドにはない栄養価の高さを売りにしている。
こうしてみると、プライベートでも仕事でも、ジェームズの人生における犬の存在の大きさに気付くだろう。しかも彼が飼っている犬は1匹や2匹ではないのだ。
写真:Instagram / @jmidy
いまではジェームズの家には6頭の犬がいる:インカ、ルナ、ズールー、ナラ、メイベル、そしてイスラで、コッカー・スパニエルが4頭とゴールデン・レトリーバーが2頭だ。写真にも写っているイスラ(右)は数か月前に生まれたばかり。
写真:Instagram / @jmidy
2023年1月、ジェームズはエラが亡くなったことをインスタグラムで報告した。ジェームズにとってエラは半生を共にした大事なパートナーだった:「つらい時も幸せなときも、エラは15年もの間わたしのそばにいてくれました。エラが亡くなってほんとうにさみしくなるでしょう」
写真:Instagram / @jmidy
自らのメンタルヘルスの問題の解決にペットが大きく寄与したことを受けて、ジェームズはチャリティ団体「ペット・アズ・セラピー」の大使に就任。ペットセラピーを通じてイギリスの人々の健康を守る活動に協力している。
ジェームズは以前からイギリスではファッションリーダーとしても注目されている。エレガントで教養を感じさせ、しかも嫌味でないジェームズのスタイルは道行く人の目をとらえて離さない。そんな彼の心を射止めたいという人も多かろうが、残念ながらその座はすでに埋まっているようだ。
女優・司会者のドナ・エアーとの破局後、ジェームズは2018年にフランス出身の証券アナリスト、アリゼ・テブネと出会った。二人の出会いはまるで映画のようで、ジェームズが会員制高級クラブ「サウス・ケンジントン・クラブ」にいた時に愛犬のエラがアリゼのテーブルの下にもぐりこんでしまったことがきっかけだという。
ジェームズがその時のことを語っている:「アリゼは僕のことをウェイターだと思って飲み物を注文したんです。その間もずっとエラのことをなでていて、エラも仰向けになって大喜びでした」こんな印象的な出会いのあと、二人は分かちがたい関係となったというわけ。
2019年5月、二人はレディ・ガブリエラ・ウィンザーとトーマス・キングストンの結婚式にそろって参加し、そこで公式に婚約。数か月後、10月には指輪をつけたアリゼと写った写真をインスタグラムに投稿して結婚の予定をアナウンスした。
アリゼ・テブネは1990年生まれ。出身はフランスだが世界中を渡り歩き、さまざまな言語を駆使する。ジェームズはアリゼにぞっこんで、7年間も伸ばしていたひげをアリゼのために切ってしまったほどだとか。
ジェームズとアリゼは2021年9月11日にフランス南東部のボルム=レ・ミモザで結婚式を挙げた。式にはとうぜんジェームズの犬も参加。メイベルとエラは介添人のかっこうをしたんだとか。式の翌日、ジェームズはインスタグラムにこう投稿した:「昨日、人生最大の愛する人と結婚しました。[…]いま感じているこの幸せはとても言葉では言い表せません」
この人生の新たな一歩がジェームズの暗い時期の終わりとなってくれるよう祈るばかりだ。辛かったころのことは忘れるわけにはいかないだろうが、ともかく今は新たな家族との生活を満喫している様子。2023年5月6日に執り行われたチャールズ三世の戴冠式には姉のピッパとともに参加していた。