エクスペディアが「Unpack '25」を発表:2025年の旅行トレンドは?
2025年が目前に迫ってきた。まさに光陰矢のごとしといった趣だが、旅のトレンドも時代と共に移り変わる。たとえば、最近は表層的な観光ではない、本格的な体験を求める傾向が強まっているという。また、Z世代はいままでとはひと味違う旅先を求めているともされる。エクスペディアグループが発表した「Unpack '25」をチェックして、6つの最新トレンドと、おすすめの都市をみていこう。
オーバーツーリズムはいまや全世界的な問題となっている。この状況を受けて、目端の利く旅人たちはもはや定番となった行き先は選ばなくなっている。代わりに、有名観光地付近の比較的マイナーな場所を行程に組み込んだり、そもそも人気の地域には踏み入らない場合もある。知名度こそ劣るかもしれないが、そういった場所は人気の観光地にも遜色ない魅力を持っているし、おまけに人混みもない。たとえば、ギリシャのサントリーニ島がそうだ。
スペインのバルセロナも過剰な観光客に悩まされている都市のひとつだ。一方で、ジローナはバルセロナにも劣らない本格派の体験ができる都市だが、もっとゆったりとした旅行を楽しめる。中世のたたずまいを残した町並みを散策したり、歴史ある城壁を探検したり、あるいは地元カタルーニャ料理に舌鼓を打ったり……なにをするにしても、バルセロナのようにひしめく観光客をかき分ける必要はない。ほかにも、イタリアならミラノの代わりにブレシア、フランスならパリの代わりにランスという選択肢もある。
2025年の旅行トレンドは「お土産」だ。確かに、旅先でないと手に入らない貴重なグッズを購入するのは大きな旅の楽しみのひとつ。珍しいスパイスや職人技の光る工芸品、あるいはたまの贅沢に豪華な品を買ってみるのもいいだろう。
そういった観点から注目を集めているのが京都の宇治だ。宇治は抹茶の本場として世界的に有名で、現地での茶道体験ももちろん人気だが、新鮮な茶葉やハイグレードな抹茶を買って帰ることも多い。茶摘み体験では自分の手で茶葉を摘んで、家族や友人へのお土産にすることもできる。こうした体験は海外でも可能だ。たとえば市場にミントの葉が山積みにされているモロッコやコーヒーで有名なコスタリカなどが好評を博している。
なにも考えずに誰でものんびりできるリゾート旅行は一時期人気を落としていたが、Z世代は苦労の少ないラグジュアリー体験を望んでおり、ふたたび注目を集めている。観光客のために完成度の高いプログラムが用意され、ゆっくりとくつろぐことのできるリゾート地は、ハイエンドな旅先として復活したのだ。
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そういったラグジュアリーなオーシャンリゾートの代表がメキシコのカンクンにあるAVAリゾートだ。プライベートプールや豪華な食事、体験型のフィットネスプログラムなど、あらゆる層にアピールするプランが盛りだくさんとなっている。他には、オーストリアのアルピンリゾート・ザールバッハや、アンティグア・バーブーダのロイヤルトンCHICが有名だ。
同じく昔日の輝きを取り戻しつつあるのがホテルだ。いまやホテルはただ泊まるための場所ではなく、食事を取る場所としても注目されている。一流ホテルの多くが有名シェフとコラボし、食事のためだけでも訪れる価値のある場所として売り出している。
ラスベガスのストリップ地区に新たにできたホテル「フォンテンブロー・ラスベガス」には30以上のレストランが軒を連ねており、そのどれもが高名なシェフを世界中から招いて立派なメニューを売りにしている。写真はその中にある寿司レストランで、12席のカウンターで本場さながらのサービスを受けられる。他には、ナポリのROMEOやアルゼンチンのSusana Balboが同じく最高の美食体験を提供してくれる。
ひところFOMOという感覚が取り沙汰されたことがある。FOMOとはFear of Missing Outの略で、自分が何もしていない間に他の人がなにか生産的だったり、楽しいことをしているのではないか、という恐れのことだ。だが、いまはそのFOMOを逆転させて、取り残されることをむしろ楽しみとするJOMO(Joy of Missing Out)の時代。日々最先端の情報にキャッチアップすることを求められる現代社会の重圧から逃れ、平和でプライベートなバケーションで気力を再充電するのだ。
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そんなJOMO体験の場所として有力なのが、スコットランド・ダルケイスにある宿泊施設「The Old Millhouse」だ。閑静な環境で緑に囲まれ、心温まる昔ながらの建物に滞在すれば、ばっちりデジタルデトックスできること間違いなし。ほかには、オレゴン州ベンドの川沿いのコテージや、メーン州ケネバンクポートのドームハウスが人気だ。
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「死ぬまでにやっておきたいことリスト」を作ってその達成を目指すひとも増えてきている。そういったリスト入りすることが多いのが、大自然を感じる体験系だ。たとえばオーロラを一目見てみたいとか、貴重な渡り鳥を観察するなどだ。2025年は自然の偉大さに触れてみるのもいいかもしれない。
アメリカのグレートスモーキー山脈は、毎夏、幾千ものホタルが舞い踊ることで知られている。神秘的な天然のイルミネーションは自然派の旅人や写真家たちに大人気だ。他にはフロリダのヴェロ・ビーチで見られる発光プランクトンや、デンマークで「黒い太陽」とも呼ばれるムクドリの大群による集団行動「マーマレーション」が注目されている。
映画やドラマで撮影の舞台となった場所を訪れる、いわゆる「聖地巡礼」も変わらず人気となっている。ハリウッド映画に誘われて世界各地のロケ地を訪れてみるのもいい。
ドバイを舞台にしたリアリティショー『The Real Housewives of Dubai(原題)』のヒットにより、アラブ首長国連邦(UAE)に関する検索は昨年比で3割も増加したという。ワイルドな自然が好みならドラマ『イエローストーン』の舞台となったモンタナやワイオミングがあるし、『ONE PIECE』さながらの海岸を求めて、実写版ドラマのロケ地にもなった南アフリカに行ってみるのもいい。
SNS時代には旅行のあり方も変貌しており、いまやTikTokやInstagramでワンクリックするだけで、インフルエンサーなどがパッケージしたプランを予約することができる。予約や行程に一切頭を使わなくて良いお手軽さが売りだ。
旅行のタイプも色々用意されており、メキシコシティでのショッピングから、アイスランドでの冒険旅行まで、自分の理想の旅行をみつけてすぐに予約することができる。予約プロセスはかつてない手軽さで、旅行のハードルを可能な限り下げてくれている。
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